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狼と香辛料6

支倉凍砂 絵:文倉十 (電撃文庫)

まあまあ(10点)
2008年1月15日
ひっちぃ

普段は若い娘のなりをした狼の地神ホロは、仲良くなった旅の商人ロレンスと連れ立ち、自分の故郷を探す旅をしていた。しかしようやく先が見えてきたとき、エーブという商人に騙されて金を盗られて逃げられてしまった。旅をこのまま終わらせたくなかった二人は、エーブを追って小船に乗せてもらい川を下る。

どうやら今年からアニメ化されているらしい人気ファンタジーライトノベルシリーズの六巻目。

毎巻なんらかの盛り上がりを見せて結末がついていたが、本作は前の巻の話を引きずっている上に次の巻に続いていっている。一応銅貨の話がこの巻のメインテーマなのだと思うが、これで終わり?種明かしされてないんだけど。少年コルには分かったようなのだが、私にはよく分からなかった。パズル的な答えなら浮かんだのだけど。

相変わらずこの人は頭でっかちの理屈先行で話を組み立てている。商人ロレンスと賢狼ホロの男と女の会話は、二人のあいだにとても濃密な対話が成り立っていて、それがこの作品の最大の魅力なのだろう。が、これは一言で言えば「甘え」だ。本シリーズの中でロレンスとホロは何度も行き違いを起こしているように見えるが、根元の部分では同じなので考えているうちに分かってしまう。そんな都合のいい相手になっている。相手が自分とは別の自我を持っていることを認めない幼児的な主体だ。でもそれがまさに幻想の中の理想の相手なのだ。読者一人一人が自分たちだけで行っている妄想を、作者が代わりに行って語ってくれる。その点は実に素晴らしく心地良い。

にしても今回の二人の行き違いは底浅すぎやしないだろうか。あー、でもこんなものなのかもしれないな。世の多くの男と女は結構くだらない会話やどうでもいい行き違いを多くしているものだろうし。

本シリーズは当然続巻が出るだろうし作者があとがきでもそのように語っているのだが、私はこの巻で終わりにしてしまっても良いのではないかと思った。話は全然途中になってしまうが、いくつかの点でいい区切りになっていると思う。良い意味で。

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