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DZX-1+8

NiceHCK Audio Store

まあまあ(10点)
2017年8月26日
ひっちぃ

中国の巨大通販サイトAliExpress(アリババが運営)で営業しているNiceHCK Audio Storeが独自に開発・販売している高級イヤホンのうち、DZXシリーズのDD(ダイナミックドライバ)1つにBA(バランスドアーマチュアドライバ)8つで構成される製品。これだけのドライバ(音を出す部分)を搭載したイヤホンとしては相場の半額以下で買えることで一部のオーディオマニアから注目されている。

DZX-1+8
カラーリングは赤いラメでオーダー

製造業が著しく発展してきている中国では、組み立てだけでなく設計・製造の力もつけてきており、オーディオの世界でもOPPOやFiioやHifiManといったメーカーが安さだけでなく性能でも世界で高い評価を得ている。そんな中で、中国製の二千円ぐらいのイヤホンが日本メーカー製の一万円以上するイヤホンと同じぐらい音がいいという評判がネット上に広がっており、自分も中国製のイヤホンの情報を仕入れようと巨大掲示板2ちゃんねるの中華スレを見ていたら、ちょうどこのNiceHCKというストア(メーカーと共同開発しているらしい)がこのモデルを含めて3種類の製品のセールを突発的にやっていたので衝動買いした。379ドルつまり四万二千円ぐらいだった。ほかにDZX-1+6という一つ低いグレードもあったので、最初はお試しで安いやつにしようかとも思ったのだけど、思ったほど価格差はなかったし高い方を買っておかないとあとあと後悔しそうな気がしたので上位モデルのDZX-1+8のほうにした。DZ9というちょっと違う系列のものもあってそっちのほうがちょっと高かったけれど、こっちも同じく1DD+8BAと同じ構成みたいで単純に最上位モデルというわけでもないみたいだった。DZX-1+8のほうが分かりやすい音が出ると言っている人がいたので自分はこっちにした。

まず買うのがちょっと大変だった。セールの適用を受けるにはまずカートに入れてからセール用のキーワードを入れてしばらく待つ必要があった。そうすると、ストアの担当者が定期的に見回って、カートに入っている製品とキーワードを照合して製品の価格を変える操作をする。最初この段取りを知らなくて、何度やっても通常価格にしかならなくて、何か自分のやりかたがまずいのかとばかり思っていた。2ちゃんねるの中華イヤホンスレのテンプレにもやりかたが書いてあるほか、親切な住人が教えてくれたので助かった。

そのあとも面白くて、カートに入れたらそこにストアの担当者との専用掲示板みたいなものができて、製品の細かいオーダーをすることができる。色というか柄を十数種類の中から選べたり、端子を2pinとMMCXのどちらにするかを、なんと担当者に直接伝える。相手は中国人だけど、コミュニケーションは英語で行う。といってもそんなに難しくはなくて、色や柄を選ぶときはぶっきらぼうにNo.2とか書けばいいだけ。ただ、オーダーメイドだけあって製造に時間が掛かるらしく、デフォルトでは10日間になっている待ち時間を30日間に延長してくれと英語で言ってくるので、延長ボタンを押して延長してやる必要がある。注文後も、いまどうなっているのかとか、製品の詳しい仕様とかを直接担当者に聞くことができる。

で、届いたのは注文してから約一か月半後だった。製造に5週間ちょっと、配送に10日間ぐらい掛かった。セールなので一度に多くの注文を受けて時間が掛かったのだと思う。配送は国際郵便だからやっぱりそれなりに掛かった。深センから送られた荷物は、川崎の税関を通って日本では最終的に日本郵便が配達してくれた。

前置きが長くなったのでようやく肝心の音についての話に移るのだけど、一か月近く聴き続けてようやく分かってきた一方でまだよく分かっていないところもあるので順に説明したい。

まず、開封して最初に音出しをしたときは、まあ最初はこんなものかと思った。この製品、200時間以上音を出さないと本来の音にならないらしい。というのを製品のページだけでなくネットの評判でも読んでいたので、まあこれは想定内のことなのだけど、ここからネットの評判どおりすごい音になるのか正直半信半疑だった。

