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バカの壁

養老孟司

傑作(30点)
2004年7月4日
ひっちぃ

どんな人にも、その人の理解が届かないバカの壁がある。東大を退官した解剖学者の、ご存知大ベストセラー。

ベストセラーというと中身は大したことないんじゃないかと思っていたが、割と本格的なことをとても分かりやすく述べている。本をあけてびっくりしたのは文字が大きかったことだ。あのハリー・ポッターも字が大きいらしいから、字の大きさ=ベストセラーの法則があったりするのだろうか。まず題名がうまい。「バカの壁」それだけで手にとりたくなる。マスコミがまたうまいこと取り上げたものだ。

題名と結びつくテキストは5%ぐらいしかない。一歩間違うと、単なる説教オヤジが科学っぽいことを言いながら、昔は良かった今はダメだ、となりそうである。まあそこは養老先生、逆に一歩間違うと何を言いたいのだか分からなくなりそうな微妙な言い回しで何度も何度も断っている。

ニューラル・ネットの説明のときだけちょっと数学的になるが、あとは一般向けの講演を文章にしたみたいな内容だった。口述筆記だそうだし無理もない。一言で言えば、おばさんに語りかけるような本。

なんだか私の評も、評価してるのかけなしているのか何を言いたいのかよく分からない内容になってしまっている。ただ、この本が170万部売れる日本ってのはいい国だなと思う。この本は、ものを考えるためのいい入門書だ。私も楽しませてもらった。

悪く言うと、だらだらと自分の考えを垂れ流しているだけの内容、とも言える。ただ、作者の人となりは割と魅力的で、こういう人がこういうことを考えている、という風にして読むのがいいだろう。解剖学をやってる人の視点で、という面白い偏向性もある。

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