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ペルソナ5 ザ・ロイヤル

開発元: ATLUS, パブリッシャー: SEGA

まあまあ(10点)
2024年5月29日
ひっちぃ

無実の罪を着せられ保護観察となった青年が、新天地にて偏見の目で見られながら新たな高校生活を始めたが、そこにも同じように抑圧された者たちがいた。世界的にも大ヒットした学園ジュブナイルRPGペルソナシリーズの最新作の完全版。

自分はこのシリーズ、3から遊んでいる。3は完全版をプレイし、4は無印をプレイした。その後、4の完全版を遊びなおす気になれなかったので、5は完全版が出てから遊ぶことにしようと思っていたら、どうせ待つならセールまで待とう、いやここまで待つならせめて五千円を切ってからにしよう、と思っているうちに買い時を逃し(笑)、買ったのは2023年7月だった。夏休みに一気に遊んでしまおうと思ったら途中で飽きてしまい、なんだかんだでクリアまでに一年近く掛かってしまった。

4はほんと名作だと思う。ストーリーは素晴らしかったし、どのキャラにも愛着を持てた。プレイ体験はまるで自分自身の思い出のように記憶に残った(だいぶ忘れたけどw)。それにひきかえこの5は凡作だと思う。ストーリーは大した事ないし、主要キャラには愛着を持てなかった。

最初は結構よかったと思う。理不尽な状況の中で主人公が耐えなければならない状況が描かれる。親に見放された主人公を引き取ったのは、四軒茶屋(笑)で喫茶店を営む佐倉惣治郎という遊び人のおっさんで、腐ったミカンを見るような目で主人公を見てくるのだった。

主人公は転校先の高校でも問題児として扱われる。同じように問題児として扱われていた金髪の不良である坂本竜司とは、同類(?)のよしみで仲間意識を持たれて仲良くなる。彼はかつて先生に歯向かったことで結果的に彼の所属する陸上部がなくなってしまい、みんなから恨まれているのだった。

主人公たちが通う秀尽学園には元メダリストの体育教師の鴨志田が君臨しており、スポーツ強豪校を支える英雄として校内で一目置かれ、気に入らない生徒を指導の名のもとに虐待したり、お気に入りの女子生徒を強引に自分の手元に置いたりと好き勝手していた。

そんなあるとき、一人の女子生徒が自殺未遂を起こす。鴨志田に強引に迫られてのことだった。彼女を救えなかったことに責任を感じたハーフでモデルの高巻杏は、主人公たちに加わって鴨志田をなんとかしようとする。

どうやってなんとかするのかというと、スマホになぜかインストールされていた「異世界ナビ」を使って、鴨志田の「認知世界」である通称パレスに侵入する。彼のパレスは立派なお城の形をしており、シャドウと呼ばれる敵がうようよと徘徊し、彼自身は王様としてそこに君臨している。つまり鴨志田は学校のことを自分の城だと思っているのだという。この構造はとてもおもしろかった。

そのパレスのどこかに、彼の心のよりどころである通称オタカラがあり、それを奪うと彼は心を入れ替えて「改心」する。人の心の中の世界を扱っているという点では4とよく似ているのだけど、5のこれは非常に底が浅く思えてならない。4の場合、主要登場人物たちが自分の認めがたい深層心理を見せられて反発し、やがて自覚し受け入れていくという過程が描かれるので見る者の心を動かすのだけど、5は特に理由も描写もなくただ脇役が心を入れ替えるだけ。意味不明だった。

主人公と行動をともにする金髪不良の坂本竜司とハーフモデルの高巻杏については、サイドストーリーで後悔と反省を聞かされるだけ。コープシステムを進めるとイベントが続き、主人公がなんらかの形で彼らの成長にコミットしていくのだけど、これだけで彼らを好きになるのは無理だと思う。

ギャルゲーとも揶揄されるコープシステムは本シリーズの特徴とも言えるもので、このゲームは日常パートと攻略パートに大きく分かれているのだけど、日常パートで様々な人々と交流して仲良くなることでコープランクを上げることができ、それぞれのパートを有利に進めることができるようになっていく。また、その過程でサイドストーリーが語られていく。

自分は前作と前々作をプレイ済みなので、このコープシステムをいかに効率的に進めていくかを常に意識していた。というのもこのシステム、進めるのはあくまで任意なので救済措置がない。時間が有限なのでうまくやらないとクリアまでに途中で終わってしまう。4をプレイしていたときは泣く泣く途中であきらめたコープがあった。

