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T1

beyerdynamic (ベイヤーダイナミック)

まあまあ(10点)
2011年3月26日
ひっちぃ

ドイツの音響機器メーカーで1937年に世界で初めてダイナミック型ヘッドホンを作ったbeyerdynamicが、1テスラ(10,000ガウス)もの強力な磁力を使用して作り上げた高級ヘッドホン。開放型でインピーダンスが600Ωと高いのが特徴。

十万円以上する高級ヘッドホンの世界は、この市場を作ったULTRASONEのeditionシリーズ、sennheiserのHD800、そしてこのbeyerdynamicのT1が競合している。って全部ドイツのメーカーだな。他に日本のSTAXというメーカーが静電型ヘッドホンの高級なモデルを作っていたり、GRADOとかAUDEZ'Eなんていうメーカーもあって、それぞれにファンがいる。

私はいままでsennheiser HD650やAKG 701といったせいぜい三万円台ぐらいまでのヘッドホンしか買ってこなかった。ヘッドホンはスピーカーと違ってあまり場所を取らないので、色々音楽やその日の気分で付け替えて楽しめる。だから最初はこのくらいの価格帯の製品を気ままに買い揃えていこうと思っていた。しかしやはりどうせ買うならいいものを一つ持っていたほうがいいと思って、思い切ってこのT1を買った。

なぜT1を買ったかというと、高級ヘッドホンの中では一番廉価だったこと、あまり味付けがされておらずフラットな特性を持つこと、ポップスに向いていること、そして特売セールで99,800円と安くなっていたことが最終的な決め手となった。ちなみにサウンドハウスの特売で輸入品が一時期八万円台で売られていたこともあったという。私が買ったのはTEACが代理店になっているものなのでTEACの保証書が入っていた。

ほかに候補として、ULTRASONEはPRO900なら持っているけれど重低音と高音をやや強調したドンシャリ気味の味付けがされているメーカーという印象が抜けず、高級なeditionシリーズはその中でも比較的フラットらしいのだけどS-LOGICが搭載されているようにクセのあるメーカーなので避けた。sennheiserのHD800は音場で聴かせるマイルドな音づくりらしいので候補に入らなかった。STAXは繊細だけど音が前に出てこないのでポップスには向いていないらしい。GRADOは造りがおおらかだという評判なのでやめた。AUDEZ’Eは新興メーカーでまだまだユーザーが少ないので避けた。

長い前置きだったが、実際に家で聴いてみるとそれなりにいい音がして安心した。高級品一般に言えることだけど、一万円の製品は千円の製品の十倍の満足が得られるはずはなく、値段が高くなればなるほど値段分の価値はなくなっていく。既に数万円クラスの製品は三つ持っているので、それらと比べてどの程度良いのか、期待半分、不安半分だった。

手に取ったときに、金属の質感が頼もしく思った。私がこれまで持っていた数万クラスのヘッドホンはいずれもプラスチックの質感だったので、手に持ったときの感触がズシリとした。といってもそんなに重くはない。そして出てくる音も外見相応に堂々としていた。第一印象はスピーカーに近かった。ヘッドホンはなんというかヘッドホンっぽい音がするのだけど、このT1は私が常用しているスピーカーKripton KX-3Pとそれなりに近い音がした。高い音から低い音までバランス良く密度濃く出ていた。

このT1を買ったことにより、sennheiser HD650とAKG 701の出番が極端に減った。HD650の特徴である高い解像度はT1にもあるし、AKG 701の特徴である心地よく丸められた音の魅力はT1の基本性能の高さの前ではかすんでしまった。ただ、独特の味付けの濃いULTRASONE PRO900とは時々使い分けている。T1は良くも悪くもフラットなので、PRO900のあとでT1を聴くと少々物足りなく感じてしまう。逆にT1のあとでPRO900っを聴くと音の不自然さに戸惑う。

インピーダンスが600Ωもあるので、貧弱な再生機器を使うとボリュームが取りにくいと言われているが、体感的にそれほどでもなかった。能率が高めなのかもしれない。ポータブルプレイヤーやノートパソコンのヘッドホンジャックを使ってもそれなりに良い音で鳴ってくれた。2ちゃんねるのヘッドホン関連スレでよく言われるように、いいヘッドホンアンプを買うよりも、いいヘッドホンに買い換える方が音がよくなる可能性が高いというのは正しいと思う。

beyerdynamicはT1のほかにT5pという同価格帯の高級機も出している。ポータブル用途向けにインピーダンスが低く、音漏れしにくくて重低音に向いている密閉型になっている。ネットでの評判は賛否両論で、T1の方が明らかに優れているという声が優勢ではあるが、後発のT5pの購入者が増えるに従ってT5pの方が良いという声も増えてきている。さすがに十万もする同じ会社のヘッドホンを二つ買う人は限られているので、どちらが良いかをネットの評判で判断するのは難しいと思う。店で視聴する場合、周りの騒音の影響でどうしても密閉型のほうが音がよく聴こえてしまうものらしいので気をつけたほうがいい。

ヘッドホンに十万も使うなんてバカなんじゃないか、というのがまだまだ一般的な声だと思うが、音楽を聴くのが大好きな人は考えてみてもいいものだと思う。十万円の価値は人それぞれなので安易には勧められないが、こういうお金の使い道があるということを知らせたい。

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