映画、テレビ番組、舞台芸術
アニメ
ラブライブ! 1期+2期+映画版
アスキー・メディアワークス、ランティス、サンライズ
まあまあ(10点)
2016年5月4日
廃校の危機に瀕した学園を救うため、高坂穂乃果ら三人の普通の少女が「スクールアイドル」として活動を始め、母校をアピールしようとする。うまくいかないライブ、集まらないメンバー、まとまらない心を乗り越えていき、全国の「スクールアイドル」の祭典「ラブライブ」での優勝を目指す。アニメ。
出版社のアスキー・メディアワークスと音楽制作会社ランティスとアニメ制作会社サンライズが組んで、メディアミックスでアイドルもののアニメとCDと雑誌で同時に展開している複合作品の中のアニメ部分。人気があるのは知っていたけれど、自分は確かアニメを1話切りしていた。職場の後輩が「ラブライバー(ラブライブのファン)」をネタにして軽く笑いを取っていたので、いつか見てみようと思っていたらNHKで再放送されたので見てみた。
作品の構造が、かきふらい原作で京都アニメーションがアニメ化した「けいおん!」にとてもよく似ていると思った。いままでやったことのなかったものに挑戦する、天真爛漫な主人公の高坂穂乃果と、良識派で照れ屋なツッコミ役の園田海未と、おっとりした南ことりは、まんま「けいおん!」の平沢唯と秋山澪と琴吹紬だと思った(田井中律みたいながさつなかき回しキャラはいなさげ)。アイドルブームだからアイドルを扱ったんだろうし、色々と計算された作品なのだと思う。
この作品のどのあたりがおもしろいのかというと、うーん、実のところ大して面白いとは思わなかったのだけど、なかなかうまくいかないところとか、色んな人の助けを得るためにメンバー集めをするところだと思う。って1期だけだなこれ。どのエピソードも最後うやむやというか「それでいいじゃん」的に着地してしまうので、納得いかないしすっきりしない。まあ少なくとも「こんなんじゃない」と不満を抱くこともないので大多数の人に受け入れられる方法なのかもしれないけど、こんな作品が増えたらいやだなあ。
2期からは本格的に「ラブライブ」を戦っていくことになるのだけど、もうなんだか集まったメンバー同士で思い出づくりしているだけって感じでさっぱりおもしろくなかった。特に映画がひどくて、いまさら解散するしないでグチグチした展開を見させられるとは思わなかった。映画「けいおん!」も後半そんな感じだったし、そういうのがウケるんだろうか。私たちの輝いているいまはこの瞬間だけなんだよ!もう終わっちゃうよ!みたいな。
作品全体の尺に比べて感傷の部分が長すぎると思う。メディアミックスの雑誌の部分でメンバーの活動を描いているからだろうか。
で、自分はどのメンバーが好きかというと(!)、勘違いアイドルキャラの矢澤にこが一番よかった。アイドルブームをおちょくっているかのようなギャグ枠の扱いなのだけど、「にっこにっこにー」は真面目にかわいいと思った。笑ったけど。それとアイドル研究部の部長でもあって、リーダーになりたがるという輪をかけた勘違いキャラなのだけど、一度アイドルグループを立ち上げて失敗した経験があったり、一生懸命アイドルしようとしたりしているところに惹かれた。
1期のオープニング曲と振付けがとても良かった。特にサビの踊りが最高で、正直意味の分からない振付けなのだけど、見ていて吸い寄せられた。自分に言わせれば、踊りというのは「動きに縛られた人」という点でSMチックな感じがするのだけど、統一感のある動きを生身の人間がまるで人形のようにパフォーマンスするところがなんだかエロいというか、そそられる。
南ことりが脱退しそうになるところが1期の山場なのだけど、最後に南ことりが本心を打ち明けたところですごくいいテーマだなあと思いつつ、なぜこんな微妙な流れになっちゃったんだろうと残念に思った。この結末にファンは納得しているんだろうか。「けいおん!」でメンバー全員が同じ女子大に進学したのとかを見ると、いまの時代はやりたいことがどうのとかよりも友情を優先したい人が多いのかもしれない。自分が育った時代では考えられないことなのだけど、その気持ちは分からなくないと思いつつも、ちょっともやっとする。
この作品で扱っているアイドルって、歌って踊るところまでなので、バラエティ番組に出て個性を愛されるところまでは行っていない。「スクールアイドル」にすることであえてそうしていると思うのだけど、なぜそうしたんだろう。アイドルものならちょっと古いけど小花美穂「こどものおもちゃ」みたいな、自分のキャラクター全体が国民から愛されるようなのがウケそうだと思ったんだけど、いまの時代はちょっと違うんだろうか。不特定多数の人々から崇拝されることよりも、仲間うちで楽しくやってそれが周りから認められて応援されたり羨望されたりするほうが嬉しいんだろうか。まあよく考えたらそれが自然だよなあ。全然知らない数百万人から愛されるよりも、気の知れた仲間たちと楽しく過ごすほうがいいに決まってる。
音楽的にはそれほど惹かれなかった。よくテレビコマーシャルで流れている曲を耳にすると「おっ」と思うけれど、それだけで終わってしまうような曲ばかりだった。メンバー9人のうち何人かはソロ活動もしているし、全体的に歌唱力が高いと思うのだけど、こうしてアイドルものの曲を合唱してもなんかいまいちだった。ソロ曲もあるけどぱっとしない。アイドル曲という縛りの中でやっているからかもしれない。
