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エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー

バンダイナムコゲームス

傑作(30点)
2008年4月12日
ひっちぃ

ロシアをモデルにしたような国が経済で行き詰まり、資源のためにウクライナみたいな国などに攻め込んだ状況下で、プレイヤーはこのベルカ戦争の伝説の傭兵となり、自分のスタイルを貫いて戦場を渡り歩いていく。全世界で一千万本以上売り上げたという人気シリーズの中の、恐らく5作目のシステムを引き継いで新たなストーリーと趣向を追加して生まれた外伝的な作品がこれ。プレイステーション2の3D空戦ゲーム。

私は5作目もやっているので比較すると、ゲームエンジンみたいなものはほとんど変わっていないと思う。ただ、周辺部に色々と趣向が追加されている。

一番大きなことは、プレイスタイルに応じて三種類のエースを演じることができ、それによってまったく異なる敵のエース部隊が格好よく戦いを挑んでくるところだろうか。五作目にもオブニルとか敵の強力な部隊が戦いを挑んでくるステージがあったが、今回はそれをさらにフィーチャーしている。部隊章まで出てきてシビレる。これぞ作品名に違わぬまさにエースコンバットだろう。

三種類のプレイスタイルを決めるのは、こちらを攻撃してこないイエローターゲットと呼ばれるユニットをどれだけ攻撃するかしないかだ。とにかく殲滅しまくればマーセナリーに、極力攻撃しないようにしたらナイトに、どっちつかずならソルジャーになる(臨機応変ということになるが中途半端と言ったほうがいいんじゃないかと思う)。

私は結局殲滅しまくってマーセナリー側のルートに入った。と思ったらこのゲームにはルートとか特になくて、単に出てくる敵の部隊が変わるだけなのだそうだ。ストーリー自体は一本道だ。時々ステージによって参加する作戦を選べたり、条件分岐なんかもあるらしいのだが、ほぼ変わらないんじゃないだろうか。

僚機は前作の三機から一機に減っている。さすがに三機もいても処理が掛かるだけでプレイヤーが把握しきれないと判断したのだろう。一機だと寂しいけど、いるだけ心強いし、ちゃんと働いてくれているのが分かる。味方の機体を揃える楽しみはなくなって、相棒は機種固定になっているみたいだ。兵装だけ選べる。

相変わらずこのゲームは主に誘導ミサイルを使って敵を倒すことが内容のほとんどを占める。前作までに既にこのシステムは完成されており(それより前にある程度完成されていて単なるバランス調整しかやっていないのかもしれないが)、いかに敵の後ろについて、敵がかわしにくい角度と距離で誘導ミサイルを撃てるかがポイントとなっている。もちろん敵もミサイルを撃ってくるので、逆の要領で敵のミサイルをかわさなければならない。

誘導ミサイルだけでなく弾数無制限のバルカン砲や、空対地ミサイルや対艦ミサイル、強力な爆弾など色々ある。レーザーまであるみたいだ。

敵のエースを倒すと記録される。それをいつでも見れる。カタログみたいになって攻略度がすぐに分かるようになっている。特殊な条件でしか出現しないエースがいるので、埋めるのは大変だろう。でもかなりやりこみがいはありそうである。勲章も二十個ぐらいあり、私は四つしか取れなかった。たとえばステージのクリア条件に直接は関係しないものの味方の救援に成功すると勲章がもらえたりする。こういう趣向はとてもいいと思う。うまい人だけ挑戦して満足感が得られれば誰も損をしない。

私は一応一回クリアしたものの、すべての作戦やステージをやったわけではないので、その点知らないことがあるかもしれないが分かる範囲で書く。

前作はバルカン砲だけとか爆弾だけとかの特殊ステージがあったが、今回はそんなステージはなかった。本作は外伝的な作品なので、改めてゲームシステムを全部堪能させるような趣向は外したのかもしれない。形を変えて、たとえばバルカンで敵を何機以上倒すと段階的に勲章がもらえたりするので、各自で好きに楽しめばいいようになっている。

前作で私が非難した狭いトンネルのステージが、今回は最後から二番目の面にある。またかとうんざりした。しかし難易度はそれなりに下がっている。時間制限こそあるものの、後ろから追ってくる敵機はいないし、自分のペースで何回か突入して中の目標を攻撃するようになっている。時間制限があるのはまあしょうがないところか。しかし例によってステージは前半と後半に分かれており、後半のトンネルに行くまでに前半のステージも何度もやらなくてはならずうんざりした。結局私は十回ぐらい失敗した末にようやくクリアできた。実は攻略サイトを読んで、前半ステージをまったく敵のいないルートで切り抜けることが出来たから気力が持ったのだと思う。

背景となっている国際情勢や戦況の移り変わりにいまいちリアリティがない。ロシアみたいな国が資源のために簡単に大規模な戦争を仕掛けるだろうか。まあ現実のロシアは資源に関係する旧ソビエトを構成していた小国に軍隊を送り込んだことはあったけど、大規模な戦争になるようなシナリオは全く現実味がないと思う。思い切って現実のイラク戦争あたりをモデルにしたほうがよっぽど面白かったんじゃないだろうか。相変わらず演出はとてもいいのに、プロットと脚本にお粗末さを感じた。Pixyのあれも説明不足だろう。

今回は機体ごとの経験値みたいなものが撤廃されており、代わりにあるステージをクリアするとかの条件を満たすことで買える機種が増えていくようになっている。前作よりも機種が増えやすくなっていて嬉しい。途中で強力な機体が買えるとすごく嬉しい。機体の性能が上がるとステージをクリアしやすくなる。機体にはそれぞれ向き不向きもあり、乗り換える楽しみもある。

ちょっと昔話になるが、この手の空を飛ぶ3Dシューティングゲームって、結構敷居が高かったと思う。まず何より操作が難しい。現在の状況が把握しにくい。慎重に操作しないと敵や地面にぶつかる。狙って撃っても当たらない。などなど。それを考えると、本シリーズはよくここまで遊びやすく仕上がっていると感心する。些細なことかもしれないけど、ターゲットロケーターという攻撃目標の敵の位置を三角矢印で表示してくれる機能があることで、ずっと現状把握が楽になっていると思う。他にも細かい工夫がこのゲームを素晴らしくしている。

だが、もっと工夫しようと思えば出来ると思う。このシリーズはこのままの路線で微調整をしていけばいいと思うけど、もっと一般向けに易しくて楽しいゲームが作れるんじゃないかと思う。地面や壁にぶつかるストレスなく、誰にでも勧められるような空戦ゲームを作ってみてはどうだろうか。

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