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続・終物語

西尾維新 (講談社 講談社BOX)

まあまあ(10点)
2014年11月8日
ひっちぃ

自分との折り合いをつけ、青春の決着をつけたつもりの高校三年生の阿良々木暦だったが、朝起きて顔を洗っているうちに異世界に迷いこんでしまうのであった。心の迷いが「怪異」へと具現化する少年少女たちの物語の終わりの続き。

この巻の趣向は、これまでの登場人物の裏の側面を異世界ということにして描いているところ。たとえば、阿良々木暦の上の妹で格闘技少女の火憐はこの異世界では背が低くなっていて、きっと体の大きいことを引け目に感じているんだろうと主人公が想像している。また、主人公に敵意むき出しだった少女・老倉育が、無邪気な女子高生として主人公の家に同居していたり。ただ、そういう設定の妙だけがあって、そこから何か話が展開するわけでもないのが残念。なんだか裏設定集を小説の形で出したようなそんな感じ。ファンが自分の好きな作品から二次創作するノリに近いものがある。

元の世界に戻る方法を探るのが話の筋になっている。だからどうなるのか先の展開に期待して読み進むのだけど、なんだか拍子抜けの結末らしきものが待っていて終わる。

この巻のヒロイン(?)は斧乃木余接なのかな。異世界に迷い込んで右往左往する主人公のガイドになってくれる。相変わらずの調子で。あと大人の八九寺が再登場する。包容力のない大人のキャラがちょっと面白かった。それとキャラが全然違う撫子もといクチナワさん。本編のクチナワさんは撫子の別人格というか別の側面が具現化した存在なので、異世界ではこっちが主になってる。この神さまズが主人公の味方なのだけど大して役に立たず。

さすがにこの巻を読むのは本編のファンだけだろうってことがあってか、これまでこのシリーズを愛読してきたファンが想像力を膨らませて楽しむような感じになっていて、正直作者の手抜き感がしてしまう。せっかく異世界を舞台にしたのだから、本編ではできないような思い切ったことをもっとさせたほうが良かったんじゃないかと思う。それに登場人物が少なすぎる。たったいま自分が超安易に考えたアイデアだけど、しおらしい戦場ヶ原ひたぎとか、下ネタに顔を赤らめる神原駿河とか、いくらでも出せたんじゃないだろうか。そしてもう本編が終わっちゃったから無理だけど、異世界から戻ってから彼女たちの裏の側面を突っつくような二度おいしい展開もできたんじゃないかと思う。

と文句をたらたら書いてしまったけれど、読んでいるときは普通に楽しんで読めた。最近、井上堅二「バカとテストと召喚獣」の最終巻を読み終えたのだけど、いままで楽しく読めていたのに読み進むのさえ面倒だった。いまは庵田定夏「ココロコネクト」シリーズの本編最終巻を読んでいるところなんだけど、これまた最初の方の巻はすごく面白かったのに今じゃちょっと苦痛にすら感じている。それを思うと、最終巻のそのまた続きを読んで一応楽しめているっていうのは喜ばしいことなのかなと低きに流れてしまいそう。

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