で途中経過を省略して結論を言うと、最初の不安は解消し、ちゃんといい音で鳴っている。特に高域の量感が素晴らしい。だけど、ネット上で見かけた評判ほどすごい音ではなかった。というのも自分はすでに高いイヤホンを持っていて、イヤホンのいい音というのを既に知っていたからというのもあると思う。

このイヤホン、ドライバ数が多いので、駆動するのにパワーが要る。自分の手持ちでは、Fiio X5 2ndやPioneer XDP-30R(アンバランス)では力不足で、Chord Mojoでようやくちゃんと鳴ってくれる。スマホとかじゃなく専用のデジタルオーディオプレイヤーの五万円ぐらいするクラスで鳴らしきれないイヤホンっていうのもすごいと思う(ヘッドホンならともかく)。鳴らしきれないとどうなるのかというと、高域がシャリついて耳障りになる。おとなしめのアコースティックな曲ならまだいいのだけど、音数の多いポップスだと聞き苦しくてしょうがない。ストリングスの高いのとかハイトーンボーカルが特にダメだった。ポータブルヘッドホンアンプまたはそれと同じぐらいパワーのあるデジタルオーディオプレイヤーが必要だと思う。

音は割とフラットで整っていると思う。新興メーカー製だからとにかく面白い音が出ればいいやと思っていたので、予想外に音が整っていたのでびっくりした。出音の特徴としては、高域が雑ながらもよく出ていて存在感があること。ただ、ノイズ成分が多く出ている感じがして、ちょっと聴き疲れする。中低域は自然にしっかり出ていると思う。

ボディが思っていたよりコンパクトだった。いわゆるシュア掛けつまりケーブルを耳に引っかけて支える必要がないぐらい軽くて小さい。

ハードケースが最初から割れていた。

付属品
ハードケースやイヤーピースがついているが、ハードケースは割れていた。

ただ、今回初めてハイブリッド型(ダイナミックとバランスドアーマチュアとの)の高級機を聴いてみて、あまり利点を感じられなかった。自分は1DDのSennheiser IE800と8BAのJH Audio Angieを聴いてきているのだけど、今回1DD+8BAのDZX-1+8を聴いてみてどちらにも劣っていると感じた。1DDのIE800は高域がやや歪むけれどシンプルで力強く鳴ってくれるし、8BAだけのAngieは低域の量感に欠けるけれど圧倒的に整った高域を聴かせてくれる。1DD+8BAのDZX-1+8は、DDの量感とマルチBAによるフラットな帯域分担については申し分ないのだけど、DD一発じゃないのでIE800ほどの一体感はないし、Angieほど高域をきめ細かく表現してはくれなかった。

値段がそもそも違うので単純な比較は出来ないのだけど、国際的な有名ブランドであるドイツのゼンハイザーのIE800を五万五千円で手に入れられたのと比べると、どんな音がするかも分からない怪しい中国メーカーのイヤホンを四万二千円で買い、なおかつ配送されるまで一か月半待つのは割に合わない。IE800には一流メーカーの保証もちゃんとついてるし。それに、IE800はiPhoneに直接差してもそれなりにいい音がするほど鳴らしやすい。Angieに対しては全体的に劣ることはすぐに分かった。

というわけでこのDZX-1+8は、あまりイヤホンに金を掛けたくない人が、ある程度強力なヘッドホンアンプを用意してかつケーブルなんかも自分で調整して使うのであればいいのかもしれない。そうでない人だったら素直に有名メーカー製のを買った方がいいと思う。自分が勧めるとしたら、前述のIE800のほかに七万円台半ばぐらいで手に入るJH AudioのRosieなんかがいいと思う(Angieと同じ8BAだし)。五万前後だったら定番のShure SE535を、三万前後ならWestone UM-PRO30あたりだろうか(聴いたことないけど)。

もし買いたいなら、年二回あるセールを利用するといい。11月11日と3月何日かにやっているらしい。セール中でなくても、担当者に交渉すればセールほどではないけれど多少値引きしてくれるらしい。不定期なセールを待つならTwitterを見るといい。

(最終更新日: 2017年9月4日 by ひっちぃ)

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