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AT-HA60

audio-technica

まあまあ(10点)
2011年2月5日
ひっちぃ

日本国内のヘッドホンのシェアをソニーと二分している音響機器メーカーのオーディオテクニカの業務用ヘッドホンアンプ。五台のヘッドホンを同時に接続でき、ボリュームも個別で操作できる。

本製品は現在既に生産を終了していて型落ち品で、現行はAT-HA65という似たような機種に置き換わっている。秋葉原のヨドバシカメラでこいつが19,800円と半額程度で売っていたので、ついつい衝動買いしてしまった。

沢山のヘッドホンを同時に視聴できる店に行くと、このメーカー製のヘッドホンアンプをよく見かけていたが、最近私が行くところだとFostexの方がよく見るような気がする。なんにせよ、あまり大きくないメーカーにも関わらずヘッドホンに限ればシェアはソニーに次いで二らしい。

そもそもヘッドホンアンプとはなんぞやという説明から入らなければならないか。ヘッドホンなんてテレビとか携帯音楽プレイヤーなんかに差込口があるのだから、そのままプラグをジャックに突っ込めばいいだけだし、せいぜい標準プラグとミニプラグを変換するコネクタを使う程度だというのが大多数の人の認識だと思う。世の中には数万円とかそれ以上するヘッドホンというものがあって、そういうヘッドホンをちゃんと鳴らすにはそれなりのアンプ(増幅器)が必要なのだ。

業務用だけあって入力が充実していて、アナログ入力がバランスとアンバランスの二系統、と言っても普通の人にはバランスだのなんだのすら分からないか。恐らくマニアと業務用以外の大抵の機器はアンバランスのRCAピンしかついていないから、それとは別にちょっと大きくてノイズが発生しにくいケーブル接続が出来るという程度の認識でいいと思う。他に驚くことに光入力までついており、一応D/Aコンバータまで内蔵されている。また、本機を複数接続するために、入力をそのまま出力するためのスルーアウトが用意されており、カスケード接続(要は数珠繋ぎ)も出来るようになっている。

散々前置きしたけれど、この機種、とても微妙だった。普通に考えてみれば分かる。もともとあんまり高いアンプではないのに、ヘッドホン五台分を駆動するための回路がついているのだから、コスト的に考えて一台分はそれなりの性能になってしまう。使ってみての私の感想はというと、「やっぱり物足りない」となってしまう。

ただ、業務用なだけあって、どんなヘッドホンでもちゃんと駆動はしてくれるようだ。鳴らしにくいと言われている能率の悪いAKG K701も普通に聴けたし、インピーダンスが600Ωもあるbeyerdynamic T1も特に問題なく鳴っている。また、五台のヘッドホンを同時につなげてとっかえひっかえ音を比べることも簡単に出来る。ボリュームも端子もそれぞれ五台分あるのでいちいち差し替えて適正なレベルに音量調整する必要がない。

私はこのあと評判のいい東京サウンドValve X SEというヘッドホンアンプを間を置かずに買ってしまったので、このAT-HA60は早くもほこりをかぶっていて正直お金の無駄だった。まあこれはこれで常用はしなくてもリファレンス(基準)として使えるかなと思って割り切っている。ヘッドホンアンプにはそれぞれ個性があるので、どういう個性があるのか判断するための基準として、もっともクセのなさそうな業務用のヘッドホンアンプが一台あってもいいかなと思っている。

同社製のアンプとしては、AT-HA5000という十万円クラスの機種が一番評判がいいらしい。こちらのほうは同社製のヘッドホンと似ていて高音域がきらびやかだと言われている。ほかに、既に生産終了した謎のデジタルアンプがあるらしいのだけど、すごく音がいいというわけではなく扱いづらいスペックの上に入手が困難なので一部の愛好家の間でしか語られていない。また、廉価でコンパクトなAT-HA20というモデルがあるが、少なくとも2ちゃんねるのAV板では「ないよりはマシ」程度の評価しか受けていない。

話を戻すと、よっぽどヘッドホンが好きで常時とっかえひっかえしてヘッドホンごとの音の違いを楽しむというごく一部のマニア以外には、本製品AT-HA60をあえて選択する理由はないと思う。光入力があるので、パソコンに光出力があれば手軽に接続できるのだけど、それならFostex HP-A3のほうがUSB接続できる分だけいい。

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