マンガ
学園もの
星野、目をつぶって。 7巻まで
永椎晃平 (講談社 少年マガジンコミックス)
いまいち(-10点)
2017年9月17日
美術部に所属する小早川くんは、クラスメイトに名前も覚えてもらえないほど根暗なキャラだったが、クラス一の人気者で派手な女の子の星野美咲の秘密を知ってしまい、二人は共犯関係となって他の生徒たちや自分たちの問題に立ち向かっていく。少年マンガ。
アニメ番組のコマーシャルにこの作品の宣伝がちょくちょく流れていて、ちょっと気になる青春ものっぽいアピールだったので読んでみたけれど、思っていたのと違った。題にある星野に目をつぶらせるのは別にキスをするためではなくて、すっぴんの彼女に化粧をするためなのだった。
星野美咲は化粧映えする美少女(?)なのだけど、逆に言えば化粧をとるとのっぺりした「ういろう」顔で、不器用だから自分では化粧できないので、いつもは仲のいい美術部顧問の弓削先生に化粧してもらっていた。しかし弓削先生はそういつまでも世話を焼いているわけにはいかないというので、美術部で人物画のうまい小早川くんに目をつけ、化粧を覚えさせて自分の代わりに星野に化粧をする役を引き継がせようとする。
星野は元々友達付き合いがうまくいっていなかったのだけど、化粧をしてから何もかもがうまく回りだしたため、すっぴんではまたかつてのようにみんなから仲良くしてもらえなくなってしまうのではないかと恐れている。そんなわけで、校内で化粧が落ちてしまったときはジャージに着替えて別人になりすましてやりすごすことにしている。このときの彼女は星野美咲ではなく謎の「ジャージ女」として校内で噂になっていく。
多分主人公の小早川くんはテンプレ的な陰キャラ男子なのだけど、星野らに巻き込まれるうちに時折みんなの前で本音を叫ぶようになる。そんな彼の振る舞いを見て、女子バレー部の孤高の実力者・添島冴子、同じ美術部の黒髪ロングメガネな女の子の松方いおり、その松方をいじめていた黒ギャルの加納、野球部エースの高橋良太など、ひとくせある生徒たちが小早川くんに惹かれて接近するようになる。しかし彼自身の普段の心のありようはそう簡単には変わることができないのだった。
こんなふうにこの作品を紹介していくと、なんだかいい感じになるのだけど、実際のところこの作品は色々とおかしいと思う。
最初にして最大の違和感は、あれだけ陰に陽に黒髪少女の松方いおりをいじめていた黒ギャルの加納を、結局大した説明なしに主人公サイドに持っていってしまったこと。どうも加納は加納で松方になにかされたと思っているらしいのだけど、何をされたのかという描写がまったくない。そんでもって加納は、改心(?)してから松方に謝罪をするのだけど、どういう理由で謝罪するのかも言わないし、松方は松方でそんな加納を決して許さないと言う。でそのままストーリーは進み続ける。うーん。なにこれ。
小早川少年の成長物語なのかと思ったら全然成長しないし、っていうかそれ以前に小早川少年の悩みとか問題とかがふわっとしていて、いまいち彼に共感できない。
ちょっとネタバレすると弓削先生が途中で退場するのだけど、彼女が学校を去る理由もなんとなくかっこよさげで感傷的なことしか言わないので、なんだかすごくかっこわるくなっている。このままじゃいけないという思いは誰にでもあると思うし、人生には選ばなければならない決断の時が何度か訪れるものなのだけど、なんでもっとちゃんと描かないんだろう。一緒についてきてもいいよと星野に言う理由もよく分からない。そもそもこのご時勢で、プータローがそう簡単に美術教師になれるものだろうか。
ハーレムものっぽい人物構成なのだけど、小早川くんのことをはっきり好きと言うのは一人だけで、それ以外の女の子たちの描写がモヤッとしている。きっと好きなんだろうなあと想像できる一歩手前ぐらいの寸止め状態なので読んでいて自分はあんまり楽しめなかった。
この作品を一言で言うと、渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の粗悪なコピーだと思う。割と読みやすいし、話が面白くなりそうな期待感はあるので、それに引きずられて7巻まで読んだのだけど、まったくの期待外れだった。
