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暗殺教室 5巻まで

松井優征 (集英社 ジャンプ・コミックス)

いまいち(-10点)
2017年12月31日
ひっちぃ

ある日地球にものすごい力をもった謎の超生物が現れ、月を砕いてみせたあと、一年の間に自分を殺さなければ地球を破壊すると宣言する。なすすべもなかった人類だったが、そいつはなぜか日本のある中学校の担任教師になることを望む。かくして生徒たちによる先生殺しの試みが始まる。少年マンガ。

作者は「魔人探偵脳噛ネウロ」を描いていた松井優征。ネウロは確か一巻だけ読んだのだけど、あまり興味の惹かれない伝奇ものっぽい感じだったのでそれ以上読まなかった。この暗殺教室の方は、まずアニメを見てどうもいまいちだったので途中で切って、それからこのマンガを見てやっぱりそれほど面白くなかったので最後まで読めなかった。

あんまり面白くない面白くない言ってもしょうがないので、自分でも楽しめた部分と、自分は楽しめなかったけれど世間の人はきっとこういうところを楽しんだに違いないというところから書いていくことにする。

ものすごい力を持った超生物の教師がすっとぼけたキャラをしていて、ズレた感覚で笑わせてくれる。なんでもできるはずなのに、教師の給料の範囲内で法律を守って生計を立てている。地球を壊すとか言っているのにグルメで、マッハ20で自由に空を飛べるので各地のおいしいものを調達してくる。タコみたいな外見をしていて、生徒からは「殺せんせー(ころせんせー)」と親しみを持って呼ばれている。

「殺せんせー」は落ちこぼれのE組を選んで教えている。舞台となっている椚ヶ丘中学校は厳しい進学校で、常に生徒たちに競争を煽っていた。成績や素行の悪い生徒はE組に集めて待遇を落とし、他の生徒たちにはっぱを掛けつつ優越感を与えていた。あきらめの漂うE組の生徒たちに向かって「殺せんせー」はそれでよいのかと問いかけるのだった。

なんかもうこれを書いている時点で自分の期待がにじみでてしまっているのだけど、自分はこの作品が子供たちに目の前の現実と戦うことを教えたいのだとばかり思っていて、読み進んでいてそういう展開を求めてしまっていたのだけど、なんかどうも歯切れが悪いというか中途半端な話ばかりでもやもやさせられた。プールの話の途中まで断続的に読みつづけたのだけど、自然と作品から遠ざかってしまっていた。

「殺せんせー」が強すぎて、生徒たちがどうがんばっても結局先生のさじ加減になってしまう。また、生徒たちの前に立ちふさがる強力な壁なのに、必要以上に甘すぎる。父性と母性(?)が同居してしまっていると思う。自立していない子供だったら気にしないのかもしれないけれど、大人が読むとなんだこれって思うんじゃないだろうか。「殺せんせー」は子供にしかウケないキャラだと思う。

年端もいかない子供たちが銃やナイフを持って先生と戦うというシチュエーションが面白いんだろうし、子供が読むとそれをかっこよく思うのかもしれないけれど、年くった自分が読むとそんな子供たちに感情移入できなかった。等身大かつ特別なところが良いと思うのだけど、もう自分は等身大になれなかった。

似たようなシチュエーションの学園ものに藤沢とおる「GTO」があって、教師に恨みを持って結束していた問題児たちの教室に元ヤンキー教師が赴任し、すっとぼけたキャラをしていても彼なりに真摯に生徒たちに向き合って一人ずつ味方につけていくという話がすごくよかった。それと比べるとこの「暗殺教室」は何からなにまで小粒でいまいちだった。まさっているのは脇役教師キャラぐらいだと思う。

色々とケチをつけてきたけれど、ギャグは割と面白いし暇つぶし程度には読み進められたので、学生ぐらいまでの人ならそこそこ楽しめる作品なのかもしれない。

(最終更新日: 2019年3月3日 by ひっちぃ)

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