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EarStudio ES100

RADSONE

傑作(30点)
2018年12月18日
ひっちぃ

オーディオ会社RADSONEがクラウドファンディングで資金を集めて作ったBluetoothレシーバー。わずが20gの小さなボディに機能が凝縮されており、スマートフォンなどと無線で接続し、イヤホンをいい音で鳴らしてくれる。アプリを使って細かいセッティングが出来るほか、AptX HDやLDACと幅広いコーデックに対応しており、さらに2.5mmバランス出力も備えているのが特徴。

ShureのKSE1200というコンデンサー型のイヤホンを買ったのはいいけれど、専用のヘッドホンアンプが意外とかさばり、デジタルオーディオプレイヤーに接続するとコードまみれになったりポケットに入りきらなくなったりしたので、多少音質を犠牲にしてもいいからもっと小型の再生機器と組み合わせられないか検討した中でこれを見つけた。もうクラウドファンディング自体は終わっていたので先行者の価格では買えず、普通にヨドバシカメラの通販で一万五千円ぐらいで買った。その後eイヤホンなんかで一万二千円でセールされていたのを二回ぐらい見た。

届いて開封したらまずその小ささに驚いた。プラスチックのボディで軽いこともあって本当におもちゃみたいな感じがしてちょっと不安になった。操作は簡単で、例によってボタンを長押ししてBluetooth機器としてスマートフォンとペアリングすると、スマートフォンで再生した音楽がこいつで鳴る。本体に洗濯ばさみみたいなタイプのクリップがついていて、服に止めることが出来るようになっている。

本体には電源スイッチを兼ねた再生/停止ボタンとボリュームボタンや曲送りボタンがついているのでこいつだけで操作することもできるのだけど、AndroidとiPhone向けに専用アプリが用意されていて、ボリュームのほかにイコライザの操作も出来るようになっている。アプリから本体の電源を落とすこともできる。バッテリーの減り具合も確認できる。

肝心の音質については、正直まったく面白みのない音だった。でもそれがKSE1200と合わせるには良かった。実はSHANLINGのm0という超小型デジタルオーディオプレイヤーも一緒に買ったのだけど、m0のほうがBluetoothレシーバーとしてだけでなくプレイヤーとしても使える上に音質もやや上なのに、惜しいことにチューニングが軽くて音がポップコーンみたいなのでKSE1200と合わせるのには向かなかった。m0は多分高域が伸びないイヤホンと合わせると気持ちよく聴けるんだろうけど、全域出る高級イヤホンにはEarStudio ES100のほうが合っていると思う。自分はONKYO GranbeatとAptX HDで接続して使っていることが多いのだけど、Bluetoothっぽい音痩せは若干あるもののアンプの力で気持ちよく聴けた。

バッテリーは自分の使い方だとギリギリ二日持つ。通勤で往復二時間弱と昼休みや朝に合計一時間ぐらい聴くので大体六時間ぐらいだろうか。本当にギリギリなので心配な時は朝の出かける前にちょっと充電する。すぐ充電が終わるので、バッテリーで困ったことはない。自分のようにライン出力としてポータブルアンプと接続する場合はこのぐらいしか持たないけれど、普通にイヤホンをつなぐばあいはもっと持つはず。カタログスペックだと14時間持つらしいが、コーデックやボリュームに大きく左右されるはず。一応注意点として、あまり大容量の充電器をつながないようにと書かれている。タブレット用の充電器は使わないほうがいいと思う。

Bluetoothは無線なのでやはりたまに人が多いところなんかで接続が不安定になって音が切れたり歪んだりするけれど、そんなに気にならない程度だった。

ファームウェアのアップデートをこまめにやってくれているらしい。発売当初は対応していなかったLDACにもアップデートで対応した。アップデートにはPCに接続して更新用ソフトをダウンロードしてコマンドラインで操作してやる必要がある。自分にとっては全然問題なかったけれど、普通の人にはちょっと難しいかもしれない。まあ説明どおりに文字を打つだけなのだけど。あと、アップデートしたら接続が切れやすくなったなどの報告をたまに見かけたので、新しいファームウェアが公開されても様子を見てからアップデートしたほうがいいかもしれない。

自分は買って半年ぐらい使っているのだけど、いま見てみたら角っこの塗装がちょっと剥げていた。

普通のイヤホンを直接つないでワイヤレスヘッドホンのように使うのが本来の使い方なのだけど、いまのところ自分はその使い方をする気にはなれなかった。それだったら有線でデジタルオーディオプレイヤーにつないで少しでもいい音で聴きたいから。iPhoneが7からヘッドホン端子なくなったので最近はBluetooth接続がメジャーになってきつつあると思うのだけど、一万円以下の安いイヤホンを使っている人がわざわざこのBluetoothレシーバーなんて買わないよなあ。完全ワイヤレスイヤホンのほうが訴求力が高そうだし、完全ワイヤレスじゃなくても色々と製品が出ているのでそっちに目移りしそう。既にそれなりにいいイヤホンを持っている人が無線化したいときだけ候補に上がると思う。

2018年秋のヘッドホン祭りでShureのBluetoothケーブルBT2を同社のSE846と一緒に試聴してみたら結構音がよくてびっくりした。そのあとSE846を有線でONKYO Granbeatとつないで鳴らしてみたらそんなに大した音じゃなかったので、BluetoothケーブルBT2の音がすごく良かったのだと思う。ちょっと個性的な、フラットとは言い難い多少加工された音だったけれど、Bluetoothのコーデックのクセに合わせた良い音だと思った。EarStudio ES100もこれぐらい良い音が出ればいいのに。でもBT2はMMCXコネクタでイヤホンと接続するのでKSE1200とはつなげられないのだった。

本体がもっと大きくてもいいならば、たとえばFiio Q5なんかいいと思う。こいつは同社のデジタルオーディオプレイヤーのフラッグシップX7 mk2からアンプ部を抜き出してBluetoothレシーバーにしたもので、本体サイズがほとんどX7と変わらないぐらいある分、アナログ回路がしっかりしていていい音が出るらしい。X7 mk2を持っている自分にはかぶるので手を出しにくいのだけど、X7 mk2のソフトウェア部分のダメダメさを思えば、シンプルなBluetoothレシーバーであるQ5を普通のスマートフォンとつなげたほうが操作性は高いと思う。無線を介するので情報量は落ちてしまうけれど。

なにげにDACチップを二つ積んでいるらしい。たぶんバランス出力で使っているのだと思うけれどよくわからない。アンバランスでも左右で分ければ音質が上がるはずなんだけど、そういう使い方をしている機器は自分の知る限りあんまりないので期待しないほうがいいと思う。

自分にとっては代えがたい製品なので非常に助かっている。自分の目的と合うならばとても有用な製品だと思う。無線でなるべく加工されていない音で聴きたい人とか、アプリで色々操作したい人なら手を出してみてもいいと思う。

[参考]
https://www.radsone.com/
earstudio

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