ハードウェア
オーディオ・ビジュアル
PRO900 balanced
ULTRASONE
まあまあ(10点)
2011年1月20日
ドイツの音響機器メーカー、ウルトラゾーンのヘッドホンPROシリーズのうち、密閉型のラインナップの最上位のやつをバランス接続対応にしたもの。反応のいいチタン合金のドライバー(振動板)を使い、同社のウリS-LOGICという音を間接的に放出して自然な音場を作ろうとする技術による独特の響きと、うねるような密度の濃い低音が特徴のモデル。メーカーによって出荷時からバランス接続に対応している数少ない製品。
ヘッドホン関連で有名なフジヤエービックという中野ブロードウェイにある店で大幅に値引きされていたので衝動買いした。特殊な製品なので定価はアテにならないが、希望小売価格九万数千円のものが37,800円だった。
音はドンシャリ気味(低音と高音が強い)に味付けがしてある。良く言えば音楽をより楽しめるように、悪く言えば原音にあまり忠実ではないように、少し加工されたような音だった。特に高音の金物(シンバルやキラキラした音など)が、良く言えば存在感のある、悪く言えば少し別物の、特徴的な響きになってしまっている。これはS-LOGICのせいなのだろうか。一方で低音の方は、普通の重低音を重視したヘッドホンのような安っぽい音ではなく、量も質も強力な素晴らしい音が出る。普通、安いシステムで低音を鳴らすと緩くボワついた音が出て、ちょっと高いシステムだと引き締まっているけど少し物足りない低音が出るものなのだけど、このヘッドホンだと密度の濃いうねるような低音が絹ごしのように出てくる。
2ちゃんねるのヘッドホン関連のスレを見ても、トランスなどの音楽で重低音の効いた音の出るヘッドホンを探している人に対して、本製品を勧める書き込みをちらほら見る。一方で、タイプは異なるが開放型で同社同クラスのPRO2900のほうが完成度が高いと推す声が優勢であり、PRO900は密閉型で重低音命の人に対して勧める色物系の製品になっている感もあった。また、コストパフォーマンスという点からすれば、少し系列は異なるが同社のHFI780のほうが定番となっていて、二万円ちょいで買えるらしいので手を出しやすいようだ。
本製品は普通の標準ステレオプラグではなくXLRというバランス接続用のコネクタがついていて、普通のアンプでは鳴らすことが出来ない一部のマニア向けの製品で、台湾で製造した標準ステレオプラグのモデルをいったんわざわざ本国ドイツに運んで手作業でバランスケーブルにつけかえているらしい。
このバランス接続というのが思ったほど浸透せず、結果的に投売り状態になっている。なにせこれだけ手間をかける前の素の製品が同店で42,800円で売られており(ただしセール期間中のみ)、手間を掛けたのに逆に五千円も安くなっているのだ。そのうえ今後さらに値下がりする可能性さえある。
バランス接続のヘッドホンを使うには、バランス接続に対応したヘッドホンアンプが必要になるが、普通のアンバランス接続に変換することも出来る。私は秋葉原のトモカ電気の店員のおじさんに相談して、XLRをRCAに変換するケーブル900円と、RCAを標準ステレオプラグに変換するコネクタ150円を併用することで実現できた。ただ、ここで買った変換コネクタは製造の精度が悪かったのかRCAピンのほうが緩すぎて接触不良を起こしたので、仕方なくサウンドハウス(通販)で念のため二つほど注文した。
ちなみに私は通常はRME Fireface UCというDTM用の少し特殊なUSBオーディオデバイスのバランス出力をXLRに変換してバランス接続している。出力インピーダンスが75Ωと少々大きいけれど、広く色んな業務用の機器と接続することを考慮している機器なせいか普通に使えている。バランス接続にするとアンバランス接続よりも音の広がりが若干よくなるなどと言われており、私自身たしかにそのように感じるが、そんなに大きく音質が向上するものでもないみたいだ。
注意すべき点として、同じXLRコネクタだからとプリアンプやDACなんかに付いているバランス出力端子と接続してしまうと、音は出るものの故障の恐れがある。プリアンプのバランス出力は、出力インピーダンスが600Ωや300Ωなどと高い上に、受け側の機器も20kΩとかの高い入力インピーダンスのパワーアンプを想定して作られているため、いくらヘッドホンの駆動には数百mwという微弱な電力しか使わないとはいえ、数十〜数百Ωのインピーダンスの普通のヘッドホンを接続するとアンプに想定外の負担が掛かって壊れてしまう可能性がある。また、インピーダンスが適合しない接続を行うと、インピーダンスは交流抵抗なので、回路の設計によっては特定の周波数帯たとえば低音なんかが弱くなってしまったりするらしい。
