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岡崎京子

傑作(30点)
2002年3月17日
ひっちぃ

OLをやりながら裏でコールガールもやっている普通の女の子と、その周辺の人々の話。お金を持っているので、食費の掛かるワニを高級マンションに飼っている。マンガをよく読む人からすれば名作と呼ばれる中の一つ。

この作品は結局どういう話なのかというと、非常に説明しづらい。人間関係を中心に話が生まれていく。まず、主人公は母親と死に別れていて、そのあとに継母がやってきた。その継母との折り合いは悪いが、その継母の連れ子のケイコとは仲がいい。継母は父親をほったらかして、若い男と体を含めた逢瀬をしているが、その若い男が主人公のマンションにやってきて仲良くなる。そういった人間関係が、一つ一つの物語と共に語られていく。

主人公の性格は非常に感覚的で、都会生活を自分の好きなように生きている。普通の会社に勤めて OL をやっているだけならばそこそこの生活しかできない。ところが、若い女性には簡単に稼ぐための手段がある。そうやって体を売って稼いだ金で、いいところに住んで、おいしいものを食べ、キレイなものを買う。

そんな彼女にとって、OL の生活は面倒なこととしか思えない。OL の生活だけでなく、人々が理由なく従っている慣習も面倒に写る。彼女はいわば都会に住む肉食獣のようなもので、お金がなくなったら稼ぎに出かけて、数日は豊かに暮らせるだけの稼ぎを手に入れる。そんな彼女には、日々そのへんの草を食べるだけの人々が理解できない。

この作品の面白さは、世の中の慣習に従っている我々読者と、都会の肉食獣たる主人公との、ギャップというかなんというか、落差があるからだと思う。

一応批評めいたことも書いておくことにしよう。物語の前半に別の女性が出てきて、若い男を追って主人公の部屋に勝手に入ってきて、ワニを見て気絶してしまう。その女性の顔を見るなり主人公は「自信たっぷりでこうまんちきでやな顔してる」と言う。これはどういうことなのだろう。好き勝手に生きてる主人公が彼女を嫌う理由があるのだろうか。

ラストが安直すぎるのも気になる。あれ? という感じ。作品を終わらせるためだけの展開なのだから仕方がないのかもしれないが。

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