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トロンと携帯電話

ビル・トッテン (ビル・トッテンからのレター No.530)

駄作(-30点)
2002年7月4日
ひっちぃ

日本のソフトウェア技術は遅れている、というのは誤解だというのをパソコンではなくトロンと携帯電話を例に主張した短文。どうもいまいちな感じ。

まず、あの悪名高いシグマ計画にトロンが採用されていれば、日本人が日本人のためのパソコンを作ることができたはずだ、と言っているあたりからおかしい。こんな公共事業が成功するはずがなかったのだ。

携帯電話がパソコンより普及したのは、かな入力の方式によるものだと言っている。ほとんどのパソコンのキーボードにかな文字が印刷されているのを作者は知らないのだろうか。

一方、日本の携帯電話のようなやりかたでアルファベットを打つのは向いていない、と指摘しているが、果たしてそうなのだろうか。ノキアとかエリクソンなどの外国の携帯電話サービスがどうなっているのか知らないが、入力方法ぐらいは現地のやり方にしてやれば何の問題もないのではないだろうか。

組み込み機器での日本のソフトウェアの優秀性を挙げているが、これは作者がコンピュータシステム会社の社長をやっているとは思えない言葉である。組み込み機器のプログラムは、複雑だとはいえ、程度が知れている。マイクロソフトやオラクルなどの作るソフトウェアとは次元の違うものである。どちらが高度かというのは置いておいても、ソフトウェア技術として将来性がある部分は日本の弱い点である。

トロントロンと騒がれるが、トロンは OS の規格のようなものであり、OS それ自体ではない。だから、組み込み用のトロン間でソフトウェアの互換性があるわけではない。トロンという考え方自体は Linux の先を行っているかもしれないが、トロンがウィンドウズより普及していることにはさしたる意味はない。

[参考]
http://www.ashisuto.co.jp/
corporate/rinen/totten/
ow_text.php?A=1&B=539

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