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さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

山田 真哉 (光文社新書)

まあまあ(10点)
2005年5月17日
ひっちぃ

さおだけ屋は本当に儲かっているのか? という日常の疑問から会計について平易に解説していく会計の入門以前の本。

作者は既にそれなりの部数を出した会計の入門書を書いている。本書はそれをさらに分かりやすくし、会計の入門という以前にまず興味を持ってもらおうというところを目的として書いたのだそうだ。最近、巧妙に読者の興味を引くべく書名をつける風潮が強くなっているが、まさにそれにのっとった名前で引っかかって私も買ってしまった。

そういう本の例に漏れず、中身が疎ではあったが、それなりに面白い本だった。まず、さおだけ屋の疑問の答えが知りたい。それで読み進めた。答えが一つじゃない。いくつもある。それらの商売の理屈をうまく会計と結びつけて説明している。実のところを言うと、さおだけ屋が儲かる仕組みなんて会計はあんまり関係ないよなぁ。商売あるところに会計があるので、そういう意味からすると商売を説明するのに会計が便利だというのは分かるのだが、会計はあくまで商売を測る道具なのだから。

たねを説明するとこの本の実をバラすことになるのでどうしようかと思っていたら、この本の作者がなんと日本テレビの「世界一受けたい授業」という番組に出演して、本の内容の一部を講義していた。作者を見てびっくりした。若い。巻末の略歴を見ればすぐ分かったはずだが見落としていた。なんと若干28歳。割とルックスがいい。新卒で就職後に方向転換して会計の勉強を始め、外資系の会社に入ったあとでもう独立している。著書も既に数冊出している。いるんだねぇこういう人が。ホリえもんとかが出てきてあまり驚かなくなっているが、改めて考えるとすごい話だ。

なのでさおだけ屋の種あかしをすると、

1. 二本で千円の竿を買おうとすると、もっと高い竿を勧められる。
2. 金物屋の副業として配達のついでとかでやっている。

などという理由があるのだそうだ。これらの理由に対して一つ一つ、会計的な分析をして、商売として成り立っている説明付けをしている。

さおだけ屋のほかに、閑静な住宅街の真ん中にある客の少ないフレンチ料理店が成り立っている秘密なんかもテレビで言っていたので書いてしまおう。料理教室を開いているからなのだそうだ。

ほかには、完売したのに怒られた、という一見不思議な話をもとに機会損失という会計用語を説明してみせたりと、確か5,6個ぐらいのテーマが各章で語られる。巻末に会計用語の超簡単な辞典がまとめられている。

それなりに面白い本なのだが、400円ぐらい、でなくてもせめて500円以下にしてほしいぐらいの内容だった。内容の切り口がいいし、説明も納得なのだが、一つのテーマが長々と引っ張られた感じがして、値段不相応な感じが抜けない。20個ぐらいのネタをまとめられるだけの紙面があったはず。それだけのネタを思いつくかどうかは知らない。

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