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MAKE3

final audio design (S’NEXT)

まあまあ(10点)
2019年7月21日
ひっちぃ

日本のオーディオブランドfinal audio designが各自好きなようにチューニングできるというコンセプトでクラウドファンディングして作ったMAKEシリーズのイヤホンのうちのダイナミック型モデル。三か所ぐらい用意されている音導管に好きなように何種類かの付属フィルターを挟み込むことで音を調整できるのが特徴。

販売店フジヤエービックがメーカーを巻き込んで年に二回開催している小規模な試聴イベント「ポタ研」が2019年1月に開かれたときにfinal audio designのブースでこいつのチューニングを変えたものがいくつか置いてあったので二通り聴いてみたら確かに音が違っていて面白そうだったから、通販専用商品ということで家に帰ってから通販で注文した。

正直こいつの音が気に入ったわけではなく、限定生産品で売り切れたら再生産する予定はないとのことでこれを逃したらこういうコンセプトの製品を入手する機会が二度とないんじゃないかと思ったのが半分と、ただ単純に値段の割にしっかりした音が鳴っていたこと、それに特殊な金属成形により作られた丸みをおびたボディが耳にきっちりフィットしたことなんかが理由となり勢いでポチッた(購入した)。

結論から言うと自分は購入直後からいまに至るまでこいつをあまり聴いていないし、フィルターを変えるチューニングもやっていない。こいつを買ったあとすぐにCampfire AudioのVEGAを買ってしまったのが主な理由なのだけど、やはりイヤホンはドライバのスペックが一番重要なのだということに気づいたからだった。

逆説的なことを言うとドライバに限界があるからチューニングの必要があるわけで、ドライバが完璧な音を出すことが出来たなら何も手をくわえないほうがいい音で鳴るに決まっている。

こいつに搭載されているダイナミック型ドライバはfinalらしいちょっと能率が悪いけれどしっかりした音が出るもので、16,800円で買えるレベルの製品としては十二分のスペックを持っていると思う。ただ、最近の高級モデルと比べてしまうとダイナミック型にありがちな高域の微妙な歪みが次第に耳障りになっていく。

ネットで実際にチューニングした人の声を聴くと、突き詰めていっても突き詰めきれないもどかしさがあるらしい。そりゃ突き詰めることができちゃったら最低でも十万とかで売れる製品になっちゃうんだからそううまくはいかないと思う。でも、初期状態でも当初七万ぐらいで売られていたDITA Answerぐらいのレベルの音は出ていると思う(そいつは最終的に三万以下で投げ売りされたけど)。

もし自分がチューニングするとしたら、やっぱりちょっと高域が耳障りなので高域を控えめにするかも。中低域はダイナミック型らしい厚みのある音が気持ちいいから。あるいはドンシャリで割り切ってしまうか。なんだかんだでおそらく初期状態が一番いいので変える気はないのだけど。

さらなるメリットとして修理しやすいというのもあるらしい。確かに配線が切れても中を開けてハンダでつければいいわけだから素人でも可能っちゃあ可能だと思う。普通のイヤホンだったら殻を割るところがまず難しいだろうし。

別売りの交換用ユニットとか用意してくれたらと一瞬思ったけれど、数万円以上するユニットを自分で交換しろと言われると怖すぎる。素人がハンダすると熱でドライバを壊したり最悪ショートさせてプレイヤーまで壊したりしそう。ハメ込み式で簡単に着脱できたら面白かったかも。

この値段で買える最高レベルの製品であることは確かだと思うのだけど、突出した魅力があるわけでもなく、好みの問題もあり積極的には勧めづらい。通販のみで試聴はイベントでしかできないし今後イベントに出品されるかどうかも分からない。Eシリーズのあの見た目と装着感がダメな人なら考えてみてもいいと思う。

後継モデルなのかどうか分からないけれど、同じようなボディを使ったBシリーズというラインナップが新たに出ているが、自分の見る限りネットではあまり評判が芳しくなく、またダイナミック型一発のモデルはなくなっている。

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