コンピュータソフト
ロールプレイングゲーム
リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜 DX 7章の初めまで
制作:ガスト(コーエーテクモゲームス) 販売:コーエーテクモゲームス
いまいち(-10点)
2022年7月16日
アダレット王国の首都メルヴェイユで小さな錬金術のアトリエを営んでいる双子の姉妹だったが、母親は既に亡く、父親は家計を顧みずに趣味の絵画にお金を使ってしまうのでいつも貧乏だった。王国がアトリエランク制度を創設したので、ランクアップして貧乏から脱却しようとするが、王国の狙いは錬金術師を育てて災厄に対処するためだった。アイテムを合成して戦闘やイベントをこなす長寿JRPGシリーズの一作。
良作っぽい不思議シリーズ3部作を去年一気買いして最初の二作がそれなりにおもしろかったので順当にこの三作目にとりかかったのだけど、半分ぐらいまで来たところでやる気が失せてしまった。
双子だけど多分先に腹から出てきたとかで姉ということになっているリディーは比較的常識人なのだけど、どこか慎重で頼りない性格をしている。一方の妹スールは逆に思い切りがよくて無鉄砲な感じ。この凸凹コンビが時にいがみあいながら仲良く障害を乗り越えていくのが楽しい。
一家は街の一角でアトリエを営んでいて、錬金術により薬とか道具なんかを作って売っている。この世界では錬金術は科学のように一般的になっていて、人々の生活を支える便利屋さん(?)みたいになっている。
だけど二人が稼ぐそばから父親ロジェが無駄遣いしてしまう。声をベテラン声優の子安武人がやっているのだけど、不自然なほど強調した演技が聞いていてイライラした。普段アニメ見ていてそんなことを感じたことがないので、これ多分演出が悪いんだと思う。
王国のアトリエランク制度の窓口になっているのは受付の女性ミレイユなのだけど、なんとこいつは第一王女なのだった。なにかと双子ちゃんのことが心配な彼女は、双子ちゃんの護衛として遊び人風の騎士マティアスをつけるのだけど、こいつもなんと第一王子つまり将来の王様だという。二人はなにやら裏で画策している様子。
双子はアトリエのランクを上げて生活を豊かにするべく、ランクアップの試験を受けて上を目指す。試験の内容は色々あるのだけど、錬金術で特定のものを作って納めろという定番のものから、郊外に出現しているモンスターを倒せといったものまである。
双子の一つ年上の幼馴染として、繁盛しているアトリエ・ヴォルテールの娘ルーシャがいるのだけど、こいつはなにかと双子にご執心でよく嫌味を言ったりして付きまとってくるのだけど実は双子のことが大好きというツンデレキャラ。でも双子にはお見通しでいつもうまいこと扱われている。双子のライバルとして共に競い合う。
ある日、双子は父親の留守中に家の地下室に飾ってある不思議な絵の中の世界に吸い込まれる体験をする。もっとこの絵のことを調べたいと思った双子だったが、父親からは地下室への出入りを禁止されてしまう。
一方でなんの偶然か王宮でも似たような不思議な絵の収集が行われており、王国からの依頼で絵の中の世界を冒険することになるのだった。不思議な絵はアトリエランクを上げるごとに増えていく。また、これとは別に街の郊外に探索に行けるマップがいくつかある。
ゲームの内容としては、色んな場所へ行って錬金術の素材となるものを収集する。素材の中にはモンスターを倒して手に入るものもある。経験値を稼いでレベルアップしてキャラを成長させる。拾ってきた素材は錬金術で合成することによって様々な道具や装備や中間素材にすることが出来る。そうやってどんどんパーティを強くしていく。
他のRPGとの一番の違いは、爆弾なんかのアイテムをあらかじめ錬金術で作っておけること。もちろんなにか作るには素材が必要なので常日頃から素材を集めておかなければならない。そういったやりくりに気を配らなければならないのが逆に楽しい。
錬金術は使えば使うほどうまくなっていくけれど、レシピというのがあってこれはやみくもに合成するだけでは増えず、思いつくには色々と条件があるのでそれらを満たすよう行動していく必要がある。メニューのレシピノートにすべてまとまっているのでわかりやすい。
