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一神教 レオタード 朴甲東

米原万理 (週刊文春 2003.4.3 私の読書日記)

いまいち(-10点)
2003年4月28日
ひっちぃ

五人の著者が持ちまわりで毎週書評を2ページにわたって書いているコーナーの、ロシア語会議通訳・エッセイスト・米原万理の番のもの。

私はこのコーナーがわりと好きで、本を読んだ気にさせてくれる。普段自分が興味のない本なんかは手に取ったりもしないのだが、五人の著者がそれぞれの興味で取り上げて簡単に紹介し感想を書き自分の話とも絡めて書いていて面白い。

ただ、この米原万理だけはレベルが一つ落ちるんじゃないかと思う。ロシア語の専門家だけあって切り口や体験談には独特なものがあるが、自分の意見を絡めて書いているところには首を傾げたくなるところがある。

特に今回そう思ったのは、私が尊敬する数少ない人・岸田秀の本を、評価し納得しながらも、最後は強引にオカルト扱いしているからである。まあ実のところ精神分析なんてものにはある程度オカルトがあるのは認めるところだが、もう少し自分の知の及ばないところへの敬意があってもいいのではないかと思う。延々1ページを解説に当て、「思い当たることは多々あるが」と受けたあとで、「…と裏付け無しに言われてもトンデモ度が跳ね上がるばかり」とは馬鹿にしすぎていないか。

まああとは左寄りのところがあったりする。新しい教科書を作る会を枕詞的にけなして始まったり、今回のように北朝鮮とかそのあたりを中立を装ってやや好意的にとりあげているっぽいあたりも。

まあ逆に池澤夏樹なんかはバリバリアメリカ批判の右寄りで、見る人が見ればこちらのほうが偏向しているかもしれない。私はもちろん喜んで読んでいるのだけど。

立花隆も思想的にはあまり好きじゃないけど、興味の幅があって面白い。鹿島茂はフランス文学者で、米原とは分野的に隣接しているはずなのだが、こちらのほうがずっと面白い。フランスつながりの渋沢栄一関連の連載を持ってたりなど、幅もある。

ところでこのコーナーは一定期間で人が入れ替わる。最近入れ替わったばかりの中国出身の張競という比較文化学者はいまのところ結構面白い。中国人からみた日本という視点で取り上げてくれているのがうまいと思う。最近のおじさんの好みがわかってるね。今後口うるさくなったりしないかと気にはなるが。

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