マンガ
きみはペット
小川 彌生
傑作(30点)
2004年4月30日
女性が美少年をペットとして飼う話。そんな過激な書評の見出しを読んで前から気になっていたので、読んでみることにした。
レディースコミックス系の読者を想定した、女のオタク向けな作品かと思ったが、読んでみるとそんなに過激な話ではない。むしろかなり正統派な作品だ。主人公は新聞社に勤めるバリバリのキャリアウーマンなのだが、学生の頃は勉強やスポーツに必死な世間知らず、モデルのような容姿のクールビューティだが心はか弱い、という控えめな設定になっている。少女漫画が一般受けしない理由の一つに、主人公のあまりな非現実さが挙げられるが、この作品も確かに非現実的ではありつつも、女性がキャリアの道をたどることをテーマとしているため、恐らく主人公に共感する女性が多いだろう。
弱い面の多い主人公が、外の世界では自分を取り繕って仕事に恋にもがいている。そんなところへ、ダンサーの卵といういかにも少女漫画な設定ながらも、主人公にとても従順な甘え上手の美少年が転がり込んでくる。主人公はその少年に容赦なく以前自分が飼っていた犬の名前「モモ」と名づけて呼ぶのだが、外の世界では絶対見せることのない自分の弱い面をその少年にさらけ出し、癒し(死語)を求めるようになる。
物語はこの女性の自立を扱っていく。少年はペットという都合のいい存在ではないはずなのだし、外の世界でうまくやっていかなければならない。
これ男女入れ替えたら非常にうさんくさい作品になるんだろうな。女だからアリなのか。
ギャグのセンスもあって、笑えるところも多い。ここまで描いていいの?というぐらいに崩して描いている部分が目立つ。私は面白いと思った。
テレビドラマにもなった。どうやらヒロインは小雪がやっていたらしい。主人公は新聞記者という設定なのだが、そういえば小雪は日経新聞の宣伝ポスターにも出ていたので納得できる。
いまさらながらに改めて気づくのだが、少女漫画のいいところの一つは、脇役にもきっちりとハッピーエンドをつけてくれるところだと思った。なんというかいわゆる「ご都合主義」でしかないと言われればそうなのだが、読んでいてハッピーになれるのはいい。
あと、欄外で作者やその周辺の人々の近況のスペースが面白い。この作品では、担当編集者のまっちゃんが描かれる。東大院卒だが天然が入ってるというところは、主人公に通じるところがある。他の作品でも、作者によって大きく変わるのだが、本編で非常にシリアスな物語を描きつつ、欄外で吉田戦車のような自画像でまぬけな話を語る作者もいたりして面白い。
レディースコミックス系の読者を想定した、女のオタク向けな作品かと思ったが、読んでみるとそんなに過激な話ではない。むしろかなり正統派な作品だ。主人公は新聞社に勤めるバリバリのキャリアウーマンなのだが、学生の頃は勉強やスポーツに必死な世間知らず、モデルのような容姿のクールビューティだが心はか弱い、という控えめな設定になっている。少女漫画が一般受けしない理由の一つに、主人公のあまりな非現実さが挙げられるが、この作品も確かに非現実的ではありつつも、女性がキャリアの道をたどることをテーマとしているため、恐らく主人公に共感する女性が多いだろう。
弱い面の多い主人公が、外の世界では自分を取り繕って仕事に恋にもがいている。そんなところへ、ダンサーの卵といういかにも少女漫画な設定ながらも、主人公にとても従順な甘え上手の美少年が転がり込んでくる。主人公はその少年に容赦なく以前自分が飼っていた犬の名前「モモ」と名づけて呼ぶのだが、外の世界では絶対見せることのない自分の弱い面をその少年にさらけ出し、癒し(死語)を求めるようになる。
物語はこの女性の自立を扱っていく。少年はペットという都合のいい存在ではないはずなのだし、外の世界でうまくやっていかなければならない。
これ男女入れ替えたら非常にうさんくさい作品になるんだろうな。女だからアリなのか。
ギャグのセンスもあって、笑えるところも多い。ここまで描いていいの?というぐらいに崩して描いている部分が目立つ。私は面白いと思った。
テレビドラマにもなった。どうやらヒロインは小雪がやっていたらしい。主人公は新聞記者という設定なのだが、そういえば小雪は日経新聞の宣伝ポスターにも出ていたので納得できる。
いまさらながらに改めて気づくのだが、少女漫画のいいところの一つは、脇役にもきっちりとハッピーエンドをつけてくれるところだと思った。なんというかいわゆる「ご都合主義」でしかないと言われればそうなのだが、読んでいてハッピーになれるのはいい。
あと、欄外で作者やその周辺の人々の近況のスペースが面白い。この作品では、担当編集者のまっちゃんが描かれる。東大院卒だが天然が入ってるというところは、主人公に通じるところがある。他の作品でも、作者によって大きく変わるのだが、本編で非常にシリアスな物語を描きつつ、欄外で吉田戦車のような自画像でまぬけな話を語る作者もいたりして面白い。