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ライドンキング 12巻まで
中央アジアの小国を独立に導いた大統領プルチノフだったが、テロリストの襲撃を受けてファンタジー風の異世界へと飛ばされる。いろんな動物に乗るのをなによりも楽しみとしている彼が、空想上の存在だったはずの生き物に騎乗しつつ、大統領としての知恵と力で人々を導いていく。少年マンガ。

珍しく原作小説を持たない異世界ファンタジーマンガ。ロシアのプーチン大統領を彷彿とさせる冷酷非情そうな面相と武術をたしなむマッチョさを持った主人公が異世界で活躍するという異色の作品だったので、一時期コマーシャルをやっていて興味を引かれたので読んでみた。途中から正直つまらなくなっていったのでいったん追うのをやめていたのだけど、いつのまにか続きがそこそこ出ていたのでまとめて読んだ。やはりすごくおもしろいのは4巻ぐらいまでだった。

まずは転送先の荒野でワイバーンと戦っていた美少女二人組をなりゆきで助けた上で、持ち前の強引さでこの二人を自分のペースに巻き込み、街まで案内してもらって冒険者になるための手続きをしてもらう。

街で虐待されていた人馬族(ケンタウロス)を目撃した彼は、人道上許せないと考えて衝動的に彼らを助けたことから、貴族の女騎士団長ジェラリエ・ゴルドーの一味に追われることになる。ここから4巻ぐらいまでは、こいつらと戦いつつ途中で見つけた弱い者たちを保護して導いていく展開になる。

この作品のなにがおもしろいって、武器を持たずに格闘技というかマッチョイズムだけで敵をバッタバッタと倒していくことと、それでいながら大統領としての崇高かつ現実的な理念と手腕により敵と交渉し人々に道を説いてコトに当たっていくこと、そしてそんな彼を突き動かすのが動物に騎乗したいというもはやフェチズムといっていいほど変態的な嗜好だというところだろうか。

5巻あたりから魔族が出てきて人間の領土に侵攻してくるので、彼らの代表と交渉するために海底トンネルを通って彼らの本国へと向かう。そこからはいわゆるバトル展開がメインになっていき、訳の分からない能力を身に着けてむちゃくちゃな力を発揮するようになる。

そんな「魔族編」も9巻ぐらいで終わり、10巻からは新たに騎獣を求めて(?)南方へと向かう。これまでちょくちょく裏でちょっかいをかけてきた魔術師のボスがヒロインの一人に憑依して戦いを挑んでくる。

絵がいい。この荒唐無稽な主人公をリアルかつコミカルに描いており、この絵なくしてこの作品はないと思う。また、出てくる美少女たちもかわいく、透き通るような肌がなまめかしい一方で、表情が豊かでマンガチックなのがよかった。

といっても正直ヒロインたちにそれほど印象はなかった。主人公の存在感が圧倒的なせいもあるけれど、彼女たちの影が薄いと思う。最初に出会った美少女二人組の冒険者は、片方が魔術師でもう片方が剣士、そして途中で出会うエルフの少女は一風変わった高度な魔術を使うのだけど、なんかこいつらの存在を再読するまですっかり忘れていた。顔が判別しにくいし。
大統領の心の中にはすでに亡き妻がいるため、まったく恋愛要素がない。物語の途中で主人公がなにか一つ願いをかなえてもらえることになるのだけど、そのシーンに感動して涙が出てしまった。ああ、大人の男だなあと思った。

まあだから逆に言えばこの主人公には心の成長がない。たまに反省すべきところは反省するのだけど、大体精神的に固まっちゃっている。その分、主人公を見て周りの人々が心を入れ替えたりしていくわけだけど、主要登場人物は主に戦闘的な技術を磨くだけだった。みんな子供すぎるんだと思う。

なんかもっとこの主人公の実践的な知恵を活かした展開があればなあと思った。でもきっと大多数の読者はそんなものは求めてないんだろうな。マッチョのほうがシンプルでおもしろいし。人はそれぞれ自分自身の王だというセリフはあんまり響かなかった。

4巻ぐらいまではとてもおもしろいのでぜひ読んで欲しい。そこから先はお好みで。
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