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ニセコイ 11巻まで

古味直志 (集英社 ジャンプ・コミックス)

傑作(30点)
2014年8月1日
ひっちぃ

やくざの親分を父親に持つ普通の高校生男子・一条楽は、和菓子屋の娘である小野寺小咲のことがずっと好きだった。しかしある日、町にマフィアの一家が進出してきて一触即発になる。二大勢力の抗争を防ぐため、一条楽はマフィア一家のハーフの金髪娘・桐崎千棘とニセモノの恋人関係として振る舞わざるをえなくなる。少年マンガ。

2014年1月からアニメ化されたのを見て、ベタな設定で最初は期待していなかったのに予想以上に面白かったので原作にも手を出してみた。2ちゃんねるのネット実況板ではアニメ化の出来が良すぎたという評価が目立ったけれど、原作を読んでみたら原作もよかった。

題から推測できるとおり、この二人の関係はニセモノという建前で、互いにイヤイヤながら恋人のフリをしてちょっとドキッする展開が繰り広げられつつ、実はこの二人の関係はホンモノなんじゃないか?っていうほのめかしが要所要所で物語を引き締めてくる。

桐崎千棘はなんだかんだで流行っているハーフの金髪碧眼の娘なのだけど、暴力的で主人公の一条楽のことを「もやし」と呼ぶほどの力強いキャラ。でも暗いところが苦手だったり、友達や恋愛に疎くて脆いところを見せたりする。自分はこの手のキャラが大好きなのだけど、こいつには特に思い入れを持つにいたらなかった。やっぱりちょっと性格が不自然だからだと思う。でも、一条楽との対話がつっけんどんなとことか、その一方で弱いところも見せるところとか個々の側面は普通に魅力的だと思った。

一条楽は女の子に対して奥手な男子で、おとなしめの女の子である小野寺小咲に好意をぶつけたいのだけどぶつけられない。なんかかわいい。一方で小野寺小咲のほうも実は一条楽のことが好きなのだけど、やっぱり打ち明けられない。こいつら二人が互いにもじもじしてる。いい。でもって二人にはそれぞれ背中を押す役の男子と女子が一人ずついる。ちょっとうざいけど面白い。男子のほうは軽薄な非モテキャラなのだけど、こいつの真剣な恋のエピソードもあっていい感じ。女子のほうはるりちゃんっていうメガネの女の子なんだけど、小野寺小咲に対する突っ込みが激しいのがウケる。小野寺小咲がたじたじするところがまたかわいい。

この三人+αでいくのかと思いきや、ヒロイン追加投入が+2くる。男装少女と腹黒女。男装少女のほうは外見に反して男に弱く、腹黒女のほうは表面的な計算高さの中に時々真摯な想いが見え隠れする。この二人は正直要らないと思うんだけど、存在することで確実にプラスにはなっていると思うし、このキャラたちのことを好きなファンも一定層いそう。

小野寺小咲には外見そっくりで性格反対というおいしい妹キャラがいる。こいつが初めて出てきたとき、今後こいつが絡んだ面白い話がちょこちょこ出てきてこの作品がどんどん面白くなるんだろうなとすごく期待していたのだけど、三割程度しか実現しなくてちょっとガッカリした。ここもっと掘れるでしょ!

一条楽は妙な鍵穴のついた大きなペンダントを持っていて、こいつの錠を開けられる鍵を持っている女の子が運命の女の子である、という本当にしょうもなくてどうでもいい設定がある。巻が進んでもこの設定をいつまでも引っ張っている。鍵なんてどうでもいいや、と思っても一応気になってしまう一条くん。

全体を通じてすごくベタな作品なのだけど、登場人物たちの気持ちがせまってくる。相手にどう思われてしまうだろうかといちいち気にしたり、自分のことを恥ずかしく思ったりする感情がページの中にあふれていて、その熱い気持ちにあてられてしまう。

ギャグも結構面白かったりする。特に、ヒロインズが全員しでかしてダッシュするシーンなんかびっくりした。やくざやマフィアの絡んだベタギャグはほとんどない。

思春期の恋愛モノが好きな人ならまあ大なり小なり楽しめる作品だと思う。極端な設定とか嫌いじゃなければ。

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