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NARUTO 第一部

岸本 斉史

まあまあ(10点)
2005年6月18日
ひっちぃ

五つの国が、五つの忍者里を持つ異世界。その中の一つの忍者里である木の葉の里に生まれ、忍者として育ったうずまきナルト。里の長である火影を目指して修行をする。仲間やライバルや先生たちとのふれあいや戦いが描かれる。

一段落でこの作品を要約しようとして気づいたが、この作品は結局どんな作品なのかというと、主人公うずまきナルトの活劇としか言いようがない。まず主人公の目的は火影になることだが、それは夢みたいなもので、その目的を果たすために具体的に何かをするわけではないからだ。

ナルトのライバルは、うちはサスケというエリート忍者だ。名高い「うちは一族」の最後の生き残りとされ、忍者学校の同期の中でも一番注目されている。ナルトにはそれが面白くない。しかし実力は伴わない。

忍者学校と言った。この作品の最初は忍者学校から始まる。普通に授業とか試験がある学校という設定になっている。忍者という前時代的なものを、現代風に扱っているのがこの作品の特徴だ。いままでにもこういう作品はあった。忍者小学校があった某作品とか、傭兵学校が舞台のファイナルファンタジー8。特に目新しくはない。忍者学校を卒業すると、晴れて下忍になり、中央から任務をもらってこなしていく。定期的に中忍や上忍になる試験がある。

この作品のいいところは、仲間という横のつながりだけでなく、世代という縦のつながりが描かれることだ。世代には、親子関係のほかに、師弟関係や流派の宗家分家、術の開発者と利用者がある。登場人物が豊富だ。各世代の人々がニッコリと笑う写真がならぶアルバムみたいな描写を見たとき、私はなんだか少し感動してしまった。ああ、現代の日本が失った美しい美徳がここにはある…、とまではさすがに思わないけど。

忍者モノによくある術の応酬は見ていて楽しい。

ナルトの設定が面白い。かつて里を襲った怪物・九尾の狐がナルトに封印されているという設定には、主人公らしい可能性が感じられていい。ドラゴンボールの悟空が大猿に変身するのと似ているけど、ナルトの場合はそのおかげで孤独な子供時代を送ったことになっている。

ヒロイン?のサクラちゃんがあんまりかわいくない。それはそれで面白いかも。ヒナタとかテンテンとかを見ると、作者は一応おとなしめのキャラならかわいい女の子キャラを描けるみたいだけど、かわいくないタイプをあえてヒロインにしたところがいい。でもちょっと性格があけっぴろげていて、描写が浅いのは残念。

ストーリーはまあまあ。第一部は、大蛇丸という敵ボスがいたのだが、私はどうもこのキャラが好きになれなかった。気持ち悪い。強さの質が生理的に嫌だ。最初女だと思っていた。こいつの術がまた不気味で、術を掛けた人間の体中に妙な印の模様が浮かび、その印で強さを引き出し、最終的にその人間を怪物のような外見にさせてしまえる。それを見ると、こんな作品にしてほしくなかったなー、という読者の身勝手な意見が私の中に浮かんでくる。

ハンターハンターのときも思ったが、最近の作品は人が簡単に死にすぎる。雑魚があっさり殺される。味方を殺した敵キャラが物語の進行とともに仲間になるというのは、見過ごせないモラルハザードだ。

単行本の27巻で第一部が終わる。読み終えてみて、話を思い返してみると、なんだか結構ダラダラやってるなと思う。ストーリー展開をもっと引き締めてほしい。締まりなくダラダラと続いている印象がある。面白い作品なのだけど、読み終えたあとに残った単行本27冊を前にすると、複雑な感情がある。この27冊をずっと持っているほどの価値があるのだろうか。前に新刊本が売れない問題についての記事を読んだとき、分量だけ膨れ上がらせた出版社も悪いという記述を読んで漠然となるほどと思ったが、こうしてみると改めてその意味が分かる。同じ二十数冊でもGTOならとっておこうと思うのだけど。

というわけで、マンガ喫茶で読むことを勧める。

作者が自分の生い立ちやデビューまでの道やデビュー後の苦しみを書いた文章はとても面白く読んだ。マンガ家ってのは話を作ることの勉強はあとまわしにするんだなぁとちょっとガッカリしはしたが、この作者の文章は割とうまいので、絵だけじゃないんだなと思った。物語の作り方とか演出の勉強をしているみたいで感心したが、小さい頃にあまり物語を読んでいないのではないかと思うくらいに稚拙な部分がときおり見られるので心配になる。

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