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STEEL BALL RUN 一巻・二巻

荒木飛呂彦

傑作(30点)
2004年10月18日
ひっちぃ

蒸気機関車がアメリカに走り始めた時代、スティール氏という興行師が開催する北米大陸横断レース・スティール・ボール・ランの話。実質的に、ジョジョの奇妙な冒険の第七部。

まだ始まったばかりなのであまり多くは語れないが、さすがといおうか、序盤から引き込まれる。第一巻は必読。ただ、レースを扱っているためか、二巻はじれったさ感じた。何巻まで続くのか分からないが、同時発売だからといって初めから発売に合わせて買って行くのは勧めない。けなしているのではなく、この作者ぐらいになると、連載マンガとしての義務を履行するのではなく、完結したときの完成度を求めたい。第一巻は長い予告編のようなものだ。

ジョジョの奇妙な冒険シリーズは、言うまでもなく様々なジョジョが主人公なので、当然この物語の主人公も元天才ジョッキー・ジョニィ・ジョースターだろう。一度挫折を経験した主人公が、回転する玉を使いこなす謎のジャイロ・ツェペリと出会い、何かを得ようとレースに参加する。

他にも主人公クラスの人物かと思われるキャラクターが何人かいる。特に冒頭で出てくるインディアンの青年・サンドマン。最初は彼が主人公かとおもったぐらいだ。レースではほとんどの選手が馬に乗って走るのだが、この青年はなんと自らの足で走る。白人社会に侵されつつあるインディアン社会で育ち、白人の社会とは何かを見つめている。

ディオ・ブランドーというあからさまな名前のジョッキーも参加している。ディオとは本シリーズの悪役の名前で、名前だけで何かあるのではないかと思うのだが、今のところ悪としては描かれていない。これからどうなるのか。

本シリーズは「波紋」に始まりスタンドと呼ばれる特殊能力を持った人たちの戦いが描かれるのだが、今の時点であからさまにスタンドを使っているのは、ジャイロ・ツェペリと強運の男・ポコロコだけ。恐らく主要な登場人物は次々とスタンドに覚醒していくものと思われる。

このレースはとてつもなく長いレースを描く。一巻と二巻は短距離のチェックポイントまでのスプリントレースを描いている。ゴールまでの短い距離を引き伸ばされたような気がしてやや間延びした感じがした。だが、次からは長距離の、いわゆる「ロードムービー」のような展開になると思われる。そう考えると非常に楽しみだ。

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