マンガ
日常もの
Aチャンネル 2巻まで
黒田bb (芳文社 まんがタイムきららキャラット)
まあまあ(10点)
2012年4月22日
高校生女子4人組の学園生活を描いた日常系ほのぼの(萌え)ギャグマンガ。ボーイッシュな少女トオルは、幼い頃からずっと一つ年上の少女るんのことが好きで、ついには同じ高校に進学するのだが、そこではるんが自分の知らない世界で知らない人たちと仲良くしていた。
アニメ化されたのを見て3話ぐらいで切った。とにかくつまらなかった。とても小柄な少女トオルが高校でバットを振り回したり、るんと仲良くしている一つ上の大柄な少女につっかかっていったりしても、作中ではキャラ的に許されてしまいそんなトオルが愛でられている点がとても不自然に思えた。円盤(DVDやBlu-rayディスク)も売れなかったらしいし、ネットでの評判も悪かった。
わざわざアニメ化するぐらいだしひょっとしたら原作は面白いんじゃないだろうかと思って読んでみた。うん。まあ一応よかった。
じゃあなぜアニメがつまらなくてマンガは楽しめたのかというと、一番の理由はテンポだと思う。この作品は4コママンガなのだけど、4コマだと結構淡々と進む。作品を楽しむペースが読者にゆだねられていて、さくさく読むのもなめるように読むのも読者の自由だ。私はほぼ終始さくさく読んでいった。でもアニメの製作者はそれをなめるように作品化した。単行本がろくに出ていない時点でアニメ化しちゃったから尺を伸ばす以外になかったというのが大きそうだけれど、キャラ押しで丁寧に作品化しようとしちゃったんだろうな。原作から入った一部の熱狂的なファンは大満足したかもしれないんだけど…。
るんは天然ボケ少女で、男子からもマスコット的な人気があってよくまわりに集まってくる。トオルは学年が違うから休み時間に時々るんに会いにくるが、金属バットを引きずって持ってきて男子を追い払う狂犬ぶり。るんはちょっと変態の入った男の養護教諭からもおでこを気に入られてよく絡まれる。
大柄なユー子は、小さなトオルと仲良くなりたくて色々アプローチしてみるが、トオルに反発されてなかなか仲良くなれない。ユー子は大柄で関西弁をしゃべるキャラなのだけど、性格はおとなしくてトオルにされるがままになる。胸が大きくてみんなからうらやましがられる。
ナギは三つ編み眼鏡の美少女で常識人っぽい突っ込み役だが、ダイエットのことになると狂気の片鱗を見せる。
キャラ設定がこうしてみるとうまいことできているなと思う。トオルはなんでも許されているキャラで最初は気に入らなかったけれど、るんについての嫉妬に縛られていて不憫なかわいさも持っている。るんはこの手の作品には珍しく男子にモテる(ただしマスコット的に)というリアリティと、そのことを本人がそれほど気にかけていないという面白みがある。ユー子やナギは一つ一つの要素をとってみるとステレオタイプ的なキャラに思えるけれど、組み合わせの妙というか、これまであまりなかったタイプの人物に仕上がっているように思えた。
でもいまいち作品にのめりこめない。ギャグはこの手の作品の中では割と面白いし、絵も内容もそれなりの完成度を持っている。なぜだろう。一番の理由は、キャラに愛着がもてないから。それは好みが大きいのかもしれない。でもそれだけではないと思う。
ネットでよく言われていたのは、話に軸がないから、だった。「けいおん!」の二番煎じなのに軽音楽部のような特定のテーマを持たず、ただ単純に学園生活を描いている。これは確かにそのとおりだと思う。良く言えば作者が実力勝負しているということなのだろうけれど、何か一つテーマがあればそれに絡めて描けるから楽なんじゃないかと思う。でもこの作品には部活が出てこない(出てきてた?)。4人組とそのまわりのごく狭い社会しか描かれていない。あ、トオルのクラスでやたらトオルをかまってくる少女とその友達なんかがいて、トオルの周りだけの世界が出来ているのも面白かった。あの目の細い少女ユタカさんがうざアホかわいくて好き。せっかく学園生活を描いているのに、学校のイベントがそれほど出てこないってのもすごいな。
題の「Aチャンネル」って結局どういう意味なんだろう?