人に勧める度合いとしては「見ておいてもいい」ぐらいの作品だと思う。
出版社のアスキー・メディアワークスと音楽制作会社ランティスとアニメ制作会社サンライズが組んで、メディアミックスでアイドルもののアニメとCDと雑誌で同時に展開している複合作品の中のアニメ部分。人気があるのは知っていたけれど、自分は確かアニメを1話切りしていた。職場の後輩が「ラブライバー(ラブライブのファン)」をネタにして軽く笑いを取っていたので、いつか見てみようと思っていたらNHKで再放送されたので見てみた。
作品の構造が、かきふらい原作で京都アニメーションがアニメ化した「けいおん!」にとてもよく似ていると思った。いままでやったことのなかったものに挑戦する、天真爛漫な主人公の高坂穂乃果と、良識派で照れ屋なツッコミ役の園田海未と、おっとりした南ことりは、まんま「けいおん!」の平沢唯と秋山澪と琴吹紬だと思った(田井中律みたいながさつなかき回しキャラはいなさげ)。アイドルブームだからアイドルを扱ったんだろうし、色々と計算された作品なのだと思う。
この作品のどのあたりがおもしろいのかというと、うーん、実のところ大して面白いとは思わなかったのだけど、なかなかうまくいかないところとか、色んな人の助けを得るためにメンバー集めをするところだと思う。って1期だけだなこれ。どのエピソードも最後うやむやというか「それでいいじゃん」的に着地してしまうので、納得いかないしすっきりしない。まあ少なくとも「こんなんじゃない」と不満を抱くこともないので大多数の人に受け入れられる方法なのかもしれないけど、こんな作品が増えたらいやだなあ。
2期からは本格的に「ラブライブ」を戦っていくことになるのだけど、もうなんだか集まったメンバー同士で思い出づくりしているだけって感じでさっぱりおもしろくなかった。特に映画がひどくて、いまさら解散するしないでグチグチした展開を見させられるとは思わなかった。映画「けいおん!」も後半そんな感じだったし、そういうのがウケるんだろうか。私たちの輝いているいまはこの瞬間だけなんだよ!もう終わっちゃうよ!みたいな。
作品全体の尺に比べて感傷の部分が長すぎると思う。メディアミックスの雑誌の部分でメンバーの活動を描いているからだろうか。
で、自分はどのメンバーが好きかというと(!)、勘違いアイドルキャラの矢澤にこが一番よかった。アイドルブームをおちょくっているかのようなギャグ枠の扱いなのだけど、「にっこにっこにー」は真面目にかわいいと思った。笑ったけど。それとアイドル研究部の部長でもあって、リーダーになりたがるという輪をかけた勘違いキャラなのだけど、一度アイドルグループを立ち上げて失敗した経験があったり、一生懸命アイドルしようとしたりしているところに惹かれた。
1期のオープニング曲と振付けがとても良かった。特にサビの踊りが最高で、正直意味の分からない振付けなのだけど、見ていて吸い寄せられた。自分に言わせれば、踊りというのは「動きに縛られた人」という点でSMチックな感じがするのだけど、統一感のある動きを生身の人間がまるで人形のようにパフォーマンスするところがなんだかエロいというか、そそられる。
南ことりが脱退しそうになるところが1期の山場なのだけど、最後に南ことりが本心を打ち明けたところですごくいいテーマだなあと思いつつ、なぜこんな微妙な流れになっちゃったんだろうと残念に思った。この結末にファンは納得しているんだろうか。「けいおん!」でメンバー全員が同じ女子大に進学したのとかを見ると、いまの時代はやりたいことがどうのとかよりも友情を優先したい人が多いのかもしれない。自分が育った時代では考えられないことなのだけど、その気持ちは分からなくないと思いつつも、ちょっともやっとする。
この作品で扱っているアイドルって、歌って踊るところまでなので、バラエティ番組に出て個性を愛されるところまでは行っていない。「スクールアイドル」にすることであえてそうしていると思うのだけど、なぜそうしたんだろう。アイドルものならちょっと古いけど小花美穂「こどものおもちゃ」みたいな、自分のキャラクター全体が国民から愛されるようなのがウケそうだと思ったんだけど、いまの時代はちょっと違うんだろうか。不特定多数の人々から崇拝されることよりも、仲間うちで楽しくやってそれが周りから認められて応援されたり羨望されたりするほうが嬉しいんだろうか。まあよく考えたらそれが自然だよなあ。全然知らない数百万人から愛されるよりも、気の知れた仲間たちと楽しく過ごすほうがいいに決まってる。
音楽的にはそれほど惹かれなかった。よくテレビコマーシャルで流れている曲を耳にすると「おっ」と思うけれど、それだけで終わってしまうような曲ばかりだった。メンバー9人のうち何人かはソロ活動もしているし、全体的に歌唱力が高いと思うのだけど、こうしてアイドルものの曲を合唱してもなんかいまいちだった。ソロ曲もあるけどぱっとしない。アイドル曲という縛りの中でやっているからかもしれない。
人に勧める度合いとしては「見ておいてもいい」ぐらいの作品だと思う。