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俺の屍を越えてゆけ
短命の呪いを掛けられた一族が、打倒・朱点童子を悲願に、鬼たちによって荒らされた京の都を復興させつつ、一族を繁栄させながら鬼と戦っていくゲーム。

昔コマーシャルでやっていた覚えがあった。もう結構前のゲームだ。SCEIお得意のゲーム画面を出さないイメージだけの公告で、とにかくタイトルだけは強烈に覚えていたが、それっきりだった。ネットで評判を聞き、友人も手を出し、それとなく気になっていた。ネットゲームばかりの毎日から少しずつオフラインゲーム(ネットじゃないゲーム)をやろうと考えていた私は、あまりRPGをやらない友人が面白いといっていたこのゲームから手を出すことにした。

でこのゲーム、説明書からして非常に特徴的だ。広告代理店出身のプロデューサ・枡田省治の色が前面に出ている。いきなりプレイヤーに語りかけ、そのままいってしまう。やや硬派な日本風のゲームを想像していたのだが、多少拍子抜けした。説明書を読み進めると、この人は本当に楽しんでゲームを作ったんだなということが伝わってくる。

普通ならあまり手をかけないところに手間を掛けているのが非常に新鮮で好ましい。プレイステーションの初期のゲームで、ここまで登場人物がしゃべりまくったゲームはあっただろうか。プレイヤーをサポートするアシスタントのイツ花や黄川人がしゃべるしゃべる。おたくっぽくなりがちなところを、ギリギリのところで抑えている。黄川人の声の人は名探偵コナンの声だな…。交配するだけの神々にも一言二言ずつ声を用意している。

ゲームシステムは、割と古風な仕上がりになっている。作者は初期のRPGのような100時間掛かるバランスで作りたかったらしい。一応サラリーマンなど時間のない人のためにも30時間程度で終わる難易度も用意されている。戦闘画面もシステムもオールドファッションだ。特にフィールド画面はクォータービューだが昔の世代を感じさせる。戦闘画面が日本画風のグラフィックで描かれているのが目を引く。

ゲームバランスは絶妙なところで成り立っている。一時期のRPGは本当に簡単になりすぎて話を追うだけになっていたが、気を抜くとあっという間に全滅するようになっている。ちょっと難しすぎるんじゃないの?と私でさえ思わなくもない。まあ私は難しいモードでプレイしたからだろうか。

攻略に時間をかければかけるほど有利になっていくから安心できる。お金を貯めれば武器や防具をよくすることもできるし、京の都を復興させていけば店でも質の高い装備をそろえることができる。それでいて、敵が落とすのを狙ったほうがちょっと早いという丁度いいバランスになっている。感心した。

さてこのゲームの最大の特徴は、キャラクターがどんどん死んで退場していくことだ。一年半から二年で大体死ぬ。一ヶ月が基本単位で、ダンジョンの攻略には二ヶ月三ヶ月掛かることもあるからこれは短い。そのあいだに子供を産ませて子供を鍛えたりしなければならない。能力はある程度は継承してくれるが、基本は最初からやりなおしだ。思い入れが出来たキャラが死ぬとき、遺言を吐くのだが、思わず涙が出てしまうことも。作りすぎた台詞のときはしらけてしまうのだが、それはサッと流すことにする。

とここまで解説を書いてきたが、私はこのゲームをクリアしていない。半分も攻略していない。時間の掛かるモードにしてしまったため、単調な経験値稼ぎなどのルーチンワークを強いられていくうちに、飽きてしまったのだ。作者に敬意を表して、上から二番目に時間のかかるモードにしてやっていたのだが、これでは今の私には難しすぎる。

特にボス戦が非常にシビアだ。風神雷神っぽいボスと対決して、途中まではいい感じで戦っていくのだが、突然ボスが強力な攻撃を始めて崩れ始めていく。その段階で逃走しようと思ったのだが、ボス戦は逃走できない。あれよあれよと全滅してしまい、三人だったかが死に、一人だけ辛くも生還できた。一族の命脈がいきなり細ってしまった。リセットも考えたがこのまま復活を目指すことにした。復活もまた楽しい。が、唖然としてしまった。

ゲームが難しいこと自体は悪くない。失敗してもゼロにはならないし、攻略のためのコツや知恵を身につけることができる。攻略に成功したときの喜びも大きい。ただ、そこにたどり着くまでの単純作業に耐えられなくなった。経験値稼ぎだが、ダンジョンの数が少ないので毎回同じ場所をさまよう。出てくる敵もいっしょ。落とすアイテムも何度も通っていくうちに分かりきってくる。ただ違うといえば、パーティ編成だ。今度はこういう編成にしようかなと、一族の一人一人を育てて楽しめる。が、試行錯誤をある程度終えると大体パターンが決まってきて、面白みがなくなってくる。

パーティ編成で思い出したが、このゲームの一番の特徴は、パーティ編成を中期的に組替え出来るRPGといった感じではないだろうか。ウィザードリィのときからあったRPGの職業システムは、基本的には最初に決めたらそのまま続けるしかなかった。ファイナルファンタジー5あたりになるとコロコロと組替え出来たが、それでも職業制覇が第一の目的になってしまって、効率のいい編成を追及するというのは二の次だった。

要するにこのゲームは、拠点があってキャラクターがどんどん入れ替わる攻略型のRPGだということだ。工夫のし甲斐があって、うまい人は効率よくゲームを進めていける楽しみがあり、下手なうちは試行錯誤をする楽しみがある。ゲームとしてよく出来ている。

ストーリーもまあまあ。日本の神話だか民話だかを解説してくれるのもいい。

私から言っておきたいことは、いまからやるなら一番時間の掛からないモードにしてやったほうがいいと思う。なんと途中からモードを変えることすら出来るほど柔軟な作りになっているから驚きだ。しかし今の私にはこのゲームを再開するほどの気力は残っていないのだった。

この人いま何をやっているんだろうなぁ。また何か作って欲しい。
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