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佐賀のがばいばあちゃん
ベテラン漫才師・島田洋七が小中学生の頃に佐賀の貧乏な祖母の家に預けられていたときの物語。たくましくていい加減だが筋の通った祖母のことを佐賀弁で「すごい」を意味する言葉で「がばいばあちゃん」と呼び、自身の青春や母を思う気持ちを添えて描いている。

本を開いてまず驚いたのが字の大きさだ。読みやすいとは思ったが、実のところちょっと期待が落ちた。分かりやすいだけで売れた大衆的な作品なのではないかと思ったからだ。ところが読むと王道を行く作品だった。これといって新味はないのに読んでいて泣けた。電車の中で読んで涙が出てきてしまった。

主なところは既にテレビドラマ版のほうで書いたのでそちらを読んでほしい。今回原作小説を読んでやはり思ったのは、一人称で作者自身によって語られることの大きさだった。必要十分な描写と語りで、余計なものがなく、まあちょっと足りなさを感じなくはないがこのぐらいがいいのだと思う。作者は長いキャリアを持つ漫才師なので、このあたりはさすがだと思った。

ラストがぷっつり終わっていてびっくりした。だが書かないところが非凡だ。もうばあちゃんの性格は十分に描写されている。最終章のばあちゃんの言葉や態度はもう読者にとって何の説明も要らない。もうちょっと何か演出できる技法、つまり本来出てくるはずのない台詞が出たことを際立たせる何かがあってほしかったが、別離の際に出てくる当たり前の台詞が既に前振りによって異化されているのでこれで十分なのかもしれない。

テレビドラマを観た人が原作を読んでも特にこれといって何か分かるわけではないので、忙しい人は本作品をわざわざ読むこともないだろう。これまで本作を見たことのない人には、気軽に手にとって中身の濃い物語が短時間で楽しめる作品なので、何か物語を楽しみたいと思ったときにまず手にとってみてほしい作品だ。
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