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9・11 アメリカに報復する資格はない!

ノーム・チョムスキー (山崎淳:訳)

傑作(30点)
2002年12月17日
わたなべ

以前から気になっていたチョムスキーという人の本。911以降のアメリカに関するインタビューを拾い集めたもの。911の被害について言い放った一言が素晴らしい。

「9月11日の被害は、1998年8月にクリントンが行なった(スーダンの)アル−シーファ工場の爆撃の結果に比肩しうるかもしれない。」

ああ、あったなあ、でもそのまま忘れ去られてたんだよね、と思わせる。実際その後に忘れ去られている理由らしきものが告げられる。アメリカが国連の調査を阻止したので事実が明らかにされないため推定でしか話ができない、とかいうことだ。こういう比較をされたアメリカ人は怒るだろう。で、実際に激怒されて、彼らが怒るのは弱者に対する自分の犯罪は空気のようにあたりまえだと感じているからだ、と言う。言ってることは正しい。全部、だいたいこんな調子だ。

彼については単に反アメリカという感じの印象を持っていたが、読んでみるとそのような印象とは全く異なった。なんというか、原則の筋が一本通っていて、その原則に反するものを豊富な知識で斬りまくってるって感じ。結局ごまかしが多くダーティなくせに正義を気取るテロ国家アメリカが一番多く斬られることになっているのではないか。まあ、本のタイトルにもあるように、アメリカに関するものだけ拾ってるからそうなんだけど。

ちなみにアメリカがテロ国家だというのはハーグの国際法廷で合衆国が有罪を宣告されたそうなんで、いまのところ国際社会としてはそう表現しても不都合はないんではないかと思います。判決文みたいなものをネットでざっと探したけど、私には見つけられなかった。見つけた人がいたら教えてほしい。ニカラグアの話だそうです。

全体としては正論が多く共感できる。知らなかったり注目されてなかった事実も語ってくれる。

タイトルに関して、「じゃあ911の犯罪は誰がどうやって処理すればいいのかね」という疑問が湧いた人は読んどこう、てことで。

[参考]
http://www.amazon.co.jp/exec/
obidos/ASIN/4167651289/
ref=sr_aps_b_2/
249-1204296-2733110

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