一昔前の日本のロックバンド。キーボードのいないシンプルな編成で、女ヴォーカルYukiが特徴的な声で歌う。

私はちょうどこの Judy And Mary の世代のはずなのだが、ちゃんと聞き込んだのは活動が事実上停止(?)してから出たベストアルバム The Greatest Escape を気まぐれで買ってからだった。

衝撃を受けた。最初はコマーシャルとかでよく流れていた曲がいいなと思っていたのだが、聞けば聞くほど他の曲もすばらしいと思うようになった。なかでも一番の衝撃は、これだけカラフルでバラエティ豊かな曲がありながら、キーボードがほとんど使われていないことだった。Judy And Mary はギターバンドだったのだ。

軽音楽部で女の子がやりたがるベスト1だったと聞いていたので、正直私は多少バカにしていた。ヴォーカルやってる女だけの趣味で、残りのバックバンドは男たちがしょうがなく付き合ってる、みたいな構図を思い浮かべていた。

活動停止(?)直前になって、ギターの人が ROBOTS というユニットを作ってイロトリドリノセカイを出し、Judy And Mary がまたそれをカバーするということがあった。音楽番組でそのギターの人を見た印象は、きわめておとなしい感じだった。いまになって考えてみると、やはりこれだけ当時曲の中で暴れていたギターの人はただものではなかったのだと思う。私は当時の音楽雑誌やインタビュー記事なんかはまったく見たことがないのだが、この人が当時どう思っていたのかがいまになって気になってきた。もちろんベースの人も。…スタジオミュージシャン？

まあ曲のことはこれ以上言っても伝わってこないだろうから、歌詞のほうに移ろう。当時なんとなく聞いていた曲の歌詞を追っていくと、その良さがだんだん理解できるようになってきた。ジーザスのような物語るものから、バスルームがどうのと歌う感覚的なものまで、感性が豊かで組み立ても優れていて、ポップとしてかなり完成度が高い。

最初に挙げたベストアルバム The Greatest Escape は、値段も手ごろで、もし趣味にあわなくても当時よくテレビや街頭で流れた曲が何曲も入っているので、買って損はないと思う。

ちなみに女ヴォーカルのロックバンドというと、さらに時代を下ると Rebecca とかが、時代を進めると Every Little Thing とかがあるが、私は Judy And Mary が一番すばらしいと思う。ELT も負けず劣らず好きだし、まあ比較自体あまり意味はないのだが…。Rebecca はキーボード主体、ELT はギターもうまいけど主導権はあくまでもキーボード、という比較も面白い。

まあなんにせよ、ビジュアル重視の単発で女ヴォーカルユニットを出しつづける今の風潮をどうにかしてもらいたい。ジャケ買いルックス買いでもさせないと CD が売れないのだろうか。