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転生したら剣でした コミカライズ版 13巻まで

原作: 棚架ユウ, 作画: 丸山朝ヲ, キャラクター原案: るろお

まあまあ(10点)
2024年2月18日
ひっちぃ

自在に動ける魔剣として異世界に転生した男は、強力な力で周囲の魔物を倒しながらパワーアップして調子に乗っていたが、森の中で一息ついたところで土に魔力を封じられて動けなくなる。しばらくどうしようもなかったのち、たまたま通りがかった黒猫族の少女フランに引き抜いてもらい、この少女の師匠として成長を見守っていくことにする。小説投稿サイトに書かれた小説が原作のマンガ。

去年アニメ化されたのを2話まで見たものの、別に見ても見なくてもいいやと思って放置したまま数か月放置していた。最近になって見るものが減ってきたので3話を見たあとで、このままアニメをダラダラ見るのがイヤになり、マンガ版があるというので読んでみた。剣が無双するのではなくて幼女を愛でる作品だった。

序盤、魔剣に転生した主人公が魔物を倒しながら様々なスキルを覚えていったので、どんな風に話が進むのかちょっと楽しみだったのだけど、途中で黒猫族の少女フランを相棒とするようになり、こいつに自分の能力を貸し与えて無双させるようになってからは、少女フランが努力していくのを助ける話になる。

努力家の少女が主人公を師匠として尊敬し、指導を受けて成長していく中でいろんな冒険を繰り広げて活躍するのは、まあ普通のファンタジー作品として楽しめるはずなんだけど、なぜか意外なほど楽しめなかった。たぶん自分はこの少女フランのことが好きになれなかったんだと思う。こういう天然もののヒロインが天真爛漫に努力していろんな経験を積んでもなにも感じるところがなかった。心がまっすぐすぎて共感できないから?w

鳥山明「ドラゴンボール」なんかも主人公の悟空がこんな感じの天然な少年で、ちっこいのに規格外の強さを持った少年が周囲を唖然とさせながらも大冒険を繰り広げ、時に天然を発揮してズレによる笑いを楽しめた。一見この作品とも共通するところがあると思ったんだけど、少女フランは猫耳があってかわいいという以外は平凡すぎると思う。

せっかく少女フランとその相棒の魔剣というちょっと変わったバディなのに、考え方の違いによるすれ違いとか喧嘩もなかった。少女フランは最初特に剣に秀でているわけではなかったので一方的に魔剣に依存している。天然な少女に対して健常な魔剣が引っ張られていくわけでもないし、魔剣になった主人公が人間に戻る手段を探すのを手伝うといった協力関係もなかった。ただ単に冒険譚が語られるだけ。

そもそも旅の目的がないも同然だった。少女フランを鍛えるためになにか大きな都市を目指しているらしいのだけど、鍛えたところでそれだけでは楽しめなかった。少女フランの両親は既に死んでいるので捜索するといったこともない。黒猫族の宿敵である青猫族には時々遭遇して倒していくのだけど、あくまでその場限りだった。

仲間にも魅力を感じなかった。主人公が呼び出した狼のような眷属ウルシはしゃべれずただ戦闘するだけ。主人公の魔剣をサポートする通称「アナウンスさん」が急に自我を持って自己犠牲のようなことをするエピソードも意味不明だった。少女フランを猫かわいがりするベテラン冒険者アマンダさんの存在はうっとうしいだけだった。

冒険者稼業を続けていくだけかと思ったら、とある王国の内紛劇に助力するという大冒険もあった。まだ小さな王子と王女を助けたり、他の王族とともに黒幕の本拠地へ乗り込んだりして盛り上がっていた。…自分はあんまり盛り上がれなかったのでただ眺めていただけだったんだけどw

たぶんこの作品は、自分自身はあんまり活躍したくないけどかわいい女の子の師匠になって見守りたいという主人公に共感する読者のためにあるのだと思う。二人で一緒に大冒険したりとか大立ち回りしたりだとか。そういう目線で見ると、アマンダはおかあさん役として必要なキャラだったのかもしれない。自分はやっぱりそれだと納得できなくて、もっとそれぞれの心の動きとかを求めてしまう。

[参考]
https://
comic-boost.com/content/
00290001

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