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終物語(上)

西尾維新 (講談社 KODANSHA BOX)

傑作(30点)
2014年2月26日
ひっちぃ

自分に対して異様に敵愾心を燃やす同級生の少女・老倉育について、不思議な力を持った後輩に導かれるうちにその真実が分かっていく。人気小説シリーズの一篇。

ああまた忍野扇かとのっけからうんざりさせられるのだけど、今回は真実にあまり興味を持っていなさそうな主人公の阿良々木暦に代わってストーリーを引っ張っていく脇役なのでそんなに気にならない。慇懃無礼で色々と裏で糸を引いていることがほのめかされている黒目の大きい不思議な少女の力が今回も示されるのは、きっと次の話への壮大な伏線に過ぎなくて、今回は今回で独立した一つの話になっているのでとても楽しめた。

ちょっと今回はネタバレするとつまらなくなる比重が高いので紹介しづらい。段階的に謎解きがあって展開が面白かった。なぜクラスメイトの老倉育は主人公の阿良々木暦に対してあそこまで憎しみを持っているのかというのが、時を遡って解き明かされていく。

一番突っ込みたいのは、これ物語シリーズでやる必要あったの?っていうところ。物語シリーズに組み込めば売上が何割増しかになるからそうしたんじゃないかと疑いたくなる。忍野扇の力については取り立てて目新しい点はないように思うし、羽川翼が出てくるけれどこいつが出てくる必然性もないと思った。独立した一つの作品にしたほうが、新規の読者を開拓しやすいんじゃないかと思うのだけど、素人判断なのかなあ。テレビドラマ化とか狙えばいいのに。それとも普通の人からすればまだ話がマニアックすぎるのかな。

この作品の一番の魅力は、ヒロイン(?)の老倉育がイタかわいいこと。すごくイタい。そこがあわれで、だからかわいい。まあかわいいとまで思える人は少ないかもしれないけれど、普通嫌いだったら無視するものなので、あそこまで突っかかって来るのは逆に何かの裏返しであり、そういった感情の激しさがとても魅力的だった。やっぱりどんな方向であれ強い意志を持ち感情を表にあらわすような人物にはなにかしらの魅力があると思う。方向が意味不明だったらシラケるけれど。

ちょっと設定的に安直な感じがしなくもないのだけど、老倉育が当時抱いた感情やそれ以降の思考はとても自然でリアルな感じがしたので物語に深く入っていけた。

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