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響け!ユーフォニアム アニメ版 第1〜2期

原作:武田綾乃 制作:京都アニメーション他

まあまあ(10点)
2017年3月20日
ひっちぃ

小中学校でユーフォニアムという管楽器をやっていて、なんとなく流れで高校でも吹奏楽部に入った黄前久美子だったが、遊びか本気かで分かれる部員たちや、先輩後輩の間でのレギュラー争いの軋轢に翻弄される中で、自分の道を見つけていく。

自分は地上波で放映されるアニメは一応一通り一話目だけは必ずチェックしてて、その中で面白そうなものだけ継続して視聴しているのだけど、この作品はなんとか完走した。見終わってみればそれほど面白かったわけではなかったので、これから録画番組を消そうと思っているのだけど、ちょっと引っかかっているところがあるので感想を書いておくことにした。

吹奏楽部(ブラスバンド部)というのは文化部でありながら体育会系の精神でやっている特殊な部活らしい。肺活量の訓練のために筋トレ(筋肉トレーニング)をやるらしいし、先輩と後輩の関係は絶対かどうかは知らないけれど大きいみたいだ。団体競技なので一人のミスが響くし、全員で力を合わせなければならない。そういう縦社会みたいなの、自分は大嫌いなのだけど、会社組織に属して働いている以上そういうのは避けて通れないし、何か一つのことをみんなで成し遂げるにはこういう仕組みがやっぱり強い。リーダーシップや従属というのも重要で、バカバカしいと思う気持ちがありつつも何かしらの敬意も持っているという、ちょっとこじらせた気持ちを持っている。

という自分の事情はひとまず置いておいてストーリーを解説すると、本気で音楽やりたい人と、演奏を楽しみたい人とで、吹奏楽部が真っ二つに割れた状態で始まる。こういうの、よくある。ヒロインの黄前久美子は最初どっちでもいいと思っていたのだけど、志の高い高坂麗奈が他の部員や先輩と衝突しながら孤高を貫いている姿を見て(?)、自分もうまくなりたいと思うようになる。

一方で、高校から楽器を始めたクラスメイトの加藤葉月は、人数調整のためにチューバに回され、コントラバス担当の川島輝緑(さふぁいあ)とユーフォニアム担当のヒロイン黄前久美子とで低音パート同士になってつるむ。川島は本名の読みが「さふぁいあ」というキラキラネームなのでみんなに自分のことを「みどり」と呼べと言い張るお笑いキャラなのだけど、強豪校出身で楽器はうまい。ヒロインたちが低音楽器をやってるのがウケる。吹奏楽の華はトランペットとかサックスなのに、光の当たらない低音楽器に集まってるとこが面白い。地味なフレーズばっかなとことか。自分は低音楽器が大好きなのでちょっと嬉しかった。

アニメ制作の京都アニメーションには、音楽モノの大ヒット作「けいおん!」があって、ふわふわと音楽やってる女子高生五人組が描かれたのだけど、この「響け!ユーフォニアム」では真剣に音楽をやる女子高生(男子もいるけど)が描かれていて、方向性がまったく違うのがちょっと面白い。見ていてピリピリするぐらい本気の吹奏楽部が描かれていて、滝先生の厳しい指導と、それを素直に聞く生徒たちの受け答え、自主的に練習に励む姿、時に衝突する部員たちといった空気感がすごかった。まあだからこそ、見ていてあまり気持ちよくはないというか、居心地が悪いというか、いやな感じもあった。今回の作品が全然ヒットしなかったのも(多分)、万人受けしない方向性のせいなんじゃないかと思う。ブラック部活が非難されたり、教え方も厳しく指示するのではなくコーチングなんていう寄り添うような指導が浸透してきているみたいだから、ガチなクラブ活動は一部の強豪校だけで、視聴者があまり共感できなかったのかもしれない。

ただ、一方で売れなかった理由は別のところにもあるんじゃないだろうか。90年代の大ヒットアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」では、主人公の少年碇シンジがひたすら説教されまくって売れた。説教が最近の若者には目新しいんじゃないか、みたいなことを言っていた評論家もいた。あれとこれとでは一体どう違うのだろう。

