映画、テレビ番組、舞台芸術
邦画
超高速!参勤交代
脚本:土橋章宏 監督:本木克英 制作・配給:松竹
まあまあ(10点)
2018年2月27日
江戸幕府八代将軍徳川吉宗の時代。東北の小藩・湯長谷藩に続けざまに参勤交代が命ぜられた。同藩がひそかに金山を発見して開発しているのではないかと疑っていた老中・松平信祝の策略だった。五日以内に江戸に来て金山隠蔽疑惑について説明せよとの無理難題に対して、貧しい小藩の面々はなんとか参勤交代の体裁を保って江戸に行く方法を考える。邦画。
テレビコマーシャルで何十人もの大名行列が駆け足で進んでいる画を見て笑ってしまった。以来、気になってはいたのだけどわざわざ金と時間を掛けて映画館まで行く気にはなれず、テレビで放映していたので見てみた。一言で言うと佳作って感じだった。実は続編もあってこちらもテレビ放映していたので録画したのだけど、この一作目を見て大したことないと思って見ずに消した。
参勤交代というと普通は「下に〜下に」という掛け声(?)で町民を平伏させながらのったりくったりと大名行列が歩くイメージなのだけど、そんなにちんたらしていたら時間が掛かってしまうし、大勢連れ歩いて寝泊まりしたり食事とらせたりする余裕がない。そこで彼らは少人数で走ることを思いついたのだった。
あれ?大名行列が走っている画はどこなの?と思ったらそれは単なる演出だった。要所要所の宿場町で役人が大名行列の通過を監視しているので、そこを通るときだけその場限りの人々を雇って切り抜ける。それでもあまり多くの人は雇えないので、役人の前を通り過ぎたら急いで後ろに回ってまた役人の前を通ることで、大名行列を長く見せようとする。演出のミスリードに腹が立ったのでネタバレしてしまった。
さすがに殿様を走らせるわけにはいかないので殿様だけ一人単騎で駆けて待ち合わせ場所で合流するのだけど、途中でヒロインと出会ってちょっとしたロマンスがある。また、駆け足の家来たちも街道を走るのではなく、謎の抜け忍を雇って近道を教えてもらって山道を行く。しかし、老中が放った忍びに狙われる。
時代劇の見どころであるチャンバラで盛り上げる。最初の方は重い刀なんて持って走るのは疲れるのでみんな竹光(竹で作った刀)を持っていて満足に戦えないのだけど、最後の最後で武勇で鳴らした小藩の意地を見せて戦うところにすごくカタルシスを感じた。
と筋書きを見ると面白そうな話に感じられるかもしれないけれど、正直割と退屈だった。なぜなんだろう。ネットで調べてみたら、この作品はまず脚本があって高い評価を得てそこから映画化したものだということが分かった。良く出来た脚本だと思う。でも全体的に良く出来ているなあという域を出ない感じ。
一番分かりやすいところから批評していくと、ヒロインを演じているのが深田恭子という旬を過ぎたキャスティングであるところ。深キョン(半笑い)のことは個人的には好きだし悪くなかったのだけど、年齢的にも映画の魅力を引き立てるのはもう無理だと思う。映画好きな人はヒロインの女優目当てで行くことも多いみたいだし。ある程度以上の年齢層を狙ったんだろうか。役について言うと、娼館なのに自分を抱こうとしないお殿様に惹かれていくというベタな展開を楽しめなかったのは脚本的にも演技的にもぎこちなく感じたからだし、ラストの啖呵は本当にしらけた。
一方で主演の佐々木蔵之介はビジュアルも演技もとても良かったけれど、どうも性格描写が浅い感じがして思い入れられなかった。幼少期のトラウマによる閉所恐怖症という点と、根っからのお人よしというおおらかな点とが、かみ合っていないと思う。ひどい目にあった人というのはどうしても用心深くなるものなのだから。
そのほか、色々と手堅い作品ではあるのだけど、そんなに突き抜けたところがなかった。最後に犠牲者が出てしまうところもふうんという感じだったし、途中で何度も危機にあうのだけど、どうせなんとかなるんだろうって感じで展開にもそれほどワクワクするところがなかった。あ、最後の戦いだけはすごく盛り上がったっけ。お殿様の居合いとか、老中との対面シーンとかも良かった。でも、人に勧めたくなるようなところがそれほどないんじゃあなあ。
これは想像だけど、お金集めのために手堅い要素を詰め込みすぎなんだと思う。映画一本作るのにお金が掛かるから、どうしても無難な感じになってしまうし、ある程度興行成績が見込める作品しか作らない。やっぱり面白い映画っていうのはたくさん作った中から出てくるものだと思う。自分が知らないだけかもしれないけれど、こうしてあまり映画の好きじゃない自分に届く作品を見てもこの程度なのかと思ってしまう。
脚本だって審査員が全員満点つけたらしいけれど、そもそも脚本の賞に応募する人ってどのくらいいるんだろう。それに審査はちゃんと行われているんだろうか。最近の映画やドラマにマンガや小説が原作の作品が多いことからも察することができる。作るのにお金の掛かるものほど、スポンサーだけでなくプロデューサーの好みが反映されてしまい、彼らのフィルターを通過しなければ作品を世に出すことが出来ない。
文句ばっかり言うのもなんなので解決策をちょろっとだけ考えると、予算の掛からないシチュエーションコメディなんかをネットで競い合うように作るってのはどうだろう。競争を勝ち抜いた作品が地上波なり映画化なりするようにすれば盛り上がるんじゃないだろうか。飽和している地下アイドルとか芸人とか劇団員とかいっぱいいるんだし。あー、つまんない作品しか作れないのかなあ。ながら試聴に適した作品づくりとかすれば見る人いると思う。映像つきラジオドラマ的な。