ほかにも依頼というのがあって、メインシナリオのやるべきことのほかに、サブシナリオとして人々からの頼まれごと、広場の掲示板に貼られている依頼なんかがあり、それらはいわゆるジャーナルのような形でまとまっている。
さらにアトリエランク試験を受けるための条件としてアトリエの評判を上げる必要があり、そのためにはこまごまとした活動をして知名度を上げていかなければならず、野望ノートという独立したものでまとめられている。こうして挙げてみると結構システムが面倒そうだけど、野望ノートのほうは全部きっちり達成する必要はなくて好きなやり方を選べる感じ。
で今回なにがつまらなかったかって、イベントが多すぎだと思う。街の全体マップで「!」というマークが出るのでそこへ行くとイベントが発生するのだけど、キャラ同士の会話を延々見せられることになる。かわいい双子ちゃんと街の人々とのやりとりはそれなりに楽しいんだけど、錬金術をやったり冒険に行ったりしたいのに毎回毎回イベントを潰していかなければいけない(?)のがうんざりする。まあ別に見たくなければ見ないでもいいんだろうけど。
イベントの中には依頼形式のものがあって、たとえば父親ロジェがあれ持ってこいと言ってくるので一生懸命集めてくるのだけど、しょーもないものを作るというしょーもないイベントを見せられてがっかりする。
なんというかキャラと脚本はそれなりにいいのだけど、ちょっとずつ物足りない。だから徐々に「あえて見るまでもないかな」と思えてくる。それが次第に「時間の無駄かも」になってきて、最終的に「もう続けてもしょうがないな」になる。
探索はすぐ素材でカゴがいっぱいになるのでストレスがたまる。特に不思議な絵を探索しているときに途中でカゴがいっぱいになっても先へ先へと進まなければならなくなる。そうならないよう素材が落ちていても同じ素材っぽかったら拾わないのが正解みたいなのだけど、同じアイコンから同じものが取れるとは限らないし、かといってとりあえず拾ってからあとで捨てるのも面倒でしょうがない。
相変わらずゲームバランスがザルというか、雑魚敵がやけに堅いのはたぶん錬金術で爆弾とかを作って使えってこともあるんだろうけど、強化していない装備をつけて殴っていると時間が掛かりすぎる。装備を強化しろってこともあるんだけど、どうやって強化すれば効果的に強くなるのかまではレクチャーしてくれない。まあシリーズをずっとやっていれば自明なんだけど、今回は序盤に一回だけ入れる特殊なエリアでやたら強力な素材が少しだけ手に入るので、それを利用して武器や防具を強くすると攻略がすごく楽になった。それを前提にしてのバランスなんだろうか。うーん。
今回錬金術のシステムがシリーズ中随一の完成度だと自分のよく見る「ゲームカタログ」のサイトに書いてあったので期待していたのだけど、それほどとは思えなかった。今回絵画がテーマになっていることもあるのか、素材が絵の具のようにベタッと配置されるので、既に配置した素材の上に別の素材を置くと上塗りみたいな感じになる。また、最高級素材ともなると一つの素材で最大4つも置くことができる。触媒によってマス目に色んな効果が現れ、例によって何色を何マス以上塗れば特定の効果が発現する。ただし最初のうちは技量もないし素材も悪いのでなかなかマス目を塗ることができず、工夫のしようがないので忸怩たる思いでプレイを続けなければならない。
前作や前々作の主人公であるフィリスやソフィーも登場する。それだけではなくて、双子の師匠には意外なあの人がなるのだった。他にも三部作の主要登場人物の何人かがこのアダレット王国に流れ着いて双子ちゃんたちを助けてくれる。まあ正直それほど魅力的なキャラもエピソードもないのだけど、懐かしい面々と再会できてちょっと楽しい。時間が若干経過しているので少し関係性が変わっていたりして。この三部作のみならずシリーズを通して出てくるパメラなんだけど、キャラはいいとして声が毎回毎回耳についてしょうがない。この声のせいでちょっとウザく感じてしまう。
この作品を愛そうと思えば愛せると思うけど、この程度の作品に愛を注ぎ込んでいたらキリがないと思う。若くて時間があるときだったらよかったのかもしれないけれど、いまはもう時間がもったいないと思ってしまう。こういう佳作と駄作の境界線上にある作品は、切り捨てるのが難しくてダラダラと付き合って後悔しそうなので、今回は思い切ってやめることにした。