「けいおん!」の作者かきふらいが男なのにオタク以外にも女ウケがよかったのはたぶん例外的なんだろうけれど、この「Aチャンネル」の作者黒田bbはWikipediaによると女らしい。作風からして作者は男だと思っていた。こうしてみると、オタに媚びきれない上に女からも支持されにくい微妙な位置にいる感じがする。
キャラ設定をもっと活かした話づくりはできないんだろうか。トオルがバットを振り回しました、でオチて終わり。その先がない。るんが男子にモテてるけれど、単にトオルの嫉妬心を煽っているだけで終わり。男子から聞いた話がもとで展開が広がるとかないのかなあ。トオルの妨害にもめげずにつきまとう男子とか、るんをうらやましがる女子とか。ありきたいになっちゃうか。この作品ならではの微妙な空気感ってのがあるしね。
もっとさらっと書く予定だったのに結構書いてしまった。そんなに次の巻とか期待していないけれど、読むとそれなりに面白くて悪くない作品だと思う。日常系の作品が好きな自分の贔屓目なんだろうか。こういうのが好きな人には勧める。
アニメ化されたのを見て3話ぐらいで切った。とにかくつまらなかった。とても小柄な少女トオルが高校でバットを振り回したり、るんと仲良くしている一つ上の大柄な少女につっかかっていったりしても、作中ではキャラ的に許されてしまいそんなトオルが愛でられている点がとても不自然に思えた。円盤(DVDやBlu-rayディスク)も売れなかったらしいし、ネットでの評判も悪かった。
わざわざアニメ化するぐらいだしひょっとしたら原作は面白いんじゃないだろうかと思って読んでみた。うん。まあ一応よかった。
じゃあなぜアニメがつまらなくてマンガは楽しめたのかというと、一番の理由はテンポだと思う。この作品は4コママンガなのだけど、4コマだと結構淡々と進む。作品を楽しむペースが読者にゆだねられていて、さくさく読むのもなめるように読むのも読者の自由だ。私はほぼ終始さくさく読んでいった。でもアニメの製作者はそれをなめるように作品化した。単行本がろくに出ていない時点でアニメ化しちゃったから尺を伸ばす以外になかったというのが大きそうだけれど、キャラ押しで丁寧に作品化しようとしちゃったんだろうな。原作から入った一部の熱狂的なファンは大満足したかもしれないんだけど…。
るんは天然ボケ少女で、男子からもマスコット的な人気があってよくまわりに集まってくる。トオルは学年が違うから休み時間に時々るんに会いにくるが、金属バットを引きずって持ってきて男子を追い払う狂犬ぶり。るんはちょっと変態の入った男の養護教諭からもおでこを気に入られてよく絡まれる。
大柄なユー子は、小さなトオルと仲良くなりたくて色々アプローチしてみるが、トオルに反発されてなかなか仲良くなれない。ユー子は大柄で関西弁をしゃべるキャラなのだけど、性格はおとなしくてトオルにされるがままになる。胸が大きくてみんなからうらやましがられる。
ナギは三つ編み眼鏡の美少女で常識人っぽい突っ込み役だが、ダイエットのことになると狂気の片鱗を見せる。
キャラ設定がこうしてみるとうまいことできているなと思う。トオルはなんでも許されているキャラで最初は気に入らなかったけれど、るんについての嫉妬に縛られていて不憫なかわいさも持っている。るんはこの手の作品には珍しく男子にモテる(ただしマスコット的に)というリアリティと、そのことを本人がそれほど気にかけていないという面白みがある。ユー子やナギは一つ一つの要素をとってみるとステレオタイプ的なキャラに思えるけれど、組み合わせの妙というか、これまであまりなかったタイプの人物に仕上がっているように思えた。
でもいまいち作品にのめりこめない。ギャグはこの手の作品の中では割と面白いし、絵も内容もそれなりの完成度を持っている。なぜだろう。一番の理由は、キャラに愛着がもてないから。それは好みが大きいのかもしれない。でもそれだけではないと思う。
ネットでよく言われていたのは、話に軸がないから、だった。「けいおん!」の二番煎じなのに軽音楽部のような特定のテーマを持たず、ただ単純に学園生活を描いている。これは確かにそのとおりだと思う。良く言えば作者が実力勝負しているということなのだろうけれど、何か一つテーマがあればそれに絡めて描けるから楽なんじゃないかと思う。でもこの作品には部活が出てこない(出てきてた?)。4人組とそのまわりのごく狭い社会しか描かれていない。あ、トオルのクラスでやたらトオルをかまってくる少女とその友達なんかがいて、トオルの周りだけの世界が出来ているのも面白かった。あの目の細い少女ユタカさんがうざアホかわいくて好き。せっかく学園生活を描いているのに、学校のイベントがそれほど出てこないってのもすごいな。
題の「Aチャンネル」って結局どういう意味なんだろう?
「けいおん!」の作者かきふらいが男なのにオタク以外にも女ウケがよかったのはたぶん例外的なんだろうけれど、この「Aチャンネル」の作者黒田bbはWikipediaによると女らしい。作風からして作者は男だと思っていた。こうしてみると、オタに媚びきれない上に女からも支持されにくい微妙な位置にいる感じがする。
キャラ設定をもっと活かした話づくりはできないんだろうか。トオルがバットを振り回しました、でオチて終わり。その先がない。るんが男子にモテてるけれど、単にトオルの嫉妬心を煽っているだけで終わり。男子から聞いた話がもとで展開が広がるとかないのかなあ。トオルの妨害にもめげずにつきまとう男子とか、るんをうらやましがる女子とか。ありきたいになっちゃうか。この作品ならではの微妙な空気感ってのがあるしね。
もっとさらっと書く予定だったのに結構書いてしまった。そんなに次の巻とか期待していないけれど、読むとそれなりに面白くて悪くない作品だと思う。日常系の作品が好きな自分の贔屓目なんだろうか。こういうのが好きな人には勧める。