そこで今回、効率的にランクアップするために常に対応するペルソナを所持するようにし、できる限り占いをしたりして好感度が上がりやすいようにしたり、相手のスケジュールを考えてなるべく偏らないようにかつ早めに上げた方がいいものは早めに上げるように考えて進めた。さすがに選択肢までは攻略サイトを見てカンニングするのはつまらないのでよほどのとき以外は見ないでやった。じゃないと完全な作業になってしまうから。このゲームの醍醐味なんだろうし。でも正直やはり作業になってしまっていたと思う。

今回自分で考えて選択肢を選んでいて難しかった相手が何人かいて、ああこれは現実世界で自分が仲良くなりにくいタイプの人たちなんだろうなと思って納得した。興を削ぐので詳しくは言わないけれど、絶対に上から来られたくない人、とにかくリードしてほしい人、叱咤して欲しい人、なんだかんだで自分を気遣ってほしい人、みたいにいろんな人がいてどれもよかったと思う。

肝心のコープイベントについては、どれもそれなりに楽しめはしたのだけど、突き抜けた感動は得られなかった。自分が好きなイベントは成人女性のコープに多かった。なんだかんだで川上先生のことが一番好きになったので(!)、各種イベントは全部川上先生でやった。女医とか占い師さんもよかった。キャラ的には女子校生棋士の女の子が対局のときに中二病っぽくなるのが超ウケた。

キャラクターデザインは全員素晴らしかった。どのキャラも最高だった。全員が絵に描いたような美男美女ではなく、どこかクセがありそこに魅力を感じさせるような一流の仕事だと思った。声優も素晴らしかった。終盤から脚本がくだらなすぎて飛ばしてしまったけれど、それまでは全キャストの全セリフを飛ばさずに聞いて楽しんだ。

悪人を「改心」させることができる力に目覚めた彼らは、「怪盗団」を名乗って学園だけでなく世の中を変えようとする。今作は喫茶店「ルブラン」を中心に繰り広げられ、主人公のペルソナの名もアルセーヌつまり怪盗ルパンだし、竜司のはゴエモンだったりと、盗人というか反逆者をテーマにしているみたいだった。

そんな彼らの活動は捜査機関だけでなくマスコミにも嗅ぎつけられ、探偵を名乗る青年俳優の明智吾郎がテレビ番組に登場し、視聴者を煽ったり怪盗団に目をつけてきたりするようになる。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズに出てくる明智小五郎から取っているのだろう。

一方で「怪盗団」は、自分たちと同じように人の心を操る悪人の存在に気づく。背景として世の中ではポツポツと謎の廃人化現象が起きており、地下鉄の運転手がこの症状に掛かったと見られ大事故も起きていた。悪人の正体と目的とは?対決の時が迫る。

ストーリーについて言うと、途中まではそこそこ楽しめていたのだけど、終盤で一気に台無しになったように感じた。今回パレスとは別に、ペルソナ3に出てきた「タルタロス」のような自動生成ダンジョン「メメントス」を同時に攻略していくのだけど、その中で地下鉄に乗って一斉にどこかへと向かう人々の終着点の描写がお粗末で萎えた。

人々は自ら進んで牢の中に入ったという。そしてなぜかその後、主人公たちに敵対する存在に対してエネルギーを注ぎ込んだり、最後のボスの存在を生み出すようになったりする。このあたり、じっくり考えればそれなりに理解できたのかもしれないのだけど、終盤から脚本がひどいのでまじめに考える気がなくなってしまった。ただ言えるのは、これ主人公たち高校生にはまだ理解できないと思う。

明智がひどすぎる。こいつが主人公のライバルというポジションに入るので、主人公ひいてはメインストーリーまで巻き添えでひどくなっている。

完全版で新たに追加された芳澤かすみが、無印をプレイしていない自分にも不自然に感じた。スクールカウンセラーの丸喜先生のほうは割と自然だったんだけど。芳澤かすみはあざとい後輩キャラでおまけに体育会系なのでいじらしい。本作の女キャラは、ギャル寄りのハーフモデルの高巻杏、生徒会長の新島真、と弱者男性にとって苦手な(?)キャラから仲間になるので、そのあたりも話に引き込まれにくい理由になっているんじゃないかと思う。

戦闘システムについては大枠は前作と変わらないけれど、銃器が追加された。各戦闘で弾倉の分だけ撃つことのできる爽快感のある攻撃方法で、従来の物理属性とは分けられて銃撃属性として扱われている。また、核熱属性と念動属性が新たに追加された。相手の弱点を突くと自分のターンが増えるのは変わらず。その際、仲間にタッチしてターンを渡すと攻撃力がちょっと上がったりその状況限定の有利な追加能力が発動したりする。状態異常の種類に応じて特定の属性の攻撃力が飛躍的に上がるようになった。その他、明らかに格下の敵と戦うときは華麗な演出とともにサクッと戦闘を短縮できるシステムも追加された。

