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ゼルダの伝説 大地の汽笛

任天堂

傑作(30点)
2010年3月22日
ひっちぃ

機関士見習いのリンク少年は、ついに一人前の機関士として認められ、城で任命式が執り行われることになった。しかしその後、異変を感じたゼルダ姫が個人的にリンク少年を頼り調査をしたところ、これまで忠実に仕えてきたと思われた大臣がかつての魔王を復活させようとしていることが分かる。悪事を暴かれた大臣は、ゼルダ姫をさらって魔王復活の儀式を始める。リンク少年は親方から任された機関車を駆って、姫の救出と魔王復活阻止のため活躍する。任天堂の大人気アクションRPGシリーズのDS第二弾。

スクウェアエニックスの大作RPGファイナルファンタジーシリーズの最新作に続き、あまりに売れなくて店頭在庫がダブついて値段が下落した。定価五千円ほどのこのソフトが最終的に新品で1,980円にまで下がったことを私は確認した。ちなみに私は2,480円のときに買った。ネット上の知り合いと何か一緒に同じゲームを同時に始めようという話になって、じゃあとこの定番シリーズの本作を選んだ。

私は前作をやったことがないのでよく知らないのだけど、基本的に本作は前作とはあまり大きくゲームシステムは変わっていないらしい。すべてタッチペンを使って、移動したり剣を振ったり、本シリーズではおなじみの様々な道具を使ったりする。おっとタッチペンだけではなくなんとマイクも使う。息を吹いたのを読み取って、笛を吹いたりファンを回したりする。電車の中でやると恥ずかしい。イベントのごく一部に音声認識まである。電車の中でこのイベントに遭遇すると、それ以上進ませられなくなるので勘弁してほしい。

基本的な流れとして、神の塔と呼ばれる世界の中心にある塔に少しずつ登っていって世界各地の消えた線路を復活させつつ、その線路を通って各地の神殿に潜って石版を手に入れていくという、神の塔と神殿を互い違いに攻略していく展開になる。

大きな移動は機関車を使ってレールの上を進んでいく。線路上には敵の機関車も走っていて、衝突されると一発でゲームオーバーになるのでハラハラする。うまいことポイント切り替えを使って避けなければならない。チクタクバンバンという懐かしいゲームを思い出した。機関車に乗っているときに敵に襲われたら大砲を撃って撃退する。

目的地に到着するとリンク少年をタッチペンで操作して剣を振って敵を倒す。各地の神殿で新たに使える道具を得ていく。道具はどれも個性的で、うまく使わないと神殿の仕掛けを攻略できないようになっている。謎解きの難易度も絶妙で、毎度ながらよくできているなあと思った。

今回はゼルダ姫の存在感があってとても良かった。いつもだとさらわれた姫は冒険の途中には出てこないのだけど、本作では姫が体だけさらわれて精神は幽霊のような状態となって残り、リンク少年に随伴して手助けしてくれる。この姫がまたエキセントリックな性格をしていて笑わせてくれる。神の塔ではファントムという敵を後ろから切りつけると姫が体をのっとって操作できるようになる。タッチペンを使ってリンク少年とゼルダ姫ファントムを交互に操作し、パズルやアクション要素のある仕掛けを攻略したり、ボスと戦ったりする。ちょっとかったるいところもあるけれど面白い趣向だと思う。

とまあゲーム性については素晴らしい本作品が、どうしてここまで投売り状態になってしまったかについては、そもそも流通量が多すぎたとか、ゲーム自体の市場が縮小してきているからだとか言われたが、私が思うに面倒くさすぎたんじゃないかと思う。同じアクションRPGの傑作としてカプコンのモンスターハンターシリーズと比較すると、あっちに麻薬的なまでに同じことを繰り返すことに快感を覚えるプレイヤーが多かったことを思えば、タッチペンというどうしても操作感の悪い機器を使っているとイライラしてくるんじゃないかと思う。少なくとも私は何度もじれったく思った。敵をペンでつつくのは反応が良くて良いのだけど、主人公の周囲をぐるぐるとペンで描いて回転斬りするアクションが出るまでの間が微妙だったり、意図したように移動してくれなかったり。画面がスクロールしてしまうとポイントする位置までズレてしまうし。最初革新的だと思えたタッチペンによるアクションが徐々に問題ありに思えてならなくなってくる。

通信も微妙だった。ドラゴンクエストIVで大ヒットして社会現象にまでなった「すれちがい通信」を本作でも取り入れているのだけど、すれちがいによって他のプレイヤーと交換するアイテムの役割が、列車の車両との交換というコレクション的なものとしてしか特に用途がない上に、ゲームをクリアしてしまうとそのときの状態を保存しないのでクリア後の楽しみへとつながりにくい。二周目に引き継いでくれればまったり交換して遊べたのに、という書き込みが2ちゃんねるにあって私も同感だった。

ゲームとしての完成度は間違いなく高いし、内容も充実していて素晴らしい作品だと思う。でも、操作に快感を感じるかどうかという点で難があり、前作をプレイした人たちの中にもうこの趣向はいらないやと思う人が多く出てしまったのではないかと思った。

90年代に日本ファルコムから出たブランディッシュという完全マウス操作のアクションRPGを思い出した。これはよくできたゲームだった。

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