フィクション活字
ファンタジー
Re:ゼロから始める異世界生活 書籍版 2〜3巻
長月達平 (KADOKAWA MF文庫J)
まあまあ(10点)
2019年4月7日
中世ファンタジー風の異世界に飛ばされた引きこもりの高校生男子ナツキ・スバルは、精霊使いの美少女エミリアの命を救ったものの重傷を負い、怪我の治療のため彼女が滞在する貴族の屋敷に引き取られる。そこへ再び謎の襲撃者が迫る。ライトノベル。
ネットの掲示板を見ていたらどうやらこのエピソードから登場する双子のメイド姉妹ラムとレムがこの作品の真のヒロインだと言っている人がいて、アニメを見ていたときはなるほど確かにそうだなと思って割と楽しめたのだけど、今回この原作小説を読んでみて結構アニメのまんまで思っていたほど楽しめなかった。アニメの出来が良すぎたんだと思う。でもアニメが面白かったのは原作の話が良かったからなのだろう。
ネタバレにならないように書くと、今回の話はバッドエンドの原因を突き止めて回避したと思ったら別の原因でバッドエンドを迎えてしまう。また、最初になにげなく取っていた行動を二回目やめてみたら後退してしまう。こういった謎解き要素が面白かった。
この世界のことをよく知らないスバルは、外に放り出されたら生きていけないので屋敷に住み込みで働きたいと言う。双子のメイド姉妹ラムとレムに厳しく指導されながら屋敷の掃除や洗濯や皿洗いをやり、夜は文字の勉強なんかもさせてもらう。この世界では言葉は何不自由ないけれど文字は読めないのだった。そんな風に平穏に日々が過ぎていくのかと思ったら…。
うまくいくまで何度でも巻き戻ってしまうという構造により、物語にとても緊張感がある。普通の話だったら、こう言ってしまうと興ざめかもしれないけれど作者がいかに主人公をピンチに追いやって危機感を煽って読者を楽しませられるかなので、それがうまくいっていない作品だと全然ハラハラドキドキせずにご都合主義感があふれてしまう。しかしこの作品の場合は実際に主人公が失敗して悲劇的な結末にいたるところ描いてしまうことが出来るので、読者は最後まで本当にうまくいくのか心配してしまう。
そして一番良かったのが、人の信頼を得ることでその人の態度が変わってくることがはっきりと描かれるところ。いままでも時間を掛けて人々の信頼を得ることで徐々にうまくいくようになる話はあったけれど、この作品の場合は態度の違いが残酷なまでにはっきりと描き分けられている。
この巻のスバルは、周りの人々からしてみれば謎の人物であり、ひょっとしたら敵対勢力のスパイであるかもしれなかった。現代人のスバルはこの世界の人々から見ると不思議な存在で、労働に従事しているとは思えないキレイな手足をしており、じゃあ貴族かといえばこの世界の常識的なことも知らない。しかし当のスバルはゲーム感覚しか持っておらず、自分がどう思われているかについてまるで無頓着なのだった。
アニメで見たとき、メイド姉妹ラムとレムの話がよくわからなかった。姉のラムは口が悪くてあまり仕事せず能力が低く、妹のラムはそんな姉のことを尊敬していて働き者で能力が高い。その直接的な理由までは分かったのだけど、今回この原作小説を読んでもその先が理解できなかった。そこそこ有名な昔話「泣いた赤鬼」の話が出てくるのだけど、それも何がどうつながっているのかさっぱりだった。
この巻まではシリーズ全体からするとまだまだ導入部で、次の巻からようやく序章(?)が始まる。スバルが本格的に自分と向き合うのもこれからなのだった。
ネットの掲示板を見ていたらどうやらこのエピソードから登場する双子のメイド姉妹ラムとレムがこの作品の真のヒロインだと言っている人がいて、アニメを見ていたときはなるほど確かにそうだなと思って割と楽しめたのだけど、今回この原作小説を読んでみて結構アニメのまんまで思っていたほど楽しめなかった。アニメの出来が良すぎたんだと思う。でもアニメが面白かったのは原作の話が良かったからなのだろう。
ネタバレにならないように書くと、今回の話はバッドエンドの原因を突き止めて回避したと思ったら別の原因でバッドエンドを迎えてしまう。また、最初になにげなく取っていた行動を二回目やめてみたら後退してしまう。こういった謎解き要素が面白かった。
この世界のことをよく知らないスバルは、外に放り出されたら生きていけないので屋敷に住み込みで働きたいと言う。双子のメイド姉妹ラムとレムに厳しく指導されながら屋敷の掃除や洗濯や皿洗いをやり、夜は文字の勉強なんかもさせてもらう。この世界では言葉は何不自由ないけれど文字は読めないのだった。そんな風に平穏に日々が過ぎていくのかと思ったら…。
うまくいくまで何度でも巻き戻ってしまうという構造により、物語にとても緊張感がある。普通の話だったら、こう言ってしまうと興ざめかもしれないけれど作者がいかに主人公をピンチに追いやって危機感を煽って読者を楽しませられるかなので、それがうまくいっていない作品だと全然ハラハラドキドキせずにご都合主義感があふれてしまう。しかしこの作品の場合は実際に主人公が失敗して悲劇的な結末にいたるところ描いてしまうことが出来るので、読者は最後まで本当にうまくいくのか心配してしまう。
そして一番良かったのが、人の信頼を得ることでその人の態度が変わってくることがはっきりと描かれるところ。いままでも時間を掛けて人々の信頼を得ることで徐々にうまくいくようになる話はあったけれど、この作品の場合は態度の違いが残酷なまでにはっきりと描き分けられている。
この巻のスバルは、周りの人々からしてみれば謎の人物であり、ひょっとしたら敵対勢力のスパイであるかもしれなかった。現代人のスバルはこの世界の人々から見ると不思議な存在で、労働に従事しているとは思えないキレイな手足をしており、じゃあ貴族かといえばこの世界の常識的なことも知らない。しかし当のスバルはゲーム感覚しか持っておらず、自分がどう思われているかについてまるで無頓着なのだった。
アニメで見たとき、メイド姉妹ラムとレムの話がよくわからなかった。姉のラムは口が悪くてあまり仕事せず能力が低く、妹のラムはそんな姉のことを尊敬していて働き者で能力が高い。その直接的な理由までは分かったのだけど、今回この原作小説を読んでもその先が理解できなかった。そこそこ有名な昔話「泣いた赤鬼」の話が出てくるのだけど、それも何がどうつながっているのかさっぱりだった。
この巻まではシリーズ全体からするとまだまだ導入部で、次の巻からようやく序章(?)が始まる。スバルが本格的に自分と向き合うのもこれからなのだった。