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フォーチュン・クエスト 2〜3巻 忘れられた村の忘れられたスープ

深沢美潮 (角川スニーカー文庫)

傑作(30点)
2007年12月13日
ひっちぃ

所帯じみた駆け出しの貧乏パーティの冒険を扱ったパロディ満載のファンタジー小説の二話目の長編。冒険者免許の更新というフザケた設定の途中でアクシデントに遭遇し、一行は恐ろしいブラックドラゴンのもとに行かなければいけなくなる。

このシリーズの基本的なことは一巻のレビューで書いたのでバッサリ省略する。

改めて思ったのは、このシリーズって良くも悪くも子供じみているなあということだ。こんな未熟な一行がなんだかんだで幸運に恵まれたり、人々が持っていない魅力がもとで危機を切り抜ける。それがこの作品の大きな魅力の一つなんだろうなあ。最初に読んだときはそういう展開にワクワクした。いまだとちょっとケッて思うのは私が歳を取ったからだろう。

いきなりけなすところから入ってしまったけど、私はこの巻がとても印象に残っていて大好きだった。ネタバレになるので説明が難しいけど、今回の話にはいくつかの孤独が描かれる。なかでもあの人の孤独と喜びは心が暖まった。私にとってこの作品は、読み終わったあとすぐにまた読み返したいと思った最初の本かもしれない。

まあでもこうして改めて読んでみると、結末のつけ方は劇的ではあるけれどお粗末な感じがした。よく出来た話だなあとは思うのだけど、一方でこれはないよなあと話についていけない自分がいる。

一方でクレイとトラップという二人の青年の悩みとか友情物語が、クドくなくあっさりと深く描かれていて、押し付けがましくなくほどよいバランスなのがとてもいいと思う。主人公の少女パステルも軽く生い立ちを語るし、巨人族のノルも行方不明になっている妹を健気に探し続けていることに触れられていて、少しのせつなさと小気味いい前向きさがなんともいえない。途中で出会う高レベルの傭兵ジュン・ケイも、最後のワンパターンな処理以外は、孤独とかパステルの恋心っぽい描写のネタになっていていいなあ。

この作品はファンタジーのパロディという要素が非常に多いのだけど、その究極なのがこの巻に出てくる劇中劇だろう。びっくりした。よくこれだけの長さできれいにまとめてあるなあと改めて感心した。

この作品には作者オリジナルと思われる魔物がいくつも出てくる。私は最初は一般的なファンタジーの世界からあんまり逸脱してほしくないなあと思っていたのだけど、こういう読者にとって未知で面白い弱点を持ったモンスターに一行が頭をひねって対処していくところは面白い。ありきたりなモンスターだけだったらつまらなかっただろうなと思う。

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