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革命機ヴァルヴレイヴ

SUNRISE, 他

まあまあ(10点)
2014年3月29日
ひっちぃ

軍事国家ドルシアが突如中立の小国ジオールの宇宙都市「モジュール77」に侵攻したが、その中で孤立した咲森学園の若者たちはそこにあった謎のロボットに搭乗して大人抜きで自分たちだけで戦う。その裏には、人ならざる存在の意志があった。機動戦士ガンダムシリーズなどで有名なサンライズの新しいロボットアニメ。

2013年の夏からテレビで放映していたのを見た。3話ぐらい見てもあんまり引き込まれなかったものの、それなりには面白かったので録画してあとで見ようと思い、最近になってようやく見終わった。

結論から言うとまあまあ面白かった。

主人公が在籍している学園が孤立して学生たちだけで戦っていかなければならない、というシチュエーションは自分の好みなのだけどさすがに食べ飽きて少しうんざりした。それにこれガンダムの黄金パターンとまったく同じだ。

主人公の時縞ハルトは、幼馴染の指南ショーコに片思いをしていて、彼女に思いを告げようかどうか悩んでいる。ついに決心がついたと思ったらヘタレてしまい、そうこうしているうちに襲撃があってロボットに乗って戦うのだけど、その過程で自分の体がおかしくなって普通の人間ではなくなってしまい、そんな自分では彼女をどうこうできないのではないかと悩んでそのことを隠してしまう。そして指南ショーコのほうも実は時縞ハルトのことが好きなのだけど踏み出せない。という恋愛ものとしての要素がある。でもあまりこの要素は掘り下げられないのだった。性格のキツいアイドルの少女が出てきて主人公に絡んでくるのだけど、露骨な踏み込みをせずにツンなまま素直にデレないので上級者向けな感じ。

ロボットものとしては、この作品の主な特徴としてロボットが謎のエネルギーで動いているところと、動かすと熱がたまっていってオーバーヒートしてしまうところが変わっている。主人公たちが乗るロボットは複数あって、作品名にある「ヴァルヴレイヴ」という名前がつけられていて、結構強くて敵を蹴散らすのだけど万能ではないので弱点を突かれてたびたびピンチに陥る。自分はもうロボットが強いだの弱いだの戦ったりするだのにはあんまり興味がないので大して惹かれなかった。あと今回あんまりパイロットの腕がどうこうというのがなかったのを含めて、戦争ものとしての魅力に乏しいように思った。

主人公時縞ハルトを抑えて事実上この作品のヒーローになっているのが、敵国ドルシアの特殊部隊員エルエルフという銀髪のイケメン。こいつは一人で一旅団分の戦闘力があると恐れられているエリートで、最初主人公たちの前に立ちふさがって圧倒的な力でねじ伏せてくるのだけど、アクシデントにより寝返ったと思われて仕方なく主人公たちの味方をするようになる。高い分析能力はまるで予知能力でもあるかのようであり、一度捕まって丸腰で拘束された状態から高い頭脳と身体能力により脱出して暴れまくる。そんな彼にも気がかりなことがあって、幼い日に出会った少女を助けたいという思いに突き動かされていたのだった。

この作品の核は、みんなを守りたい主人公時縞ハルトと、幼い日に出会った少女を助けたいエルエルフとが、秘密を共有して事態を打開していくところなのだけど、正直これはそんなに面白くなかった。エルエルフのやり方は合理的すぎて最初ハルトはついていけなくて葛藤するけれど折り合いをつけるだとか、子供たちだけでなんとかやっていくための方法を模索するだとか、そういった人間ドラマ的な筋が全然盛り上がらない。でその割に、引きこもりの少女の物語とか、記憶を失っていた少女の物語といった、不自然にドラマチックな話が急に展開されて話を盛り上げようとするのだけど、ただただ悲劇性が描かれるだけの底の浅い話に終始していて引き込まれなかった。ヒロインの指南ショーコがリーダーシップを執る話も、序盤と終盤の悲劇が薄っぺらくて、そうなるとキャラクターにも魅力を感じられなくなってしまう。エピソードがキャラクターを豊かにしてそれが次のエピソードを盛り上げるといった長編作品のスパイラルがほとんど成立していないと思う。唯一、引きこもりの少女についてはどういう偶然かその歯車が不思議と噛み合って、この淡泊な作品の中で妙に浮き上がって多少の魅力を放っているのがその証拠だと思う。

この作品のテーマは、次回予告のときに出てくるキャッチコピーどおり、世の中をあばくだとか、秘密にせずに気持ちを打ち明けようよ!といったものだと思うのだけど、ちょこちょこ出てくるだけでそれほど重要なこととして描かれていない。主人公時縞ハルトや指南ショーコが互いに大事なことを相手に言わなかったことを後悔したり、横恋慕ちゃんが想いを秘めたりするのだけど、最終的に気持ちよくスッキリするような展開にならず、唯一あばかれたのが国家の裏側とか人ならざる存在についてだけで、しかもその超展開ぶりに視聴者が置いていかれてしまうんじゃないかと思うほどだった。人ならざる存在の描写は、SFとしては面白いのだけど、本当にそれだけって感じ。まあでも二十年後ぐらいにまたネットで思い出話として少し盛り上がったりしそうではある。

ソーシャルメディアがたびたび描かれていて、いまの時代を取り入れていると言いたいところだけど、結局実際にSNS上で起きた様々な社会問題はまったくといっていいほど取り入れられていない。なんでかなあ。SNSを使ったスパイ(秘密漏えい)とかクーデター(政治運動)とか色々簡単に考え出せたと思うんだけど…。このアニメ作っている人たちは、最近のニュースとか見てないんだろうか。最後の超展開だって旧来通りのマスメディアが使われていたし。

となんだかボロクソになってしまったけれど、それ以外の基本的な部分の完成度は素晴らしく、これまでの蓄積が随所に活かされているように思った。キャラクターデザインやメカニカルデザインは素晴らしかったし、演技や演出も良かった。一番良かったのは水樹奈々とT.M.Revolutionが歌うオープニングとアニメーションだった。結局一度も飛ばさず毎回見た。浅倉大介まだ曲書いているんだなあ。随分長く活動しているけれど、まだまだ全然現役というか、以前にも増して輝いていて驚いた。

話がそんなに面白くないのであんまり勧められないけれど、物語以外の部分を楽しめる自信があれば見てみてもいいと思う。

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