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PM-11S2

marantz

傑作(30点)
2011年2月10日
ひっちぃ

日本の音響機器メーカー、マランツのプリメインアンプの最上位機種。同社製のアンプの特徴である繊細な中高音に、前世代と比べて中低域に力強さが加わった。

最初私はヘッドホン方面に行こうとしていたのだけど、ダイナミックオーディオの秋葉原トレードセンターで本製品の新品が228,000円で売られていたのを見て、半ば衝動買いしてしまった。

一応説明しておくと、ここで言うアンプとは、オーディオ装置つまり音楽やなにかを聴くための機械の一つで、音楽の信号をたとえばCDプレイヤーなどから受け取って、スピーカーを動かせるレベルにまで電気信号を増幅(アンプリファイ)する機器のこと。つまり音楽を聴くには別途CDプレイヤーとスピーカーが必要となる。プリメインアンプとは、説明が面倒なので簡単に言うとプリアンプとメインアンプを一台で合わせたもの。高級なアンプは機器を分けて二段階で信号を増幅するのでそれぞれセパレート(別々)アンプと呼ばれる。

本製品を買う前の私は、同社のやはりプリメインアンプPM-15S1を愛用していた。といってもそのときの私は音楽をほとんどヘッドホンで聴いていた。一年ほど前にSennheiserのHD650という高いヘッドホンを買って以来それで満足していたからだった。しかしやはりたまにスピーカーで聴くとスピーカーのほうが気持ちいい。とはいうもののスピーカーはリスニング環境に制限がある。部屋が狭いのでスピーカーをちょうどいい位置に置きにくいし、大通りに面しているので車の騒音が少しうるさいし、周りの迷惑もあるのであまり大きい音量で音楽を聴くことが出来ないからだった。もし本製品を買っていなかったら、LUXMANのP-200というヘッドホンアンプを買っていたと思う。

で、さっそくこいつを手持ちのスピーカーにつなげて聴いてみたら、思い切って買って良かったとすぐに思った。スピーカーはそのままBOSEの55WERを使ったのだけど、アンプが違うとここまで音が違うのかと驚いた。音に張りがある。パツンパツンな感じ。

さすがにBOSEの55WERではもったいないと思い、あまり良い位置においていなかったもう一組のスピーカー、B&WのCDM1NTをちゃんとスピーカースタンドを買ってきて部屋に置きなおしたところ、これまたいままでとは違うレベルの音が出てきた。そのあと遊びでPM-15S1とのバイアンプつまり二台のアンプを使って一組のスピーカーを鳴らしたりして遊んでみたりしたのだけど、こうなるとアンプに見合ったスピーカーが欲しくなってくる。とまあその話はまた別の項で書くことにする。

で、実際のところ、私は視聴もせずに割引率だけを見てこの製品を選んだわけで、本当にこの製品が他の製品と比べて優れているのかどうか分かりかねるのだから、一方的に褒めたところであんまりあてにならないレビューになってしまうのだけど、この音にとても満足していてこの気持ちは確かなものだと言える。

とはいってもあくまで228,000円という割り引かれた値段あってのものなので、家電量販店で当時358,000円ほどの値付けで売られていたものを買っていたのだとしたら、ここまで満足できていたのかどうかは分からない。

というか228,000円という値段も普通の人には理解できないだろう。飲み会で職場の同僚に話してみたところ、まるで分かってもらえなかった。音楽という娯楽は間口がとても広くて多くの人が楽しんでいるのに、なぜオーディオはここまで理解されないのか。一度聴けば誰でも分かるものなのに。再生装置にこだわらずに音楽好きを名乗る人が私には理解できない。

っと話を元に戻す。

ネットの評判を見る限りでは、marantzは中高音域がきれいで繊細だけど音が遠くて迫力がないのに対して、DENONは土台がしっかりしていて音がエネルギッシュだけどやぼったい、みたいにメーカーによって音に個性がある。よく聴く音楽のジャンルとの相性で決めればいい。marantzはクラシック、DENONはロックと言われる。LUXMANは中音域が暖かいけれどモヤッとしていてジャズに合うだとか、Accuphaseは音がとにかくいいけど出力が弱くて発熱が大きいとか、外国産のアンプは音楽を魅力的に鳴らすけれどクセが強いだとか、どれも一長一短あるし良いものはそれなりの値段がする。

マランツは低音が弱いとよく言われるのだけど、私にはそれほど気にならなかった。そもそも低音を鳴らすには大きいスピーカーが必要なのだけど部屋が狭いのであまり大きいスピーカーは置けないし、中高音域の美しさが私にとって最重要だったので低音はそんなに重視しなかった。低音といっても普通のポップスのベースギター程度の低音は十分鳴る。弱いのは包み込まれるような低音のことだろう。

ヘッドホン端子がついているけれど、ネットで聞いた話だとヘッドホン駆動のための専用の回路はなく、スピーカーを鳴らすのと同じ回路に抵抗をかませているだけらしい。それでもこのぐらいの機種となるとそれなりの音はして、五万円クラスのヘッドホンアンプの東京サウンドValve X SEとも十分比較可能なレベルの音は出してくれているように思う。

どうも2ちゃんねるではaccuphaseが気持ち優勢なのだけど、国内の主要な電機メーカーがホームシアターやポータブルをメインにしていて高価なピュアオーディオは細々とやっているに過ぎず、ピュアオーディオを専業でやっているメーカーは小さいところが多い中で、企業合併によりある程度の規模のメリットを生かしてピュアオーディオの世界でもっとも多くのシェアを獲得しているD&Mホールディングスの一部門たるマランツの製品は、コストパフォーマンスに優れたもっとも良い選択肢だと思う。まあ好みの問題もあるので人に強くは勧めないのだけど、重低音でガンガン音を鳴らしたい人を除けば、一番お得で満足できる製品だと思う。

さすがにアンプだけで23万は出せないという人も、機会を掴めば実売12万ぐらいでPM-15S2が、8万ぐらいでPM8004あたりが買えるんじゃないかと思う。スピーカーと合わせて二十万ぐらいあれば十分満足のいく音が出せるんじゃないだろうか。あ、CDプレイヤーを入れてないか。プレイステーション3でもいいやw

ちなみに、最近ONKYOがまたピュアオーディオに本腰を入れていて、最近発売されたセパレートアンプが良さげで興味を引かれるのだけど、まだ発売されたばかりで値段が高いし、私がPM-11S2を買ったときにはまだ発売されていなかったので候補に入らなかった。

(最終更新日: 2019年6月1日 by ひっちぃ)

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