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ちおちゃんの通学路

川崎直孝 (KADOKAWA MFコミックス フラッパーシリーズ)

まあまあ(10点)
2018年12月16日
ひっちぃ

海外の主に銃で撃ち合うPCゲームが大好きな高校生女子の三谷裳(みやも)ちおは、ゲームで夜更かししすぎた朝に慌てて起きて通学するが、道路工事で通行止めに遭ってしまう。現実をゲームと混同したちおは、自分がゲームの中の暗殺者になったかのように高揚し、塀を登って道なき道をアクロバティックに学校へと向かう。少年マンガ。

アニメ化されたのを見て面白かったのでこの原作マンガにも手を出してみた。まあまあ面白かった。

ちおちゃんはメガネを掛けている地味な女子なのだけど、軟式テニス部で普通に活動していて運動神経は悪くない。でもクラスでは目立たないようにしており、自分のことをスクールカーストの中で「中の下」だと認識しており、ちょっと卑屈ながらもそれなりにプライドを持って生きている。また、昔から仲の良い同レベルの友人である野々村真奈菜とは通学路ではハイテンションで会話する。

第一話ではちおちゃんが通学路でちょっとした冒険をする話なのだけど、それ以降はよく一緒に登校する親友の野々村真奈菜との低次元な争いとか、クラスの人気者だけどちょっと天然の入っている陸上部の細川雪との虚々実々の対話がメインになる。ここまでがレギュラーメンバーだろうか。

時々絡んでくるのが、スポーツマンを装っているが女子高生が大好きで隙あらば体での接触を狙っているカバディ部の女部長とか、ちょっとした偶然により最初ちおのことを危ない女子高生だと勘違いしていた暴走族の安藤繭太とか、校門の前で取り締まっている風紀委員のクソ真面目だけどかわいいところのある先輩の篠塚桃とか、お嬢様学校に通っているのにカンチョウを狙ってくる謎の女子中学生とかだろうか。舞台が通学路なので、ちおの周辺には色んな人たちがいる一方で、学校の中の描写はほとんどなくてクラスメイトも回想とか妄想の中ぐらいでしか出てこない。

自分にとってこの作品の一番の魅力は、ちおちゃんや親友の真奈菜なんかがひょうきん(死語)な女子高生だということ。こんな小物で自虐味のある女の子たちがいたら面白いだろうなあ。でも作中にもあるようにちおちゃんたちは教室では地味に振る舞っているらしい。まあしょうがないんだろうなあ。

この二人にとって「仲良くなりたい存在」である細川雪が通学路に現れるので、二人は自分だけ仲良くなろうと互いに足を引っ張り出す。一人で話を合わせて相方を蚊帳の外に置こうとしたり、明らかに暴走しているのにフォローせず放置したりと、小物感あふれるやりとりがすごく楽しい。一方の雪さんもちょっとズレているところがあるので自然とボケ役になっている。

ちおちゃんがゲーマーしかも海外のいわゆる「洋ゲー」マニアなのも良かった。しょうもないことをしておいて「それが私の信条(クリード)」みたいにつぶやいて見せるところなんか、多分「アサシンクリード」という有名ゲームのパロディなんだと思うんだけど、自分もあんまり詳しくないのでこれはギリギリ拾えた。もっと「洋ゲー」を知っていれば笑えるところがさらにあったんじゃないかと思うとくやしい。でも分からなくても多分普通に面白いと思う。

海外のオタクの反応が面白そうだからと、「海外の反応」系のブログでこのアニメの反応の翻訳を見てみたら、案の定面白がっている人がたくさんいてニヤリとした。作者は洋ゲー大好きらしい。

ただ、作品の構造的な宿命として、割としょうもない(それ言っちゃおしまいなんだけど)。感動方向に話がいくこともあるけれど、結局ギャグに行く。良くも悪くもあんまり心に残らない。あと、変わった女の子たちしか出てこないので、そういう趣味がないと萌えにくいと思う。

暴走族の安藤との初接触の回は出来過ぎた感が強すぎてちょっとうんざりした。でも安藤さんは基本的にはいい人で、このあとの安藤さん関連の回はみんな大体面白かった。暴走族をやめた安藤さんは、新聞配達やコンビニのバイトを始めて、ちおちゃんの前にたびたび現れて騒動を持ち込んだり、果てはちおちゃんのことが好きになってデートに誘ったりする。そしてちおちゃんが安藤さんに真剣に向き合うところが、作品としてはらしくないのかもしれないけれど、自分はすごく良かったと思う。

アニメの話だけど、ちおちゃんの親友である真奈菜の声を小見川千明という声優がやっている。この人、石黒正数「それでも町は廻っている」でやんちゃな主人公である嵐山歩鳥をやっていたのだけど、声質がいかにも棒っぽくてネットでは評価が分かれている。自分はとても存在感があって魅力的な演技だと思う。

変わった女の子が好きな人や、軽くてしょうもないギャグマンガが好きな人なら割と楽しめると思う。

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