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シャングリラ・フロンティア 〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 3巻まで

原作:硬梨菜 漫画:不二涼介 (講談社 KCデラックス)

いまいち(-10点)
2022年2月11日
ひっちぃ

「クソゲー」と呼ばれる理不尽でどうしようもないTVゲームの数々を愛し、ゲームバランスの悪さやありえない不具合を自らの腕でどうにかして攻略してきた男が、たまには「神ゲー(素晴らしいゲーム)」もやってみようと思ってシャングリラ・フロンティアというゲームに手を出し、クソゲーで慣らされた超絶テクニックによりレアモンスターやレアイベントを攻略していく。小説投稿サイトに上げられた作品が原作の少年マンガ。

日本テレビ「川島・山内のマンガ沼」という番組で珍しくこの割とストレートにファンタジー風の世界を扱った作品が取り上げられていたので読んでみた。つまらなかった。

よくある異世界ファンタジーにありがちな神から与えられたチート能力で無双するのとは違い、主人公の陽務楽郎(ひづとめらくろう)は純粋なゲームの腕だけでこの空想近未来の奥深いゲームを攻略していく。表紙に出てくる鳥頭は仲間とか師匠とかじゃなくて単にそういう防具をかぶった主人公の姿だった。

序盤、ゲームがうますぎるゆえ最初の街に立ち寄らず(!)、そのせいで重要な要素を見逃したりして色々と苦労するのがちょっと楽しかったけど、あとは誰も見つけることの出来なかったレアモンスターやレアイベントとかを攻略するだけで一体どこが面白いのかよくわからなかった。

まず基本的にソロなのでヒロインがいない。途中でNPC(要するにイベント用キャラ)のウサギが仲間に入るけれどマスコットキャラみたいな感じ。話が進んでいくとかつてのクソゲー仲間とゲーム内で再会するのだけど、関係性が希薄なのでゲームに関する話しかしない。

クソゲーハンターなのにクソゲーにありがちなバグ技を探ったり理不尽なギミックを回避したりといったテクニックを使うようなことはなく、ただただゲームのうまさだけが前面に出されるだけだった。ここでクソゲーあるあるを使って攻略してたらクスッと笑えたかもしれないし説得力もあったと思うんだけど、うまいだけだとヘーとしか思えない。

となるとあとはこの作品内ゲーム自体が面白くないと楽しめないのだけど、歳のせいなのか全然面白く感じられなかった。似たような作品として「オンリーセンス・オンライン」(原作:アロハ座長、作画:羽仁倉雲)があるのだけど、こっちはゲーム自体がそれなりに面白くて探り探り色々とやっていくところが楽しかったし、キャラもそれなりに魅力的で協力しあったり互いを尊重しあういい関係性があったりして独特の雰囲気があって良かった。

というわけで自分としてはあまり勧めないけれど、データ的には人気作のようだし、たぶん気恥ずかしい要素がなくて純粋にゲームを攻略していく楽しさを追及した作品として広く受け入れられたのだろうから、そういうのが嫌いじゃなければ大なり小なり楽しめる作品なんだと思う。

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