テレビコマーシャルで何十人もの大名行列が駆け足で進んでいる画を見て笑ってしまった。以来、気になってはいたのだけどわざわざ金と時間を掛けて映画館まで行く気にはなれず、テレビで放映していたので見てみた。一言で言うと佳作って感じだった。実は続編もあってこちらもテレビ放映していたので録画したのだけど、この一作目を見て大したことないと思って見ずに消した。
参勤交代というと普通は「下に〜下に」という掛け声(?)で町民を平伏させながらのったりくったりと大名行列が歩くイメージなのだけど、そんなにちんたらしていたら時間が掛かってしまうし、大勢連れ歩いて寝泊まりしたり食事とらせたりする余裕がない。そこで彼らは少人数で走ることを思いついたのだった。
あれ?大名行列が走っている画はどこなの?と思ったらそれは単なる演出だった。要所要所の宿場町で役人が大名行列の通過を監視しているので、そこを通るときだけその場限りの人々を雇って切り抜ける。それでもあまり多くの人は雇えないので、役人の前を通り過ぎたら急いで後ろに回ってまた役人の前を通ることで、大名行列を長く見せようとする。演出のミスリードに腹が立ったのでネタバレしてしまった。
さすがに殿様を走らせるわけにはいかないので殿様だけ一人単騎で駆けて待ち合わせ場所で合流するのだけど、途中でヒロインと出会ってちょっとしたロマンスがある。また、駆け足の家来たちも街道を走るのではなく、謎の抜け忍を雇って近道を教えてもらって山道を行く。しかし、老中が放った忍びに狙われる。
時代劇の見どころであるチャンバラで盛り上げる。最初の方は重い刀なんて持って走るのは疲れるのでみんな竹光(竹で作った刀)を持っていて満足に戦えないのだけど、最後の最後で武勇で鳴らした小藩の意地を見せて戦うところにすごくカタルシスを感じた。
と筋書きを見ると面白そうな話に感じられるかもしれないけれど、正直割と退屈だった。なぜなんだろう。ネットで調べてみたら、この作品はまず脚本があって高い評価を得てそこから映画化したものだということが分かった。良く出来た脚本だと思う。でも全体的に良く出来ているなあという域を出ない感じ。
一番分かりやすいところから批評していくと、ヒロインを演じているのが深田恭子という旬を過ぎたキャスティングであるところ。深キョン(半笑い)のことは個人的には好きだし悪くなかったのだけど、年齢的にも映画の魅力を引き立てるのはもう無理だと思う。映画好きな人はヒロインの女優目当てで行くことも多いみたいだし。ある程度以上の年齢層を狙ったんだろうか。役について言うと、娼館なのに自分を抱こうとしないお殿様に惹かれていくというベタな展開を楽しめなかったのは脚本的にも演技的にもぎこちなく感じたからだし、ラストの啖呵は本当にしらけた。
一方で主演の佐々木蔵之介はビジュアルも演技もとても良かったけれど、どうも性格描写が浅い感じがして思い入れられなかった。幼少期のトラウマによる閉所恐怖症という点と、根っからのお人よしというおおらかな点とが、かみ合っていないと思う。ひどい目にあった人というのはどうしても用心深くなるものなのだから。
そのほか、色々と手堅い作品ではあるのだけど、そんなに突き抜けたところがなかった。最後に犠牲者が出てしまうところもふうんという感じだったし、途中で何度も危機にあうのだけど、どうせなんとかなるんだろうって感じで展開にもそれほどワクワクするところがなかった。あ、最後の戦いだけはすごく盛り上がったっけ。お殿様の居合いとか、老中との対面シーンとかも良かった。でも、人に勧めたくなるようなところがそれほどないんじゃあなあ。
これは想像だけど、お金集めのために手堅い要素を詰め込みすぎなんだと思う。映画一本作るのにお金が掛かるから、どうしても無難な感じになってしまうし、ある程度興行成績が見込める作品しか作らない。やっぱり面白い映画っていうのはたくさん作った中から出てくるものだと思う。自分が知らないだけかもしれないけれど、こうしてあまり映画の好きじゃない自分に届く作品を見てもこの程度なのかと思ってしまう。
脚本だって審査員が全員満点つけたらしいけれど、そもそも脚本の賞に応募する人ってどのくらいいるんだろう。それに審査はちゃんと行われているんだろうか。最近の映画やドラマにマンガや小説が原作の作品が多いことからも察することができる。作るのにお金の掛かるものほど、スポンサーだけでなくプロデューサーの好みが反映されてしまい、彼らのフィルターを通過しなければ作品を世に出すことが出来ない。
文句ばっかり言うのもなんなので解決策をちょろっとだけ考えると、予算の掛からないシチュエーションコメディなんかをネットで競い合うように作るってのはどうだろう。競争を勝ち抜いた作品が地上波なり映画化なりするようにすれば盛り上がるんじゃないだろうか。飽和している地下アイドルとか芸人とか劇団員とかいっぱいいるんだし。あー、つまんない作品しか作れないのかなあ。ながら試聴に適した作品づくりとかすれば見る人いると思う。映像つきラジオドラマ的な。
(最終更新日: 2021年1月9日 by ひっちぃ)