


時間停止勇者 17巻まで
光永康則 (講談社 シリウスKC)
傑作(30点)
2025年2月3日
ファンタジーRPG風の世界に放り込まれた青年・葛野セカイには時間を停止させる力があり、その世界の女性に対してひそかに痴漢行為を繰り返すようになったが、自分にしか見えない不思議なタイマーが三日後ゼロになるようカウントダウンされていることに気づく。少年マンガ。
作者の光永康則の作品は、以前「怪物王女」がアニメ化されたのを見たことがあって、藤子不二雄「怪物くん」の登場人物を少女にしたような造りでキャラクターが魅力的だったけれど、話がつまらなくてすぐに見るのをやめてしまっていた。そんなアニメ化作家がこんな下劣な作品を描いていてびっくりした。そして話がとてもおもしろいことにも驚かされた。
舞台となる世界はまるでゲームというか実際ゲームのようで、三日後までにある目的を達成しないとどうなるかわからない。特定のボスを倒したりイベントを攻略しなければならなかったりするのだけど、特に誰からも説明はなくてただただタイマーがカウントダウンされていくだけ。主人公セカイはこのゲームの目的から探っていかなければならない。
そんな理不尽な状況に置かれたセカイは、やりきれない思いにたびたび我慢できなくなり、時間を止めて女性の服を脱がせて下着や局部をながめる(!)。こんなストレートな方法で男の欲望を見たそうとすることにシンプルに笑いがこみあげた。時間停止の能力を使えば、女性を拘束してむりやり本番行為をさせたり自由にしたりできるはずなんだけど、セコく痴漢行為しかしないのがいい。
セカイのゲーム攻略法がこれまたおもしろくて、時間停止以外に特に能力を持っていない彼は、時間を止めている間はタイマーがカウントダウンされないので、そのあいだに攻略に向けてひたすら地道な作業をする。普通の人なら飽きたりめげたりしてしまうようなことを根気強く続ける。これってもはや彼の能力なのでは?w
ひとたびクリアしてもまたタイマーがもとに戻ってカウントダウンが続いていく。次のステージがすぐに始まるのだ。だいたい続きものになっていて、場所は移っていくけれど一つの大きな目的があるようだった。謎解きがおもしろかった。
セカイはなにごとも一人で成し遂げられたりはしないので、途中で女性冒険者の仲間ができる。するとその彼女はセカイの能力について知らされるわけで、時間停止している間に自分がなにかされていることに気づいたりもする。ちょっと着衣がズレたとかそういう違和感があるらしい。このときに怒りや羞恥心を感じる描写があってよかった。
なにも仲間にまでそんなセコいことしなくてもいいと思うところだけど、仲間になると当然イベント攻略のやり方について相談することになるわけで、途中でケンカになったりもする。セカイは相手からエラそうなことを言われるとイラッとしてついやりかえしたくなり、服を脱がせてウサを晴らす。だけどそのまま時間停止を解除したりはしなくて、律儀に服をもとに戻す。こういう小物っぽいところがよかった。なんだかんだでみんなセカイをたよりにしているのも、彼がいろんなことをやりとげてくれるからというだけでなく、むやみに力を振りかざさないからかもしれない。
セカイに対して媚びを売ってきたりベタ惚れしてきたりするような女の子は出てこない。大体みんな当たりが強いのがウケる。しかたなくセカイの力を認めているって感じ。
この人の絵はもっと萌え絵かと勝手に思っていたのだけど、アニメの印象に引っ張られていただけかもしれない。出てくる女の子たちはまあまあかわいいと思う。裸の描写があまりエロくなくて、妙にちょっと生々しいのがなんともいえない。
主人公のかたわらに魅力的な女の子が付き添っているような作品が好きな人にはまったく受け入れられないと思うけれど、クセの強い女の子たちを引き連れて地味で小心者の主人公がセコく欲望を満たしながら地道にクエストを攻略していく等身大の冒険を楽しめそうならぜひ読んでみてほしい。
作者の光永康則の作品は、以前「怪物王女」がアニメ化されたのを見たことがあって、藤子不二雄「怪物くん」の登場人物を少女にしたような造りでキャラクターが魅力的だったけれど、話がつまらなくてすぐに見るのをやめてしまっていた。そんなアニメ化作家がこんな下劣な作品を描いていてびっくりした。そして話がとてもおもしろいことにも驚かされた。
舞台となる世界はまるでゲームというか実際ゲームのようで、三日後までにある目的を達成しないとどうなるかわからない。特定のボスを倒したりイベントを攻略しなければならなかったりするのだけど、特に誰からも説明はなくてただただタイマーがカウントダウンされていくだけ。主人公セカイはこのゲームの目的から探っていかなければならない。
そんな理不尽な状況に置かれたセカイは、やりきれない思いにたびたび我慢できなくなり、時間を止めて女性の服を脱がせて下着や局部をながめる(!)。こんなストレートな方法で男の欲望を見たそうとすることにシンプルに笑いがこみあげた。時間停止の能力を使えば、女性を拘束してむりやり本番行為をさせたり自由にしたりできるはずなんだけど、セコく痴漢行為しかしないのがいい。
セカイのゲーム攻略法がこれまたおもしろくて、時間停止以外に特に能力を持っていない彼は、時間を止めている間はタイマーがカウントダウンされないので、そのあいだに攻略に向けてひたすら地道な作業をする。普通の人なら飽きたりめげたりしてしまうようなことを根気強く続ける。これってもはや彼の能力なのでは?w
ひとたびクリアしてもまたタイマーがもとに戻ってカウントダウンが続いていく。次のステージがすぐに始まるのだ。だいたい続きものになっていて、場所は移っていくけれど一つの大きな目的があるようだった。謎解きがおもしろかった。
セカイはなにごとも一人で成し遂げられたりはしないので、途中で女性冒険者の仲間ができる。するとその彼女はセカイの能力について知らされるわけで、時間停止している間に自分がなにかされていることに気づいたりもする。ちょっと着衣がズレたとかそういう違和感があるらしい。このときに怒りや羞恥心を感じる描写があってよかった。
なにも仲間にまでそんなセコいことしなくてもいいと思うところだけど、仲間になると当然イベント攻略のやり方について相談することになるわけで、途中でケンカになったりもする。セカイは相手からエラそうなことを言われるとイラッとしてついやりかえしたくなり、服を脱がせてウサを晴らす。だけどそのまま時間停止を解除したりはしなくて、律儀に服をもとに戻す。こういう小物っぽいところがよかった。なんだかんだでみんなセカイをたよりにしているのも、彼がいろんなことをやりとげてくれるからというだけでなく、むやみに力を振りかざさないからかもしれない。
セカイに対して媚びを売ってきたりベタ惚れしてきたりするような女の子は出てこない。大体みんな当たりが強いのがウケる。しかたなくセカイの力を認めているって感じ。
この人の絵はもっと萌え絵かと勝手に思っていたのだけど、アニメの印象に引っ張られていただけかもしれない。出てくる女の子たちはまあまあかわいいと思う。裸の描写があまりエロくなくて、妙にちょっと生々しいのがなんともいえない。
主人公のかたわらに魅力的な女の子が付き添っているような作品が好きな人にはまったく受け入れられないと思うけれど、クセの強い女の子たちを引き連れて地味で小心者の主人公がセコく欲望を満たしながら地道にクエストを攻略していく等身大の冒険を楽しめそうならぜひ読んでみてほしい。