だからこの作品をあまり人に勧めたいとは思わないけれど、ゆるいアニメが好きな人で、システム的にちょっと硬派なところもあるRPGが楽しめそうだったら遊んでみてもいいかもしれない。
良作っぽい不思議シリーズ3部作を去年一気買いして最初の二作がそれなりにおもしろかったので順当にこの三作目にとりかかったのだけど、半分ぐらいまで来たところでやる気が失せてしまった。
双子だけど多分先に腹から出てきたとかで姉ということになっているリディーは比較的常識人なのだけど、どこか慎重で頼りない性格をしている。一方の妹スールは逆に思い切りがよくて無鉄砲な感じ。この凸凹コンビが時にいがみあいながら仲良く障害を乗り越えていくのが楽しい。
一家は街の一角でアトリエを営んでいて、錬金術により薬とか道具なんかを作って売っている。この世界では錬金術は科学のように一般的になっていて、人々の生活を支える便利屋さん(?)みたいになっている。
だけど二人が稼ぐそばから父親ロジェが無駄遣いしてしまう。声をベテラン声優の子安武人がやっているのだけど、不自然なほど強調した演技が聞いていてイライラした。普段アニメ見ていてそんなことを感じたことがないので、これ多分演出が悪いんだと思う。
王国のアトリエランク制度の窓口になっているのは受付の女性ミレイユなのだけど、なんとこいつは第一王女なのだった。なにかと双子ちゃんのことが心配な彼女は、双子ちゃんの護衛として遊び人風の騎士マティアスをつけるのだけど、こいつもなんと第一王子つまり将来の王様だという。二人はなにやら裏で画策している様子。
双子はアトリエのランクを上げて生活を豊かにするべく、ランクアップの試験を受けて上を目指す。試験の内容は色々あるのだけど、錬金術で特定のものを作って納めろという定番のものから、郊外に出現しているモンスターを倒せといったものまである。
双子の一つ年上の幼馴染として、繁盛しているアトリエ・ヴォルテールの娘ルーシャがいるのだけど、こいつはなにかと双子にご執心でよく嫌味を言ったりして付きまとってくるのだけど実は双子のことが大好きというツンデレキャラ。でも双子にはお見通しでいつもうまいこと扱われている。双子のライバルとして共に競い合う。
ある日、双子は父親の留守中に家の地下室に飾ってある不思議な絵の中の世界に吸い込まれる体験をする。もっとこの絵のことを調べたいと思った双子だったが、父親からは地下室への出入りを禁止されてしまう。
一方でなんの偶然か王宮でも似たような不思議な絵の収集が行われており、王国からの依頼で絵の中の世界を冒険することになるのだった。不思議な絵はアトリエランクを上げるごとに増えていく。また、これとは別に街の郊外に探索に行けるマップがいくつかある。
ゲームの内容としては、色んな場所へ行って錬金術の素材となるものを収集する。素材の中にはモンスターを倒して手に入るものもある。経験値を稼いでレベルアップしてキャラを成長させる。拾ってきた素材は錬金術で合成することによって様々な道具や装備や中間素材にすることが出来る。そうやってどんどんパーティを強くしていく。
他のRPGとの一番の違いは、爆弾なんかのアイテムをあらかじめ錬金術で作っておけること。もちろんなにか作るには素材が必要なので常日頃から素材を集めておかなければならない。そういったやりくりに気を配らなければならないのが逆に楽しい。
錬金術は使えば使うほどうまくなっていくけれど、レシピというのがあってこれはやみくもに合成するだけでは増えず、思いつくには色々と条件があるのでそれらを満たすよう行動していく必要がある。メニューのレシピノートにすべてまとまっているのでわかりやすい。
ほかにも依頼というのがあって、メインシナリオのやるべきことのほかに、サブシナリオとして人々からの頼まれごと、広場の掲示板に貼られている依頼なんかがあり、それらはいわゆるジャーナルのような形でまとまっている。
