| 神々の加護で生産革命~異世界の片隅でまったりスローライフしてたら、なぜか多彩な人材が集まって最強国家ができてました~ 7巻まで |
田舎で農業してスローライフを送りたいと願っていた40歳社畜サラリーマンのタダシは残業中に事故死し、ファンタジー風の異世界に転生する。彼の望みを聞いた農業の神クロノスは、珍しく自分を選んでくれたタダシに対して農業に関する超絶的な加護を与えて送り出す。ファンタジー小説のコミカライズ版。
今期アニメでやってる「異世界のんびり農家」2期を見ていたせいか生産系の話が読みたくなり、目についたこれを読んでみた。楽しめなくはなかったけど正直微妙だった。
タダシが降り立ったのは「辺獄」と呼ばれる化外の地だった。環境が悪すぎて全然人が住めない土地らしい。そこで神から簡単なチュートリアルを受ける。固すぎて普通なら耕せない土地も、タダシのものすごい加護によりたちまち豊穣の土となるのだった。
そのあとたまたま海エルフの一団が漂流してきて彼の恵みに助けられて臣従したり、人間の国が攻め込んでくるので返り討ちにしたり、人類共通の敵である魔族の国と衝突したりする。タダシの加護は一応戦闘にも使えるほか、強力な武器も作れるのでみんなに使わせて無双する。
世界設定がいまいちだった。人間の国の名前が「フロントライン公国」って…。英語でまんま「前線」じゃん。王女にして騎士団長のマチルダが単細胞すぎる。相手のことを偵察もせずに何千もの騎士を連れて攻めてくる。
海エルフは島を拠点にしているんだけど、なぜか公国に従属させられている。あの公国にこんな島国を征服する海軍力があるのか?一人の勇者と百人の騎士によって始まった騎士団の国なのに。そもそもフロントライン公国にとって海エルフたちを従えておく必要があったのだろうか。
主人公のすごい生産スキルは、非情で現実的な世界があってこそ輝く。どこかにいい加減で都合の良い部分があると、人々の感情が真に迫ってこないし、なんだかんだでこの世界は適当に回ってるんじゃないの?と思ってしまう。
ほんとこの作品は「異世界のんびり農家」に非常によく似ている。海エルフたちは戦争で疲弊していて女だらけなのでタダシに生殖させてくれと言うし、いろんな種族がタダシのもとに集まってきて生殖を求めてくる。
一方でこの作品の特異な点としては、タダシたちが戦争をすることだろうか。人間の国と戦うだけでなく、魔族の国とも戦うし、復活した邪神を倒そうともする。「異世界のんびり農家」のほうはドラゴンや魔王などの強すぎる種族が集まっちゃうので戦争どころではなくなってしまうんだけど、タダシたちには戦う相手がいるのでそっちの展開が楽しめる。
ただ、戦争は全然ワクワクしなかった。まずそもそも強いやつらが集まってきてないから。龍族の兄妹が率いるドラゴン部隊なんてのも出てくるんだけど、ポッと出で加入するので力強い味方って感じがしなかった。タダシの作った強力な兵器も、とりあえず作りましたって感じで全然ありがたみがなかった。敵も味方も描写が薄いので爽快感がなかった。
常に外部の状況に左右されながら話が動くので、タダシたちが何をしたいのかもおざなりになっているように思った。仮にみんなが平和に暮らしていけるようにっていう願いがあったとしても、そこに対してはあまり共感できなかったと思う。自分や親しい仲間たちのことを大事に思う気持ちならともかく。
全人類のことを考えて行動する展開になるんだったら、タダシにはそもそもスローライフしたいという気持ちしかなかったはずなので、なにかしらの使命感に目覚める必要があったと思う。コミカライズでそういうのが薄くなってしまったんだろうか。
絵は見やすくて安定していて完成度は高いと思うんだけど、どちらかというと少年誌的な絵で、自分にとってはヒロインに対して絵的に魅力的を感じられなかった。海エルフ族の族長イセリナや彼女のもとにいた様々なタイプのサブヒロインたち、商人にして猫賢者のシンクーなど、いろいろ出てくるんだけどあまり性を感じなかった。それでいてやることはやってるという。
そういえばシンクーたち商人がタダシの勢力下で独自に街を作り出すのはなにげによかった。全然そのあと描写がないんだけどw「異世界のんびり農家」の方はヒラク村長自身が望んでいなくても周りが中央集権的にしようとして全部のことに関わっていたのに対して、こっちはタダシのもとで割とみんな自由に動いている。
なんで1巻と2巻以降とで漫画のクレジットが違う人になっているんだろう。絵のタッチがそう変わったように見えなかったのでこれ書くときにようやく気づいた。意識して比べてみても違いがよくわからなかった。ペンネームを変えただけかと思いきやプロフィール紹介も別々にあるし。
いろいろとケチをつけてしまったけれど、ストーリーの先行きがなんだかんだ楽しみだったし、こういう作品が好きな人なら読んでみてもいいと思う。
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