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いちご100% 1〜16、17巻

河下 水希

最高(50点)
2005年9月4日
ひっちぃ

複数の女の子から持てる一見平凡な中高生の主人公真中が、誰か一人を選べずに苦悩する日々をつづった学園モノのハーレム漫画。いちごの柄のパンツが頻出し、最初に校舎屋上で出会った謎の美少女がいちごパンツだったため、いちごの謎を追うことから題がついたものと思われる。

ハーレムアニメまたは漫画として有名な天地無用!やラブひなの場合、少なくとも私には登場する女性たちがそんなに主人公に真剣とは思えなかった。その気楽さこそがハーレムものの特徴だと思っていたぐらいだ。しかしこの作品は登場する女の子たちがかなり真剣な想いを持っているように描かれている。しかも視点がちょっと彼女たちの一人称にもなっていて、主人公と同様に未成熟な存在として描かれているため、読んでいてとても切なくなる。

登場する女の子もよく考えられている。まず、主人公の映画好きと趣味の合う優等生の性格控えめな文学少女。次に全校生徒の憧れの的の能動的で活発な少女。まるで親友のように気さくに話せる快活な少女。誰と付き合うべきか悩むのは主人公だけではあるまい。読者にも問いかけられているかのようだ。さすがに現実はここまで都合よくはないがそれでも、目標が同じ相手を選ぶか、目標はそれぞれでも尊重しあえる相手を選ぶか、気兼ねなく話せる相手を選ぶか、考えるだけなら誰でも一度は考えるだろう。

女の子は主にこの三人だが、いとこの妹分、知り合いの妹の性格きつい女の子、塾で出会う男アレルギーの少女、性格の壊れたギャル風の後輩なんかが現れる。そして彼女らが、作為的なシチュエーションのもとで、しつこいぐらいに読者サービスでパンツを披露する。もうこのあたりは笑うしかないのだが、それでもニヤついている自分もいたりでなんともしがたい。

絵がいい。少女たちを魅力的に描いている。かつて桂正和が電影少女で見せたあのエロいパンツには及ばないものの、それに類するものを感じる。シンプルなラインなので実はこっちのほうが上かも。

だが、この作品の何が一番いいかというと、絵よりも想いを抽出して描いて見せているところにある。主人公一人に女性が三人から五人ぐらい想いを寄せるわけで、一人が近づくと他の少女は悲しみにくれる。その悲しみの見せ方が三者三様どれも切ない。ああ、敗者ってかっこいいな。戦記モノもそう。

で、迷いに迷う主人公は、ある勘違いが元で、ついに17巻で一人を選んでしまう。ところが途中で別の想いに気づいて…。ああ、次の巻が楽しみだけど、なんだ結局そういうことかという残念な気持ちも私にはある。一度選んだ以上、それを貫いて欲しいんだけどなぁ。っていうか、読んでいる私は主人公よりむしろ少女たちに感情移入していることに気づく。主人公の悩みとか成長なんてどうでもいいんだよね。そう考えると不思議な作品だ。

ちなみに私だったら、さつき、つまり友人のように積極的に接してくる女性を選びそうだ。私が相手を選ぶ最も大きなポイントは、私に対して好意を持っているかどうかなので(多分)、その好意をハッキリ示してくる相手を選ぶだろう。…いやそうとも言い切れないな。実際に主人公のような状況になったらどうするのだろう。とそんな空想までさせてくれる。

なんだろう、はっきりいってこの作品は人に勧めるには恥ずかしいのだが、いい作品だと思う。結構バカっぽい要素満載なのだけど、その中にドキリとさせられる強烈なものを持っている。しょーもない筋立てを含めて、私は高く評価したい。

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