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まだ宵の口 連載20 暴挙ノススメ

鈴木幸一 (週刊文春 2008-6-5)

いまいち(-10点)
2008年6月2日
ひっちぃ

日本の商用インターネットのさきがけIIJ(インターネットイニシアチブ)の社長が書いているコラム。この回は、前半でウォール街の人員削減の極端さ、後半で日本の破綻している財政と消費税について語っている。

この連載コラム自体についてまず私の感想を書くと、IIJの社長ってもっと若いかと思っていたら、もう60前後の人だった。この連載ではあまりIIJについて書いていないが、たまに出てくる話からするとこの人のアイデンティティも「古いタイプの人間」らしい。意外な感じがした。派手さはないがそこそこのレベルで毎回安定した内容だと思う。

でも今回はヘンだなと思った。

日本は財政が破綻しているのだからさっさと消費税を15%なら15%ぐらいに上げてしまえと言っている。人気のない福田内閣でも衆議院で議席が2/3以上占めているのだから、いっそ思い切って消費税上げちゃって解散(して民意を問う)しちゃえばいいのにと。

この人は企業人なのだから、会社が赤字だったらまず何をするのかよく分かっているはずである。まずトップや役員が責任を取る。それから社員の給料をカットする。財務を引き締めて支出を抑える。資産を売却する。それぐらいやらないとメインバンクや市場から見捨てられるだろう。しかしこの喩えは国にはもはや当てはまらないと言っている。赤字がひどすぎるからと。

前半のウォール街の話も、経営層が高額な報酬をもらい逃げしていることには言及せず、人員削減のことだけ書いている。この人は自分がトップなのにトップの責任に鈍感なのだろう。

なんにせよ、消費税率だけ上げてはい終わりはありえない。現在の破綻した状況下でなくていったいいつ役人の無駄遣いを減らすというのだろうか。

一方、福田が消費税率上げたあとに解散して民意を問うて何の意味があるのだろう。そんなことをしたら自民党が負けるのは目に見えている。国民のバカさ加減をはっきりした形で露呈させたいのだろうか。それともまさか国民が正しい判断をするとでも言うのだろうか。福田の後世の評価とやらのためなのか。

多分この人は、消費税を上げて欲しくない国民の感情に対する文句を言いたいだけなのだと思う。確かに国民も日本の財政に責任がある。にしても小さいものの見方だなあと思う。消費税って上がって困るのは企業も同じだし、むしろ節税しにくい分やっかいなはず。とか色々視点があると思うのに。

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