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みなみけ

桜場コハル (ヤンマガKC)

最高(50点)
2007年11月18日
ひっちぃ

両親不在の南家の三姉妹とその友人たちとの、家や学校での日常を描いたギャグマンガ。

アニメ化されたのを見て面白かったので原作マンガを買ってみた。三姉妹ものというだけでちょっと引いてしまったが、キャラがよく出来ていて面白い。

まず軸になるのは次女カナと三女チアキの関係だろう。次女カナは姉妹の真ん中だけに奔放な性格をしている。一方の三女チアキは秀才でお利口さんで生意気。カナがチアキを翻弄する一方で、チアキがカナをやりこめたりするという、単純ではない姉妹関係がとても面白い。特に三女チアキが次女カナのことを「バカ野郎」呼ばわりしていつも生意気な口を利くのがいい。

三姉妹それぞれに個性的な友達がいる。三女チアキには流されやすいキャラの内田やバカ少年マコトなどがいる。マコトは南家の長女ハルカのことを好きになるが、三女チアキに嫌われてしまうので、次女カナの面白半分の策謀で女装してマコちゃんと名乗って南家に出入りするようになる。一方三巻から登場するトウマは女の子だが展開上男の子ということになり、この設定を利用したエピソードが続く。小学生だから不可能ではないし、こういう狙った設定は私の中ではすごく楽しいのだが、普通の人にはちょっとあざとく感じるかも。

次女カナには、サッカー少年藤岡が惚れてきたり、その藤岡に惚れているリコが勝手な想像をめぐらしたり、おりこうさんのケイコが振り回されたりする。

長女ハルカには電波系のマキちゃんが突飛なことを言い出して振り回したり、バレー部の男の部長保坂がハルカに惚れてナルシシスト満開の勘違いが淡々と繰り広げられ、その保坂にマキが振り回されたり、そんな保坂を煙に巻く女の速水先輩がいたりと、色々な趣向の人間関係がとにかく楽しい。

この物語の舞台は学校と南家ほぼ二択である。たまに外出して海に行ったり温泉に行ったりするが、九割がた家と学校だけである。南家には三姉妹の友人たちがフラリと訪ねてくる。ドアをあけるとかのシーンをすっとばしていきなり入ってくるのはご愛嬌として、年齢の垣根を越えてみんな仲が良いのが見ていて楽しい。次女カナが三女チアキの友人の内田とかマコトに怪しいことを吹き込んだり、長女ハルカの友人相手に次女三女らが普通にちゃん付けて呼んでいたりする。

この作品の一番の魅力は、押し付けがましくないところだと思う。一歩引いて淡々と描いている。台詞が絞られていて、テンションも抑え気味だ。よく練られた論理的勘違い系の台詞にクスリとする。絵の余計な動きも削られていて、モンタージュっぽい技法が気持ちいい。その上で萌え要素とかパンチラとか話の展開を結構狙っていっている。色んな意味でバランスの良さを感じる。オタク向けにありがちな、なんでも詰め込みましたという見苦しさがない。まあだから重度のオタクがこの作品を見ると中途半端で物足りなく思うかもしれない。実際私が見て若干弱いと感じる部分も少しある。

ところで私はこの作品を二年前ぐらいにも見ているはずなのだが、そのときは完全にスルーしていた。私は会社の同僚からもらったヤングマガジンを五冊ほど読んでいたはずで、しかもその同僚が「『みなみけ』っていうのいいでしょ。俺は面白いとは思わないけど」とオタクであるところの私に勧めていたにも関わらずだ。そういうあんたはオタクっ気が一切ないってか、という突っ込みは置いておいて、不覚を取ったと思う。っていうか途中から一話一話ポツポツ読んでもあんまり魅力を感じられなかったのかもしれないなあ、と言い訳する。

私はこういう日常ものに弱くて、買ってから一ヶ月もたっていないのに早くも再読してしまった。いいなあこういう日常。でも実際に兄弟がいて兄弟の垣根を越えた友達がいて一緒に仲良く遊んでいた当時はそんなに特別に楽しいとは思わなかったなあ。いま思い返すと懐かしくて、理性的に考えるととても素晴らしい時間を過ごしていたのかもしれないけど、いまひとつ実感が伴わない。

ちょっと批判もすると、一部の人物の見分けが難しいことがある。次女カナとリコと傍観者さんのベタ黒髪たちとか。あと背景の描きこみが少なすぎてスカスカ。効果線などのマンガの技法が意図的なのかほとんど使われていなくて、それはそれで良いのだが、動きを出したいんじゃないかと思えるところでも使われていなくてあれって思うこともある。

長女ハルカのキャラが定まっていないように感じる。まあこのくらい複雑なのが人間なんだろうな。物語の登場人物にしては幅がありすぎだけど、私は悪くないと思う。

細かいところだと、口の形がよく出来ているなあ。特にカナの。丸みを帯びた六角形気味のやや呆けた口がとてもラブリーで良い。ありそうで無かった優れた萌え要素だと思う。

この作品にはちょこちょこ素足特に足の指とか裏が描かれていて、素足フェチの私からするとなまめかしいものを感じる。こういうシンプルな線のマンガでここまで色気を感じさせる素足が描かれるってのは今まであんまり無かったと思う。

(最終更新日: 2011年2月8日 by ひっちぃ)

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