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お前ら全員めんどくさい! 5巻まで

TOBI (フレックスコミックス株式会社 メテオCOMICS)

傑作(30点)
2016年11月28日
ひっちぃ

国語教師の國立国彦は、これといった特徴のない平凡な教師のつもりだったが、孤独な女生徒・一宮和美が持ってきたゲーム機を没収したことがきっかけとなり、彼女から友達になってくれと言われてなつかれる。彼女を皮切りに、クラスの委員長の女の子やちょっとませた女の子なんかからも好かれてハーレム状態になる。少年マンガ。

この作品はアニメ化されていないのだけど、同じ出版社の別の作品がアニメ化されたときに一時期やたらとこの作品のテレビコマーシャルが流れていて、ちょっと気になっていたので読んでみた。面白かった。

一宮和美は、おさげ髪になぜかいつも白衣を着ている女の子で、クラスの中では孤立していた。平坂読「僕は友達が少ない」に出てくる志熊理科とすごく似ていると思う。国語準備室にいる国彦先生のところに入り浸るようになる。不器用な彼女がたどたどしく国彦先生に好意をぶつけていくところがとてもかわいい。

それに対して国彦先生は、教師が生徒を好きになってはいけないし、なにより彼女のためにならないからと頑なに拒否する。彼女が自分になつくのは彼女に友達がいないからだとして、クラスメイトのウェーブの女の子・栗原理穂と仲良くなるように仕向けるのだけど、なかなかうまくいかない。それどころか、その栗原理穂は色んな男性教師に必要以上に近付いていくビッチな女の子で、国彦先生にも興味を持って接近してくる。国彦先生は彼女のませた行動に翻弄される。

そんな状況を見かねたクラス委員長でロンゲの女の子・榎本英子は、自分が一宮和美の友達になると言い出す。やっと自分の味方が現れたと思った国彦先生だったが、実は榎本英子こそ最初から国彦先生のことが大好きで機会をうかがっていた女の子だった。

とまあこんな感じでベタな展開が続いていくのだけど、かわいくて完成度のそれなりに高い絵とストーリーでサクサク読み終わってしまった。悪く言えばそれほど突き抜けたところのない作品だとは思うけれど、メジャー誌に連載されてなきゃおかしいレベルの作品だと思うし、売れていない(と思う)のが不思議なくらい。あれだけコマーシャル打ってたのに、Wikipediaにページがなかったのでびっくりした。いまから考えると、コマーシャルに使った絵がいまいちだったと思う。たとえば1巻表紙の絵は、一度作品を読んだあとだといい一枚だと思うのだけど、これから読む本を選ぶ人にとってはちょっとクセを感じさせてあんまりプラスになっていないと思う。中の絵は安定しているのに。そのあたりに新興出版社の残念なところが出てしまったのだとしたら惜しい。

絵に描いたような女の子っぽいクラス委員長の榎本英子が実家の影響で柔道をやっているのがかわいい。柔道着を着たり素足をさらしていたりするところに萌えた。彼女にはシスコンの姉である榎本史織がいて、過剰に世話を焼いてきて英子を翻弄する。英子が赤面して感情を爆発させるところがすごくよかった。

姉の史織のほうは、妹の英子のことがとにかく大好きなので国彦先生なんて眼中にないかと思いきや、英子のために国彦先生を罵る一方でちょっとだけ国彦先生に気を持ってしまう。ハーレム内の女生徒たちは国彦先生について温度差があって、想いの形がそれぞれ違うのがすごくいい。ベタ惚れの和美と英子とを比べてみても、和美は先生なしには生きていけないという感じなのに対して、英子のほうは自律していてむしろ自分を律し過ぎているから踏み出せないみたいなところがグッとくる。

ボッチ少女の一宮和美は、ライバルの出現に慌てふためいて、負けていられないとより積極的な行動を取っていくのだけど、一方で次第にライバルの少女たちとなんだかんだで仲良くなっていくところがとても微笑ましかった。そういえば谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の黒木智子も最近はそんな感じなのだけど、あんまり友達付き合いしてこなかった女の子が色々ありながらうまくやっていくところがよかった。

一方で国彦先生は同僚の巨乳教師・小雪先生のことが気になっていて、非合法にならない唯一のヒロインに対して堂々と好意を持つのだけど、この先生の扱いがなんとも微妙で宙に浮いていると思う。小雪先生は国彦先生のことをなんとも思っていないかちょっとだけ意識はしている程度なので、彼女のほうから国彦先生に対して何かすることはない。また、国彦先生は彼女に対して好意をぶつけはするのだけど、まるっきり脈がなさそうだと思っているのか、ちょっと跳ね返されるとすぐに手を引っ込めてしまう。女生徒との対比に使う舞台装置的な配役なのかと思いきや、小雪先生は胸が大きいことを除くと地味系の女性なので、国彦ハーレムに加わってきそうな感じもする。でもこいつが加わったら倫理的にこいつ一択になってしまうので話が破綻しそう。素直に男が憧れる理想の女性にしておけばいいのに、あえて地味女にしたのであれば、男の理想をぶち壊すお笑い担当だったら良かったのにと思った。

女生徒はみんなかわいくて自分はとても楽しめたのだけど、もうひと押しあればもっと好きになれたような気もする。毎話毎話女生徒たちが感情を爆発させて盛り上がるのはすごくいいのだけど、盛り上がったあとで次の回になると割と平常進行なので、ちょっと気持ちが放り出されてしまう。話の構造がベタな分、もうちょっと描写が繊細であって欲しかった。具体的に言うと、女生徒たちが自分の意志でクールダウンする場面がもっと欲しかった。

一枚の絵としてもマンガとしてもかわいくてすごく読みやすいので、ちょっとでも興味を持っている人は読んで損はないと思う。珠玉の一作を求めている人でない限り、なにかしら満足できる作品だと思う。

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