青春ものが好きでほどほどに読めるものならなんでもいいという人なら読んでもいいと思う。けれど、そうでないならばこの作品に手を出すのは時間の無駄なので読まないほうがいい。
アニメ番組のコマーシャルにこの作品の宣伝がちょくちょく流れていて、ちょっと気になる青春ものっぽいアピールだったので読んでみたけれど、思っていたのと違った。題にある星野に目をつぶらせるのは別にキスをするためではなくて、すっぴんの彼女に化粧をするためなのだった。
星野美咲は化粧映えする美少女(?)なのだけど、逆に言えば化粧をとるとのっぺりした「ういろう」顔で、不器用だから自分では化粧できないので、いつもは仲のいい美術部顧問の弓削先生に化粧してもらっていた。しかし弓削先生はそういつまでも世話を焼いているわけにはいかないというので、美術部で人物画のうまい小早川くんに目をつけ、化粧を覚えさせて自分の代わりに星野に化粧をする役を引き継がせようとする。
星野は元々友達付き合いがうまくいっていなかったのだけど、化粧をしてから何もかもがうまく回りだしたため、すっぴんではまたかつてのようにみんなから仲良くしてもらえなくなってしまうのではないかと恐れている。そんなわけで、校内で化粧が落ちてしまったときはジャージに着替えて別人になりすましてやりすごすことにしている。このときの彼女は星野美咲ではなく謎の「ジャージ女」として校内で噂になっていく。
多分主人公の小早川くんはテンプレ的な陰キャラ男子なのだけど、星野らに巻き込まれるうちに時折みんなの前で本音を叫ぶようになる。そんな彼の振る舞いを見て、女子バレー部の孤高の実力者・添島冴子、同じ美術部の黒髪ロングメガネな女の子の松方いおり、その松方をいじめていた黒ギャルの加納、野球部エースの高橋良太など、ひとくせある生徒たちが小早川くんに惹かれて接近するようになる。しかし彼自身の普段の心のありようはそう簡単には変わることができないのだった。
こんなふうにこの作品を紹介していくと、なんだかいい感じになるのだけど、実際のところこの作品は色々とおかしいと思う。
最初にして最大の違和感は、あれだけ陰に陽に黒髪少女の松方いおりをいじめていた黒ギャルの加納を、結局大した説明なしに主人公サイドに持っていってしまったこと。どうも加納は加納で松方になにかされたと思っているらしいのだけど、何をされたのかという描写がまったくない。そんでもって加納は、改心(?)してから松方に謝罪をするのだけど、どういう理由で謝罪するのかも言わないし、松方は松方でそんな加納を決して許さないと言う。でそのままストーリーは進み続ける。うーん。なにこれ。
小早川少年の成長物語なのかと思ったら全然成長しないし、っていうかそれ以前に小早川少年の悩みとか問題とかがふわっとしていて、いまいち彼に共感できない。
ちょっとネタバレすると弓削先生が途中で退場するのだけど、彼女が学校を去る理由もなんとなくかっこよさげで感傷的なことしか言わないので、なんだかすごくかっこわるくなっている。このままじゃいけないという思いは誰にでもあると思うし、人生には選ばなければならない決断の時が何度か訪れるものなのだけど、なんでもっとちゃんと描かないんだろう。一緒についてきてもいいよと星野に言う理由もよく分からない。そもそもこのご時勢で、プータローがそう簡単に美術教師になれるものだろうか。
ハーレムものっぽい人物構成なのだけど、小早川くんのことをはっきり好きと言うのは一人だけで、それ以外の女の子たちの描写がモヤッとしている。きっと好きなんだろうなあと想像できる一歩手前ぐらいの寸止め状態なので読んでいて自分はあんまり楽しめなかった。
この作品を一言で言うと、渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の粗悪なコピーだと思う。割と読みやすいし、話が面白くなりそうな期待感はあるので、それに引きずられて7巻まで読んだのだけど、まったくの期待外れだった。
青春ものが好きでほどほどに読めるものならなんでもいいという人なら読んでもいいと思う。けれど、そうでないならばこの作品に手を出すのは時間の無駄なので読まないほうがいい。