最近の京都アニメーションの作品は話が面白くないんだよなあ。

ヒロインの黄前久美子はなぜ高坂麗奈に惹かれたんだろう。尖っていて部の和を乱す彼女のどこが良かったんだろう。彼女の本気の理由に触れたからだろうか?彼女に対する失言を詫びて仲直りしたかったから?でもそれだけってことはないと思う。久美子はそもそも本気で音楽をやっていたわけではなく、当初は高校で吹奏楽をやる気はなかったというし、小さい頃に姉の影響で始めたことだった。それに人間関係に熱いわけでもなく、流されやすい性格と言ってよかった。

このあたりの彼女の意志が不可解だったから、久美子が音楽に本気になっていったり麗奈を好きになっていったりするところに全然入っていけなかった。吹奏楽部全体が全国を目指そうとするようになるところも含めて、人が本気になるにはもっと不純な(?)何かがあるように思う。踏み込んで言っちゃうと、洗脳的なものとか、意地の張り合いとか。まあ滝先生はちょっとマインドコントロールっぽいところもあったけど。このままじゃいけない、みたいな静かな熱意を湛えていたということなのだろうか。

田中あすかがムカつく。攻撃的で冷たいけどお茶目という調子のいいキャラで腹立つ。体育会系の部活には、後輩をいじめておどけるいやらしい先輩がよくいて、多分運動部にいた人は何かしら洗礼を受けていると思う。さすがに田中あすかは後輩をいじめてはいないけれど、部のためにならない人間のことは突き放す。そこまではいいのだけど、ふざけておどけるところが苛立たしい。また、散々前に出てみんなを引っ張っていくくせに、部長にはならないと言って副部長に収まった上に、節目節目で部長を差し置いて自分が演説をぶつ。いやーいるわこういう人。リアルすぎるから余計に腹が立つのかも。部を辞める辞める詐欺をしたあげく、非常に嫌味ったらしい理由で戻ってくるところがさらにムカつく。まあでもちゃんと理由があって、不幸な境遇のもとで育ったからこそこうなったのだということが最後に語られる。

ほかにも滝先生の過去とか、ヒロインの姉の迷走とか、プロットだけ読めば面白そうなのに、なぜこんなに登場人物に思い入れることが出来ないんだろう。

オーボエの鎧塚みぞれと傘木希美のエピソードなんて、希美の行動がウザすぎてしょうがなかったのだけど、Wikipediaを見ていたら疑問が解決した。この作品、原作をゆっくり消化しているらしい。こういうところを不必要にネチネチやってるからダメなんじゃないだろうか。この話だけで四話も使うか?話が面白くないのも、そもそも視聴時間の割に話が進んでいないことが大きいのかもしれない。京アニだから多分作画をケチったわけじゃなくて、意図的にやっているんだろうけど、あるいは描写を濃くすべきところを取り違えているってのもあると思う。

ヒロインと姉とのエピソードも、これまたあらすじだけ読めばいい話っぽいのになあ。弟や妹ってのは、兄や姉から自立する時ってのがあると思う。自分は兄だったから弟の心情を正確には分からないけれど、なにかと兄姉のマネばかりするのを脱して、乗り越えようとしたり、別の道を歩もうとしたりする。一方で自分の先を行く鏡のようなものだったから、兄姉が方向転換しようとすると、それをマネしていた自分の存在基盤も揺らぐので反発してしまう。

久美子と麻美子は一体どんな姉妹だったのだろう。久美子は本当は姉のやっていたトロンボーンを吹きたかったらしく、それでか高校の吹奏楽部ではトロンボーンを選ぼうとする。この点からすると、久美子にとって姉の存在はまだ大きかったのだろう。吹奏楽をやめた姉に反発するシーンもあった。そんなこんなで姉と色々あってからのエンディングで盛り上がるところなのだけど、さっぱり感動できなかった。うーん。

つまるところ自分は、久美子のキャラが理解できなかったからこの話を楽しめなかったのだと思う。久美子って周りに流されているくせに、妙なところで意固地になる。なんで?久美子にとって何が一番大事なの?人との関係?その場その場で取り繕うことしか考えていないような気がしてならなかった。田中あすかが最後に指摘しているように(!)。まあ人間なんてのはそういうものなのかもしれないけど。

あるいは逆に、久美子のことを好きになれたら、周りに流されて戸惑ったり必死で行動しているところがかわいく思え、ストーリーも楽しめたのだろうか。

そんなわけで、そのへんのところをうまく読み取るなり補完するなりすることが出来れば楽しめると思うのだけど、多くの人に勧められるような作品ではないと思う。

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