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28 days later
 新世代ゾンビ映画として、ちらほら名前を聞いたことがあったので
レンタルで借りて鑑賞することにした。

 本作で暴れるのは厳密には「ゾンビ」ではない。
人間を血に飢えた化け物に変えてしまうウィルスによる
集団感染。冒頭では、ウィルスを宿した実験動物が逃げ出すシーンが
語られ、次のシーンはいきなり病院。。テロップには「28 days later...」と。
主人公は交通事故で入院していた患者。
28日後に目覚めてみたところ、町はエライことになってました。。
・・・っていう語り口。
いきなり、バイオハザードのラストシーンを彷彿させるのだが、正直、ついてゆけずにキョトンとしてしまった。
題名の「28日後」って何だろう?という疑問が
あったのだが、別に「32日後」でもよかったと思うと、
薄っぺらさを感じてしまう。
こういうタイトルの付け方はキライだ。

 大まかな印象は、とにかく「ファッショナブル」。
挿入されている音楽のセンスがよい。
映像では、もの凄い形相をした感染者たちが、活き活きとスピーディーに走り回る。
まるで音楽のプロモビデオのように、ダイナミックなカメラワークだ。
町の景色、郊外の景色、情景も小洒落ていて、
ファッショナブルだ。。
調べてみると、ダニー・ボイルって人は、「トレイン・スポッティング」の
監督だそうだ。。一昔前に、イナカから上京してきました!!って感じの若者の
部屋には必ずといっていいほどポスターが貼ってあった、アレだ。
「お洒落映画」としての価値は保証されたか。
・・・ただ、本作はその方向にひたすら突っ走ったわけでなく、
物語を楽しみたい人たちも唸らせようとしている。
お洒落道を突っ走るなら、タランティーノやリンチのように、
支離滅裂にゆけばいい。あえて古典的なモチーフに触れるということは、
そっちの人たちもターゲットしてしまうからだ。

 深く鑑賞したところの感想としては、意外と佳作だな、と思った。
この映画、ビジュアルと音楽に気合が入りまくってはいるのだが、
中身についてもなかなか練られている。
 脅威として描かれる無数のゾンビ(感染者)たちに対して、
対抗する力として「軍隊」が描かれている。
主人公たちはその力の庇護を受ける立場になる。
結果的には対立してしまうわけだが、その描き方が秀逸だった。
同じようなアプローチを名作「死霊のえじき」でみることができるが、
この点に関しては、あの名作を超えたアプローチができたと思う。
 「死霊のえじき」で描かれる軍隊は、恐怖の前にトリガーハッピーになった
武装集団に過ぎなかった。
パニックに陥っていて、
ゾンビに対する対抗手段もどんぶり勘定で、絶望的な雰囲気を醸していた。
無力ながらも理性的な主人公に感情移入するばかりで、
力だけしか持たないだけの、「悪」とか「愚」の象徴として描かれていた。
 だが、本作の軍隊の描かれ方はすばらしい。
生き残りの最上官である「少佐」の元、統率がとれている。
普段はガラが悪かったりするのだが、綿密な指揮系統の元、感染者たちの襲撃に対抗している。
基地の周りに地雷を仕掛けたり、敵襲の際の照明や警報など、綿密だ。
ちゃんと「軍隊」として成立しているのだ。
 「少佐」はなかなか魅力的に描かれている。
知的で人望厚く部下思いだ。主人公を部屋に呼び、酒を飲むシーンがあるのだが、上品で紳士的だった。
・・・だが、人の上に立つ立場であることから、部下の期待に応えなければならないという重荷を背負っている。
別に部下に給料を払っているわけでもなく、軍隊も政府も崩壊した今、
人望と手腕のみで人の上に立っているわけだから、
それを証明せねばならない。
部下との約束を果たすために、主人公にある要求をすることになる。
主人公としては受け入れがたい要求であったため、決裂することとなり、
「少佐」は主人公を殺す選択をすることになる。
最後は少佐率いる軍隊vs主人公って感じの展開になる。

 ストーリーはしっかりしているのだが、惜しいところがある。
せっかく、少佐を魅力的に描いたのに、主人公は躊躇なく対立してしまった。
主人公なりの信条とかがあるのだろうが、頼れる「力」を
あっさりと敵に回すとは、あまりにも考えがないっていうか、人間らしくないというか、
視聴者を置いてゆくようなことをするなぁと思った。
そこの葛藤に力を注げば、名作と呼ばれたかもしれない。
組織的なものを敵に回すということに何ら躊躇しないのは無鉄砲な若者かな。。
こどもなら主人公の行為に共感できるかもしれない。
衝動的に「力」を敵に回してしまった後は、もう子供向けアニメ的っていうか、
作品のグレードががくんと落ちてしまった。
勢いとカメラワークで最後まで突っ走った感が否めない。
ちゃんと詰めて欲しかった。。
 惜しい。オトナになりきれなかった映画って感じだ。
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