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俺様ティーチャー 25巻まで

椿いづみ (白泉社 花とゆめCOMICS)

まあまあ(10点)
2018年8月25日
ひっちぃ

天然の喧嘩少女・黒崎真冬は、他校の不良たちと戦っているうちに埼玉の高校を統一する番長になっていたが、ドジって警察に補導されて学校を退学になってしまう。遠く離れた私立緑が丘学園に編入することになった彼女は普通の女子高生になろうと決意するが、彼女に喧嘩を教えた幼馴染の鷹臣がそこで教師をしていて、乗っ取られた学校を取り戻すために一人理事長と戦っていたのだった。少女マンガ。

同じ作者の「月刊少女野崎くん」が割と面白いので、他の作品も読んでみたいと思って調べてみたらどうやらこの作品が一番巻数が多くて人気ありそうだったので読んでみた。まあまあ面白かった。

ヒロインの真冬の天然ドジっ子ぶりがかわいい。ショートヘアの快活な女の子なのだけど、ただ腕っぷしが強くていつのまにか番長に祭り上げられただけで、中身は精神年齢の低いまるっきりの子供。子分のように付き従ってくる男たちに囲まれていたので、普通の友達が欲しいと思っており、これからはまともに高校生活を送って友達と楽しく遊びたいと思っていた。ところが、自らの戦いの手駒が欲しかった鷹臣に目を付けられたり、隣の席に座っている金髪コワモテの早坂に警戒されたりする。

要は元不良少女が自分の過去を隠して普通の高校生活を送ろうとするもボロが出てしまうというありがちなコメディなのだけど、この作品のぶっ飛んでいるところはヒロインの真冬が真正のアホっ子だということ。強いのに驕っていないどころかとても控えめで、自分がダメ人間であることも自覚しており、キレて思わず力をふるうなんてことはまったくない。彼女がなぜ喧嘩に強くなったのかというと、不良だった鷹臣に幼い頃からなついて知らないうちに異常なまでの体力を身につけたから。鷹臣には今も頭が上がらない。

物語は学校の主導権をめぐる理事長と鷹臣との戦いが背景としてあるのだけど、理事長サイドの手駒として生徒会役員たちが色々と仕掛けてくるので、鷹臣は彼らに対抗するために風紀部を立ち上げて真冬たちにあれこれさせている。戦いにはルールがあって、期限までに学園の生徒数を倍に増やせば鷹臣の勝ちなので、そうはさせじと生徒会役員側は色々な方法で学校の悪評を煽ろうとする。理事長は学園を経営しているのだけど、本当の狙いは学園の土地なのでわざと学校の自滅を仕掛けている。

ちなみに「生徒会」というと生徒全員が入っているものなので、生徒会長とその取り巻きのことは「生徒会役員」という言い方が正しい。

他に真冬が番長をやっていた頃の地元にも時々里帰りして色々なトラブルを解決したり元子分たちと馴れ合ったりする。

正直ストーリーはさっぱり面白くなかった。なんでだろう。

真冬は鷹臣に無理やり従わされているだけでまあ一応学園を守りたい意志はあるだろうけれどそれよりは自分が友達を増やして普通の学校生活を送ることを第一に考えている。また、対する生徒会役員の面々も会長の華房雅への個人的な信望によって動いている。どちらも自分たちが何をしているのかという当事者意識が低い。生徒会長の華房雅には別の目的があることがあとで明かされるのだけど、いい話だとは思いつつもなんだか取って付けた感が強くてあまり感動できなかった。やっぱり意志と意志のぶつかり合いがないと面白くないんだと思うし、一貫性が損なわれていると話に入っていけないんだなあと思った。

真冬は自分が喧嘩の強いことを隠したいので、それでもなんとかしたい場合にはウサちゃんマスクをかぶったり男装して夏男と名乗ったりするのだけど、正体がバレないことがもうお約束的な感じになっていて、それに乗っかりながら読んでいかないとならない。かといって、なんというか作品世界が話の進展によって積みあがっていっていないので、真冬の力が周りにバレたらどうなる的な緊迫感やワクワク感がないのだった。ちょっと積み上げてはすぐ崩すようなウケの取り方をしている。

この人の作品には不思議な内輪感があって、この子たちおもしろいでしょ的なノリが随所で見られて、自分はどうにもついていけなかった。ギャグが所々緩い。自分はこの作品の登場人物たちを十分好きになれたと思うし、みんな大なり小なり魅力的に感じたのだけど、それでもこの楽屋的なノリにはついていけないことが多かった。具体例を挙げると、物語的にチョイ役だったキャラをすぐにメタっていじったり(特に地元キャラ)、あからさまな弱点を設定して過剰にいじったりする(番長の文通とか)。自分の作品への愛が強いんだろうか。ただ、こういうノリは作品への思い入れの強い人にとっては大歓迎だろうし、きっと主となる読者層には受け入れられているんだろうなあ。

小鞠先輩がすっごくかわいかった。小柄な小動物のような愛玩キャラで、しゃべらなくてもなんとなく言いたいことが伝わってくるというマンガならではの技法で人を動かす。人前でしゃべろうとしないのには理由があって、その理由がこれまたかわいらしい。

少女マンガだけど恋愛要素はほとんどない。少なくともヒロインの真冬は誰のことも意識していない(と思う)。緑が丘の番長の桶川は真冬のことをちょっと意識しだすけれど進展はしない。真冬の地元の男の子たちも真冬をめぐって時々嫉妬を感じるけれど、はっきり恋愛を意識することはないのだった。メインヒーロー(?)は教師の鷹臣でもなく、一番の親友(?)である早坂でもなく、じゃあ一体誰なんだろうっていう。

二十巻を超えたあたりで三年生が卒業するので、生徒会長の華房雅や番長の桶川なんかが退場し(その後もちょくちょく出てくるけど)、代わりに華房の妹が入学してくるのだけど、こいつの動きも意味不明で話が全然面白くなかった。

多分この作品は単行本で楽しむような作品じゃないんだろうなあ。掲載誌「花とゆめ」を定期購読している読者が安心して読めるような(良い意味で)空気のような作品なんじゃないだろうか。

自分は同じ作者の「月刊少女野崎くん」も読み続けているのだけど、最近はなんだかあまり面白く感じられない。結月と若松とか、鹿島と堀先輩とか、もちろん野崎と佐倉なんかのカップリングが進まないどころか押し引きの魅力すら褪せてきてマンネリしていっているように思った。

というわけで自分は基本的にはこの作品はあまり勧めないけれど、ストーリーではなくキャラクターを楽しめるような人ならハマるかもしれないし、自分もヒロインの真冬がなんだかんだで大好きだったので、楽しめそうなら読んでみてもいいと思う。

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