さらにアトリエランク試験を受けるための条件としてアトリエの評判を上げる必要があり、そのためにはこまごまとした活動をして知名度を上げていかなければならず、野望ノートという独立したものでまとめられている。こうして挙げてみると結構システムが面倒そうだけど、野望ノートのほうは全部きっちり達成する必要はなくて好きなやり方を選べる感じ。
で今回なにがつまらなかったかって、イベントが多すぎだと思う。街の全体マップで「!」というマークが出るのでそこへ行くとイベントが発生するのだけど、キャラ同士の会話を延々見せられることになる。かわいい双子ちゃんと街の人々とのやりとりはそれなりに楽しいんだけど、錬金術をやったり冒険に行ったりしたいのに毎回毎回イベントを潰していかなければいけない(?)のがうんざりする。まあ別に見たくなければ見ないでもいいんだろうけど。
イベントの中には依頼形式のものがあって、たとえば父親ロジェがあれ持ってこいと言ってくるので一生懸命集めてくるのだけど、しょーもないものを作るというしょーもないイベントを見せられてがっかりする。
なんというかキャラと脚本はそれなりにいいのだけど、ちょっとずつ物足りない。だから徐々に「あえて見るまでもないかな」と思えてくる。それが次第に「時間の無駄かも」になってきて、最終的に「もう続けてもしょうがないな」になる。
探索はすぐ素材でカゴがいっぱいになるのでストレスがたまる。特に不思議な絵を探索しているときに途中でカゴがいっぱいになっても先へ先へと進まなければならなくなる。そうならないよう素材が落ちていても同じ素材っぽかったら拾わないのが正解みたいなのだけど、同じアイコンから同じものが取れるとは限らないし、かといってとりあえず拾ってからあとで捨てるのも面倒でしょうがない。
相変わらずゲームバランスがザルというか、雑魚敵がやけに堅いのはたぶん錬金術で爆弾とかを作って使えってこともあるんだろうけど、強化していない装備をつけて殴っていると時間が掛かりすぎる。装備を強化しろってこともあるんだけど、どうやって強化すれば効果的に強くなるのかまではレクチャーしてくれない。まあシリーズをずっとやっていれば自明なんだけど、今回は序盤に一回だけ入れる特殊なエリアでやたら強力な素材が少しだけ手に入るので、それを利用して武器や防具を強くすると攻略がすごく楽になった。それを前提にしてのバランスなんだろうか。うーん。
今回錬金術のシステムがシリーズ中随一の完成度だと自分のよく見る「ゲームカタログ」のサイトに書いてあったので期待していたのだけど、それほどとは思えなかった。今回絵画がテーマになっていることもあるのか、素材が絵の具のようにベタッと配置されるので、既に配置した素材の上に別の素材を置くと上塗りみたいな感じになる。また、最高級素材ともなると一つの素材で最大4つも置くことができる。触媒によってマス目に色んな効果が現れ、例によって何色を何マス以上塗れば特定の効果が発現する。ただし最初のうちは技量もないし素材も悪いのでなかなかマス目を塗ることができず、工夫のしようがないので忸怩たる思いでプレイを続けなければならない。
前作や前々作の主人公であるフィリスやソフィーも登場する。それだけではなくて、双子の師匠には意外なあの人がなるのだった。他にも三部作の主要登場人物の何人かがこのアダレット王国に流れ着いて双子ちゃんたちを助けてくれる。まあ正直それほど魅力的なキャラもエピソードもないのだけど、懐かしい面々と再会できてちょっと楽しい。時間が若干経過しているので少し関係性が変わっていたりして。この三部作のみならずシリーズを通して出てくるパメラなんだけど、キャラはいいとして声が毎回毎回耳についてしょうがない。この声のせいでちょっとウザく感じてしまう。
この作品を愛そうと思えば愛せると思うけど、この程度の作品に愛を注ぎ込んでいたらキリがないと思う。若くて時間があるときだったらよかったのかもしれないけれど、いまはもう時間がもったいないと思ってしまう。こういう佳作と駄作の境界線上にある作品は、切り捨てるのが難しくてダラダラと付き合って後悔しそうなので、今回は思い切ってやめることにした。
だからこの作品をあまり人に勧めたいとは思わないけれど、ゆるいアニメが好きな人で、システム的にちょっと硬派なところもあるRPGが楽しめそうだったら遊んでみてもいいかもしれない。