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NHKスペシャル シリーズ 子どもの声なき声(2)「“不登校”44万人の衝撃」

日本放送協会 (NHK総合テレビ 2019-5-30 22:00〜)

最低(-50点)
2019年6月2日
ひっちぃ

不登校の子供が増え続けている現実と、それに対応するために学校や教育委員会やNGOが行っている取り組み、そしてその中でもがいている子供たちの思いを取り上げたドキュメンタリー番組。

画一的な管理教育じゃもうダメだ、これからは色んなものをぶち壊し、子供たちがめいめいに自分にとって都合のいいように学んでいけるようにし、大人はそれを最大限にサポートするのが一番なんだ、みたいな流れをオランダなんかの事例を中心にして紹介している。

会社の先輩のお子さんたちが不登校だったり非正規で働いていたり、家を出たかと思ったら戻ってきたり、いったん社会に出たのに専門学校に通うと言い出したりしているという話を聞いたので、いまの子供たちはどうなっているんだろうと気になっていたところへこの番組が放映されたので見てみた。

まず不登校が増え続けていること自体が興味深かった。ただ、その原因について番組では紹介するだけで深く入り込んでいかず、子供たちが社会へ出るために大人たちに何が出来るのかといった方向にしか話が行かなくて唖然とした。番組が言いたいことをまとめると、教員をさらに増やして自由な学びの場を提供して子供たちを手厚くフォローしていかないといけない、となる。

本来最初に考えなければならないのは、不登校が増えたのは子供への圧力が増えたからなのか、それとも必ずしも学校に行かなくてもいいようになったからなのか、という問題の切り分けだと思う。前者であれば子供への圧力が一体どういったもので、それを軽減するにはどうすればいいのかという話になる。後者であれば、無理やりにでも学校に行かせるほうがいいのか、あるいはそうじゃないのかという話になる。原因は一つではないだろうから全部考えていかなければならないと思うけれど、番組は学校の新しい形に絞って話をしている。

不登校の問題について独断と偏見で言わせてもらうと、たぶんテレビやネットなんかで情報が増えたことにより、子供から親から教師までみんな色々と気にし過ぎているのだと思う。ちょっとおとなしすぎるからというだけでからかわれて学校に行くのがイヤになった子供がいたけれど、本人ももちろんながら、からかう側もそんなどうでもいいことを材料にして笑いを取ろうとする。

あ、この笑いを取るというのが大きいのかもしれない。オチや笑いどころのない話をするとテレビなんかでは訳の分からない話をするヘンなやつとして扱われてしまうので、なにかしら笑いにつなげなければならない。となると、最後に「おまえヘンやろ」みたいに言って笑いを取る流れになりかねない。すると言われた方はいたたまれなくなって学校に行きたくなくなる。うーん、吉本が悪いのか?(笑)マセキにがんばってもらえばいいかもしれないけれど、吉本に刈り取られるだけだもんなあ。

ちょっと笑い話にもっていってしまったけれど、笑いを届けてみんなを幸せにする芸能事務所が、実は世の中を暗くしているんじゃないかという疑いはあると思う。まあ素人が勝手にイキってしまうのが悪いと言ってしまえばそれまでなのだけど。それに、「面白いやつがえらい」という世の中は、暴力がものを言っていた時代と比べるとずっといいと思う。体が大きくなくても機転を利かせることができればうまく立ち回れるし、笑いが起きれば丸く収まるのだから。それをはき違えてしまうのは個人の問題なのだと思う。一方で、一般人や天然芸人をいじる笑いの中には見ていて気分の悪くなるものも多いのだけど。

イジメられたかひどくイジられた子供を隔離するのではなくて、人をイジメたりイジったりするような人を「コミュ力の高い学校」みたいなところに集めてしまうというのはどうだろうか。そういう学校は多分企業も求めているだろうから就職に有利になって子供にとってもいいと思う。あ、無理してこういう学校に自分の子供を入れたがる親が出てくるか。

ちょっとおとなしすぎるとかやんちゃすぎるとか、友達が少ないんじゃないかとか、苦手な教科があるんじゃないかとか、親が気にしてしまうのが子供に圧力となって伝わってしまう。同僚の子供がなにやら乱暴ものに育っていてどこかおかしいんじゃないかと気にしていたけれど、昔だったらむしろ元気なので喜んでいたんじゃないかと思う。あんまり頭はよろしくなかったとしても。

教師は教師で上から指導目標を定められて減点方式で評価されてしまうから問題が起きても見なかったことにする。教師の世界がどうなっているのか知らないけれど、問題が発生したらその問題に対してどんな努力をしたのかということを評価するようにすれば、たとえ問題が解決しなくてもあれやこれやをやりましたということで教師一人一人が評価されるので、少なくとも問題の隠ぺいは減るし教師全員で対処していくことも出来るようになると思う。同僚を助けることでさらに評価がつくようになると助け合いにもなる。

番組で紹介されていた学校内にフリースクールみたいなものを用意する試みは非常にいいと思う。これでもちゃんと学校に行っていることになるといえばなるので、子供も親も心理的な負担が減ると思う。

中川翔子みたいなウソつきを不登校の子供に近い目線に立てるからという理由で起用しているのはひどいと思う。ネットでたびたびウソをついて炎上しているのをまさかスタッフは知らないんだろうか。知っていてコネで使っているのであればなお悪い。

不登校の子供に生(ライブ)でいい感じの発言をさせようとしているように思えて、番組づくりの姿勢としておかしいと感じた。冒頭の問題提起の部分であれば厳しいことを言うことが番組の流れ的にも正しいのでまだいいとして、色々な対策が紹介されたあとだとネガティブなことが言えない空気になってくるので、その状態から何か発言させようとしていたのは見ていられなかった。良くなったと思うかと聞かれて「思いたいです。」と答えたのは大人だなと思った。出演者も生だからしょうがないんだろうけれど、絶対に聞いちゃいけなかった。その程度のレベルのアナウンサーや出演者を出しているということなのだろう。

改めて言うけれど、子供たちが不登校になるのは画一的で自由がなくて息苦しい管理教育のせいではなくて人間関係の問題が一番大きいのに(番組に出演していた子供たちは現に全員そう言っている)、その問題に蓋をして教育の予算を増やして利権を大きくしていく方向にもっていこうとしているとしか思えない悪質な番組だと思う。その流れを作るために、管理されたくない子供たちの自由気ままな希望を紹介して、これが子供の声なんだと言って利用していることに怒りがわいてくる。

ついに放送法が改正され、NHKはネット配信が出来るようになり、ネットを利用しているすべての国民から受信料を徴収するべく外堀を埋めている。民間の動画サービスはそれぞれ収益を得るため料金を取ったり広告を入れたりしている中で、NHKは法律によってすべての国民から強制的に高い受信料を取ろうとしている。それでいて一民間企業という体で役職員が不当に高い報酬を得ているのを許してはならない。

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