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ETV特集「シリーズ日系人強制収容と現代 私も“収容所の子ども”だった」

NHK (Eテレ 2019.10.5 23:00~)

まあまあ(10点)
2020年8月18日
ひっちぃ

第二次世界大戦の頃、アメリカに移住していた日系人約12万人が強制収容所に押し込められた。当時まだ子供だったカリフォルニア大学名誉教授の日系人女性研究者サツキ・イナが、同じ経験を持つ人たちとかつての収容所跡を「巡礼」しながら自身のことを語り、それに併せて様々な人々の不幸な人生や現在起きていることを紹介するドキュメンタリー番組。

ナチスドイツがユダヤ人を強制収容所に押し込めたことは広く知られており、いまでも非常に非難されており枢軸国が悪で連合国は正義の解放者なんだという文脈によく出てくるのに、その連合国のアメリカが同じように日系人を強制収容所に入れていたというのはまだそんなに広く知られていないことだと思う。もしアメリカが劣勢になって本土の補給が怪しくなっていたらおそらく大量の日系人がユダヤ人のように飢えや病気で死んだと思う。

という前置きはこのぐらいにしておいて、あらためてこの番組を見ていて驚いたことや気づかされたことが多くあった。

市民権を停止された。つまりアメリカ国民なら当たり前のように受けていた福祉や権利を失った。

収容されたうちの三割は子供だった。そりゃそうだ。家族もろとも連れていかれたのだから。

強制収容所は人が住みにくい荒野にバラックを建てて作られた。夏は暑くて冬は寒かった。なのにアメリカ政府は豊かな環境だと宣伝する番組まで作っていた。

ペルーを始めとした中南米に移住していた日系人たちもアメリカ大使館の働きかけによって二千人ばかりアメリカに連れていかれた。現地で事業に成功していた人もいたのにそれらを全部放棄させられた。

解放されてからも苦難は続いた。ひどい人種差別を受けた。前述の女性研究者サツキ・イナは、学校の教師から改名を勧められたが断った。周りのみんなはちゃんとサツキと呼んでくれたが、差別を恐れた母親は彼女のことをずっとサンディと呼び続けた。自分の母親から名前を呼んでもらえないなんて絵に描いたような悲劇だと思った。しかもそれが我が子のことを何より思ってのことだということが。

この番組を見て良かったと思ったのは、空気感が伝わってきたことだった。吹き替えや過度な編集をせずに丁寧に当事者の肉声を拾っているほか、「巡礼」の様子もテレビ的なシナリオをあまり押し付けずに淡々と見せている。まあ退屈といえば退屈なのだけど、たとえば当時の収容所跡のプールの破片を手に入れて喜ぶ人の声を聞いて、怒りや不安だけではない人々の感情が伝わってきたような気がした。

一方で、不謹慎ながら日系人の特に老人たちを見て、なんか不気味な人たちだなあと思った。アジア系の人間は頭がいいしよく働くので、自分たちの国でこんな不気味な人たちが繁殖していくんだと思ったら脅威に思うのも分かる気がする。なんだろう。流ちょうな英語をしゃべっているからそう思うんだろうか。

なんだかんだで日系人の女性研究者がカリフォルニア大学の名誉教授になっているのはアメリカの良いところだと思う。

番組の最後のほうで、トランプ大統領が移民を排斥する様子を紹介している。多くの人は彼らのことを豊かになりたくてアメリカに押し寄せてきた不法移民でつまり犯罪者だと思っているだろうが、そもそもアメリカがメキシコの産業を破壊したことが原因だし、移民による低賃金労働がアメリカを支えている側面もある。

日本も実は現在進行形でもっとひどいことをしているが、さすがにそれは別の話なので番組には出てこなかった。

自分はこの夏、以前住んでいた家の近くを久しぶりに散策したのだけど、途中で明らかに東南アジア系の外見をした小学生の二人組を見た。そのうち日本が乗っ取られるんじゃないかとは思わない。そのまえに日本が没落し、ほとんどの人は去っていくだろうから、残るのはよっぽど仕事が出来ない人たちだけだと思う。

日本が中国に支配されたらウイグルとかチベットみたいに強制収容所で徐々に文化と尊厳が失われていきそう。

東京大空襲や原爆なんかはもっと許せないのだけど、戦闘ではないもののシベリア抑留と合わせて不当な行為だと思うので、もっとみんなに知って欲しい。アメリカは過ちを認めたけれど、ロシア(ソビエト)は認めていない。

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