少なくともこのヘッドホンは単独所持に向いておらず、一台目のヘッドホンとしてはもっと普通のなるべくフラットなものを買うことを勧める。しかし、既に何か持っていて他にもっと特徴的な音のするヘッドホンが欲しいという人に対しては、こういうのもあるよと勧めたくなる面白い製品だと思う。
ヘッドホン関連で有名なフジヤエービックという中野ブロードウェイにある店で大幅に値引きされていたので衝動買いした。特殊な製品なので定価はアテにならないが、希望小売価格九万数千円のものが37,800円だった。
音はドンシャリ気味(低音と高音が強い)に味付けがしてある。良く言えば音楽をより楽しめるように、悪く言えば原音にあまり忠実ではないように、少し加工されたような音だった。特に高音の金物(シンバルやキラキラした音など)が、良く言えば存在感のある、悪く言えば少し別物の、特徴的な響きになってしまっている。これはS-LOGICのせいなのだろうか。一方で低音の方は、普通の重低音を重視したヘッドホンのような安っぽい音ではなく、量も質も強力な素晴らしい音が出る。普通、安いシステムで低音を鳴らすと緩くボワついた音が出て、ちょっと高いシステムだと引き締まっているけど少し物足りない低音が出るものなのだけど、このヘッドホンだと密度の濃いうねるような低音が絹ごしのように出てくる。
2ちゃんねるのヘッドホン関連のスレを見ても、トランスなどの音楽で重低音の効いた音の出るヘッドホンを探している人に対して、本製品を勧める書き込みをちらほら見る。一方で、タイプは異なるが開放型で同社同クラスのPRO2900のほうが完成度が高いと推す声が優勢であり、PRO900は密閉型で重低音命の人に対して勧める色物系の製品になっている感もあった。また、コストパフォーマンスという点からすれば、少し系列は異なるが同社のHFI780のほうが定番となっていて、二万円ちょいで買えるらしいので手を出しやすいようだ。
本製品は普通の標準ステレオプラグではなくXLRというバランス接続用のコネクタがついていて、普通のアンプでは鳴らすことが出来ない一部のマニア向けの製品で、台湾で製造した標準ステレオプラグのモデルをいったんわざわざ本国ドイツに運んで手作業でバランスケーブルにつけかえているらしい。
このバランス接続というのが思ったほど浸透せず、結果的に投売り状態になっている。なにせこれだけ手間をかける前の素の製品が同店で42,800円で売られており(ただしセール期間中のみ)、手間を掛けたのに逆に五千円も安くなっているのだ。そのうえ今後さらに値下がりする可能性さえある。
バランス接続のヘッドホンを使うには、バランス接続に対応したヘッドホンアンプが必要になるが、普通のアンバランス接続に変換することも出来る。私は秋葉原のトモカ電気の店員のおじさんに相談して、XLRをRCAに変換するケーブル900円と、RCAを標準ステレオプラグに変換するコネクタ150円を併用することで実現できた。ただ、ここで買った変換コネクタは製造の精度が悪かったのかRCAピンのほうが緩すぎて接触不良を起こしたので、仕方なくサウンドハウス(通販)で念のため二つほど注文した。
ちなみに私は通常はRME Fireface UCというDTM用の少し特殊なUSBオーディオデバイスのバランス出力をXLRに変換してバランス接続している。出力インピーダンスが75Ωと少々大きいけれど、広く色んな業務用の機器と接続することを考慮している機器なせいか普通に使えている。バランス接続にするとアンバランス接続よりも音の広がりが若干よくなるなどと言われており、私自身たしかにそのように感じるが、そんなに大きく音質が向上するものでもないみたいだ。
注意すべき点として、同じXLRコネクタだからとプリアンプやDACなんかに付いているバランス出力端子と接続してしまうと、音は出るものの故障の恐れがある。プリアンプのバランス出力は、出力インピーダンスが600Ωや300Ωなどと高い上に、受け側の機器も20kΩとかの高い入力インピーダンスのパワーアンプを想定して作られているため、いくらヘッドホンの駆動には数百mwという微弱な電力しか使わないとはいえ、数十〜数百Ωのインピーダンスの普通のヘッドホンを接続するとアンプに想定外の負担が掛かって壊れてしまう可能性がある。また、インピーダンスが適合しない接続を行うと、インピーダンスは交流抵抗なので、回路の設計によっては特定の周波数帯たとえば低音なんかが弱くなってしまったりするらしい。
少なくともこのヘッドホンは単独所持に向いておらず、一台目のヘッドホンとしてはもっと普通のなるべくフラットなものを買うことを勧める。しかし、既に何か持っていて他にもっと特徴的な音のするヘッドホンが欲しいという人に対しては、こういうのもあるよと勧めたくなる面白い製品だと思う。