バディシステムは正直うざかった。仲の良いメンバー同士でたまに発動し、敵に大ダメージを与えることができる。強めの敵と戦って長期戦になっているときに発動してくれると助かるんだけど、運に左右されるし、毎回演出がウザい。演出の大部分は飛ばせるんだけど、飛ばせない部分が多めのタイプもあってしんどかった。いまから考えると、あまりこのシステムに頼れないようバランス調整してるんだろうなと思ったけど、こんな不確定要素はゲームとしては無駄だと思った。あくまで見せることが目的なんだと思う。

演出といえば主人公たちがペルソナに目覚めるときの演出にも違和感があった。なぜか彼らの顔の上に仮面が現れるのだけど、それをすぐに皮膚もろともはがす。たぶんこれ、仮面をはがして自分を解き放つ的なことを意味しているんだと思うんだけど、じゃあなんで急に仮面が現れた?というか仮面ってペルソナの象徴だと思うんだけど、その仮面をはがすって一体どういうこと?その後に何事もなかったかのようにまた仮面をつけるのはどうして?

パレスのボス戦は適度な手ごたえでおもしろかったんだけど、ブラック企業のボスがしんどくて攻略サイトの世話になった。一度に全員倒さないと無限に復活しつづける雑魚と戦い続けなくてはならなかった。ちゃんとこれまでにでてきたテクニックを使えばいいようにはなっているんだけど、普段そのテクニックなんて大して使っていなかったので思い出せなかった。消費アイテムも基本使ってなかったし。

敵の即死スキルを防ぐため、アクセサリーに祝福呪怨無効の「聖エルミン学園校章」を全員につけさせたので、他のアクセサリーは自分にとってはまったく無意味となった。これDLCアイテムみたいなんだけど、完全版だと最初から全員分あった。

パレスのフィールドは3Dでいろんなしかけが満載でそれなりにおもしろかったんだけど、どっちかというと面倒くささのほうが勝ってしまった。自分はこのゲーム、ペルソナを集めて合成して強いペルソナを作るのが一番楽しいところだと思っているんだけど、いろんなしかけがあるとペルソナ作りに集中できないし、せっかく作った強いペルソナを戦わせるよりもまずフィールドのしかけをなんとかするほうに気を取られてしまう。おまけに期間制限があるのでパレスを一日でクリアできるかどうかも気になってしまう。いろんな要素があるのはいいんだけど、ちょっとずつ窮屈でわずらわしく感じる。百歩譲って、パレスだけでなくメメントスもやらせるのは無駄だと思う。ミッションも浅く感じた。

クリアまでに174時間かかった。ほとんど寄り道しなかったと思うし、ペルソナの合成も今回適当にやってたし、戦闘でマニュアル操作してたのは主人公だけで他のメンバーはAIに全部やらせていたのに、どうしてこんなに時間がかかったんだろう。ボイスを終盤以外全部聞いていたからだろうか。そこまでおもしろくなかったのに長いのは勘弁してほしい。

音楽は印象に残るいい曲がいくつもあったと思うんだけど、またこの曲だ、と思うことが多かった。やはり話が長すぎるんだと思う。曲がクドいとも言えるんだけど。

地下鉄の駅がリアルでよかった。渋谷とか新宿とか吉祥寺の街並みもそれっぽくてよくできていた。これ海外のプレイヤーが東京に来たらびっくりするだろうなあと思った。他にも池袋とか神保町とか秋葉原とかあって簡単な東京観光みたいな雰囲気を味わえる。

ゲームをクリアしたあと、録画していたアニメも3話まで見てみたのだけど、絵のクオリティがゲームと比べて低く、また低予算のためか動きも雑だったし、話の詰め込みもひどくて見ていられなかった。もうゲームのほうがキレイでじっくり楽しめるので、アニメ版は長い宣材なんじゃないだろうか。おまけに主人公が寒いギャグまでしゃべるので耐えられなかった。

冒険いっぱいの都会の高校生活を疑似体験してみたい人にはいいゲームだと思う。それ以外の人には勧められなくなってしまった。遊びやすさなんかは手堅く良くなっていっているんだけど、それ以外のマイナス点のほうが気になってしまう。もし未プレイであればまずはペルソナ4からやったほうがいいと思う。でその次は3だろうか。

[参考]
https://p5r.jp/

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